<18歳選挙権と地方>(1) 18歳選挙権実現のきっかけとなった特区提案

 

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<18歳選挙権と地方>(1) 18歳選挙権実現のきっかけとなった特区提案

地方議会ニュース編集部 菊岡 無粋

 

18歳選挙権がようやく実現し、来年夏の参院選から適用されることになった。

このタイミングで実現したのは、憲法改正のための国民投票制度整備と連動したことが大きかった。

 

しかし、忘れてはならないのは、この実現に向けて、長年にわたり、地方自治体からの突き上げがなされていたことだ。

地方自治体の住民投票では、2000年に田無市・保谷市(現・西東京市)の合併に際しての市民意向調査で18歳以上に投票権が与えられた頃から、独自に未成年に投票権を与える動きが広がった。

また、2003年には、北本市が構造改革特区提案として、特区内で公職選挙法の特例を設け、選挙権・被選挙権年齢を引き下げることを提案し、その後、他の自治体も追随した。

その後、2013年、国家戦略特区提案の中でも、相馬市長などが賛同者となって(提案主体は任意団体万年野党)、特区内での選挙権・被選挙権年齢の引下げが提案されていた。

 

こうした地方自治体での動きの積み重ねが、国を動かし、今回の制度改正につながった面は小さくない。

 

自治体から国に対する働きかけとしては、陳情や意見書提出といったものがありがちだが、独自制度の導入や特区提案はしばしば、それ以上に大きな効果を持つ。

これは、単に国に「お願い」しているのでなくて、自ら制度を導入する、あるいは、国が特例を認めてくれさえすれば独自制度を導入する姿勢を示すという意味で、覚悟を伴った動きだからだ。

 

本件のように、自治体からの特区提案を受けて、特区内での特例措置という形ではなく、全国的な制度改正がなされることも、しばしばあることだ。

 

地方行政関係者からは、「特区提案を行なっても、国の対応が鈍く、なかなか実現しない」といった声を耳にすることがある。だが、提案する側が本気で、練られた内容の提案を行なっているのかどうかも問題だ。

本件のような成功事例も少なからずあるのだから、国の対応を言い訳に、簡単にあきらめるべきではない。

 

また、地方から国に提案できるのは、首長部局だけではない。

地方議会も提案主体となることができるし、過去にはそうした例もある。

2004年に草加市議会、2010-11年に半田市議会の会派が、構造改革特区提案として、自治体における議院内閣制型への移行などを提案したことがある。

これらはまだ実現されていないが、こうした提案も、簡単にあきらめることなく、続けていくことが重要だ。

 

今回の18歳選挙権をきっかけとして、さらに、地方から国を突き動かす取組が広がっていくことを期待したい。

 

(地方議会ニュース編集部 菊岡 無粋)

 

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居眠り、私語、スマホ… 地方議会の呆れた実態(地方議会ニュース解説)

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<地方議会のニュースを斬る>

居眠り、私語、スマホ… 地方議会の呆れた実態
地方議会ニュース解説委員 山本 洋一(政策工房客員研究員、元・日本経済新聞記者)

ほとんど毎回居眠りする議員に、30分間携帯電話を操作し続ける議員――。市民団体がこのほど公表した仙台市議会の「通信簿」。そこには市民の代表として市政について真剣に議論する役目を負う議員たちの、目を疑うような実態が記されている。

通信簿をまとめたのは市民団体「議会ウオッチャー・仙台」。8月に仙台市議選を控え、現職議員の任期である2011年9月定例会から2015年2月定例会まで、計15定例会の本会議全105日間を複数のメンバーが実際に傍聴し、評価を集計した。

中身は2部構成。第一部は「本会議場での議員の態度についての評価」、第二部は「質問内容についての評価」となっている。中でも特に注目すべきは第一部だ。

評価対象は離席、居眠り、私語の3項目。離席については全55議員のうち、9人が10回以上記録。最も多かった議員は77回、離席率は73.3%にのぼった。この最多議員の離席のうち6回は50分から一時間程度という長時間。生理現象は仕方ないにしても、本当にすべてが「やむを得ない理由での離席」だったのか、疑問が残る。

居眠りはもっとひどい。全議員のうち約半数が10回以上記録。居眠り率が50%を超えた議員が9人おり、最も多かった議員は80回、居眠り率が76.2%だった。「開始直後から終了まで熟睡」していたこともあったという。これには選んだ有権者もがっかりだろう。

私語については10回以上が14人いたが、半数以上はゼロだった。当選回数の多いベテラン議員に多く見られ、当選回数の少ない新人議員はほとんどなかった。当選を重ねるにつれ、緊張感が薄れている様子がみてとれる。

このほか会議中に携帯電話やスマートフォンを操作する議員も複数、指摘された。中には「30分ほど」操作し続けた例もあったという。議員としての業務に関わる情報収集だったのか、それともただの時間つぶしだったのかは知る由もない。

今回、調査対象となったのはもっとも格式の高い「本会議」だけだが、議会には本会議の下に各種委員会が設置され、日々開催されている。「委員会はもっとひどいのでは」と想像するのは私だけではないだろう。

議会ウオッチャー・仙台では、居眠りや私語について「議論に集中していないことを示す指標で、いずれも議論の場としての議場でとるべき態度ではない」と指摘。学校に例えて「度が過ぎれば学級崩壊となる」と断じている。

仙台市議選は7月24日に告示、8月2日に投開票される。議員の個人名が明記された今回の「通信簿」は、有権者が投票先を選ぶ際の貴重な資料になるに違いない。

議会ウオッチャー・仙台HP
http://gikai-watcher.net/

(地方議会ニュース解説委員 山本洋一)

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「辞職勧告決議」を受けた議長が居座るのはなぜ?(地方議会ニュース解説)

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<地方議会のニュースを斬る>
「辞職勧告決議」を受けた議長が居座るのはなぜ?
地方議会ニュース解説委員 原 英史(株式会社政策工房代表取締役)

塩釜市議会で6月12日、佐藤英治議長に対する「辞職勧告決議案」を全会一致で可決した、とのニュースがありました(6月13日河北新報)。

理由は、「議会運営をスムーズに進めず、不信感を抱いている。これまで4度可決されたのに、発言に反省の色がない」(同議会議員)ということだそうです。
何といっても、議長を除く全員が一致して可決、しかも、これで5回目というのですから、議長としての信頼がよほど無いのでしょう。

ところが、こうした決議には法的拘束力がないため、これまで4回の決議を受けても議長は辞職しておらず、今回も「議長の重責を担っていきたい」と任期を全うする意向、と報じられています(同)。

これは、なんだか不思議に思われます。
というのは、議長は、市議会議員の議決によって選ばれます(地方自治法103条1項)。
もともと、自分たちで選んだ議員なのですから、あとから「やはり不適任」と思われるなら、解任して、別の議長を選び直せばよいのではないでしょうか。

一般社会ならば当たり前にできることですが、ここに、「法律の壁」があります。
地方自治法上、「議長を解任し、選び直す」ことはできない、と一般に考えられているのです。

もっとも、法律にはっきりそう書いているわけではありません。
地方自治法では、議長に関して以下の規定があります。

地方自治法
第103条 普通地方公共団体の議会は、議員の中から議長及び副議長一人を選挙しなければならない。
2 議長及び副議長の任期は、議員の任期による。

第108条 普通地方公共団体の議会の議長又は副議長は、議会の許可を得て辞職することができる。・・・

これら規定の解釈として、一般には、法律に「議長の解任」の規定が存在しないので、
・議会はいったん議長を選んだら、「議長の解任」はできない
・議長は、議員の任期中は、自ら辞職しない限り、ずっと議長を務められる
と考えられているのです。

議長の辞職勧告決議・不信任決議などは、
「事実上、議会が議決することは差しつかえないが、法的には効果はなく、任期を中途で失わせることとはならない。」
とされています(松本英昭『新版・逐条地方自治法(第7次改訂版)』学陽書房))。

「規定がないからできない」ということなら、地方議会の運営ルールとして(議会ごとに定めている「会議規則」の中で)、独自の規定を定めてしまう可能性はないのでしょうか。
上記逐条解説によると、これも、
「議会の不信任議決により、議長は職を失う旨を会議規則に掲げたものがあれば、違法の会議規則である(行政実例昭和26・1・17)。」
として否定されています。

地方自治法に規定がない以上、議会の会議規則で定めても、その規定が「違法(地方自治法違反)」になるというわけです。
ちなみに、ここで出てくる「行政実例」とは、地方自治体の問合せに対して、国の担当部局が回答したものです。

もっとも、これに対して、専門の研究者の間でも、「こんな行政実例はおかしい」との意見があります。
例えば、岡田彰・元拓殖大学大学教授(地方行政専門)は、
「こんなことは地方自治法の問題ではありません。それぞれの議会の会議規則で、『不信任決議などを受けたら、議長の職を失う』と定めればよいだけのことです。
一般に、住民によるリコールの『根拠』は、選任と罷免の連動性にあるとされています。議長は、議会構成として議員が選挙するのですから,罷免も当然できるはずです。」
と指摘されます。

また、行政実例に関しては、
「行政実例は、役所の都合で挿入・削除が繰り返されています。行政実例を集めた『例規集』は加除式で、簡単に挿入も削除もできます。削除されたら実例は痕跡がありませんので、役所にとっては大変都合がよい。これは、役人の知恵なのです。
ちなみに、直接請求について、『署名は自著』と規定されているのみですが、かつて福岡県知事リコールのとき、日本語以外の署名がありました。そのときの行政実例として、『ロシア語は不可、朝鮮語は可』という、全く不可解な解釈が示されたことがあります。たぶん現在は削除されているでしょう。」
その程度のものだということです。

今回のように、辞職勧告決議・不信任決議などを受けた議長が、決議を無視して居座るという問題は、塩釜市議会だけに限らず、あちこちで起きているようです。
何度決議を出してもらちがあかないのなら、この際、争いのある60年以上前の行政実例にチャレンジし、会議規則で独自ルールを制定してみてもよいのかもしれません。

(地方議会ニュース解説委員 原 英史)

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地方議会ニュースまとめ(2015年6月18日)

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地方議会ニュースまとめです。地方議会にまつわるさまざまなニュースから編集部がピックアップして紹介します(まとめ:地方議会ニュース)

■仙台市議会の議会通信簿公表、私語や離席 大幅改善
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150615-00000003-khks-pol

仙台市議選(7月24日告示、8月2日投開票)を前に、現職55人の働きぶりを評定する「通信簿」が発表された。
評定したのは市民団体「議会ウオッチャー・仙台」。
私語や離席の回数が大幅に改善されており、8月2日に行われる市議選の判断材料に。

■早稲田大学マニフェスト研究所、「議会改革度調査ランキング」を公表
http://www.maniken.jp/index.html

2015年5月28日、早稲田大学マニフェスト研究所から「議会改革度調査2014」の調査結果が公表された。
2015年2月上旬にメールや郵送で調査依頼を全地方議会に送付し、全自治体の84%にあたる1,503議会から回答を得ており、調査結果はホームページに公開されている。

◾️今春統一選女性議席、自民5% 地方議員目標30%遠く
http://www.47news.jp/CN/201506/CN2015061301001528.html

今春の統一地方選で地方議会に議席を得た全議員に占める女性の割合は、14.2%で過去最高になったことが総務省の調査で分かった。
しかし政党別に見ると自民党の当選者中の女性は5.7%となっており、安倍政権が掲げる「2020年に指導的地位に占める女性の割合を30%」という目標には遠く及んでいない。

◾️塩釜市議会、議長に5度目の辞職勧告決議
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150613-00000010-khks-pol

塩釜市議会は12日開会した6月定例会で、今回で5度目となる佐藤英治議長に対する辞職勧告動議を可決した。佐藤議長は、勧告に応じない考えを示しており、「議長の重責を担っていきたい」と任期を全うする意向だ。

◾️バリアフリー 議場から変えられる 障害ある議員ら意見交換
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015061402000128.html

4月の北区議選で当選した「筆談ホステス」として知られる斉藤里恵さんをはじめ、さまざまな障害がある議員と議員経験者が13日、東京都北区で障害者の社会参加について意見を交わすイベントを開催し、バリアフリー社会の実現を訴えた。

◾️「うぐいす嬢」らのセクハラ深刻、レイプ被害も…選挙活動中は訴え無かったことに
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150613-00000104-san-pol

ウグイス嬢ら選挙活動に関わる女性へのパワハラ・セクハラ被害の実態が、「女性と人権全国ネットワーク」の呼びかけにより明るみになった。
選挙活動中のウグイス嬢への性的被害は、セクハラ発言だけに留まらず、「レイプ被害に遭った」との深刻な事例もあり、被害を無くすためのルール作りが急がれる。

◾️「大阪会議」設置条例、大阪市議会で10日に成立したのに続き、大阪府議会で11日に成立
http://www.sankei.com/smp/west/news/150612/wst1506120018-s.html

「大阪都構想」の対案として自民が議員提案した「大阪戦略調整会議」(大阪会議)の設置条例が、大阪市議会で10日、大阪府議会で11日に可決、成立された。24日の堺市議会でも可決される見通しで、会議は今秋にも設置される見込み。

◾️秋田県町村議会議長会:運営費でコンパニオン 私費で返還
http://mainichi.jp/select/news/20150611k0000e010200000c.html

秋田県町村議会議長会が、過去8年間にわたり懇親会として女性コンパニオン付き宴会を開催し、女性コンパニオンの代金を公費から「運営費」として支出していた事が分かった。
事務局は「今後は使い方を改める」としており、議長らが5月に私費で返還した。

◾️地方議会から安保法制に意見書を出す動きが各地で本格化
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0144117.html
http://www.kochinews.co.jp/?&nwSrl=339147&nwIW=1&nwVt=knd
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-06-11/2015061103_01_1.html

安倍政権が今国会で成立を目指す安保法制について、地方議会で安倍政権の強引な政治姿勢に対する懸念が高まっており、反対や慎重審議を求める意見書が相次いで可決している。

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やっぱり大事、議員の◯◯?!  ~三春町のナイター議会廃止に見る地方議員の重要性 

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地方議会ニュース 五島 知佳

■地方議会の先駆的な取り組み、三春町のナイター議会が廃止!!

 

統一地方選挙から一ヶ月以上もたち、地方議会関連話題が少なくなってきた今日この頃、ある先駆的な試みが15年の幕を閉じた。

 

ナイター議会とは、通常昼間に行われる議会の一般質問を夜間に行うというもので、福島県田村郡にある三春町という小さな町で行われていた。

 

 

三春町のナイター議会は、

・三春町独自の取り組みとして日中勤めなどで議会傍聴の機会がない人を対象に、夜間に議会傍聴の場を提供、

・町政への関心と議会活動への理解を深めてもらうことを目的とし、

・年4回行われる定例会の内、6月に行われる(通常は1日)全ての一般質問を夜間に開催するというもので、平成11年に開始された。

 

開始直後は、目新しさや話題性もあり、107名もの人が傍聴に訪れたが、一昨年6月の定例会では傍聴者数30名と減少、今年6月初めにはナイター議会を廃止することになったのだ。

また、ナイター議会の開催につき、その定着は、町民の町政と議会活動に対する興味・関心を持っていただくことが出来、一定の成果を得ることが出来たと、関係者は語る。

 

だが、そもそもなぜ三春町でナイター議会を15年も前に開始することができたのだろうか?

 

■ なんで始まった?ナイター議会! ~開催の秘密・・・

 

実は、ナイター議会は三春町だけで行われている(た)試みではない。ナイター議会と

インターネットで検索してみると、多くの町がナイター議会を開催していることが分かる。だが、なぜ、三春町では15年も前にナイター議会を始めることが出来たのだろうか?

 

三春町の傍聴者数の推移を見ると、明らかにおかしな箇所が一つある。

12月定例会の傍聴者数の人数が他の月の定例会に比べ異常に多く、例年、100名前後の人が傍聴に訪れているのだ。

町内の婦人会といった各種団体が研修ということで、12月定例会を傍聴に訪れているのだという。多い年では、200名もの人が12月定例会に訪れているのだ。

 

実はそこに、ナイター議会開始の秘密がある。

婦人会といった町内の団体が傍聴に訪れてくれるのは嬉しいことではある。だが、それにより議会傍聴者の属性に偏りが出ていたのだ。そのため、普通に働いている人、学生も傍聴しやすい議会を目指すという次の目標を作ることが生まれ、結果的にナイター議会の開催へと繋がる一つのきっかけになったのである。

議会への関心が余り低くないという三春町の持つ特徴がナイター議会という先駆的な試みを生み出したのだった。

三春町傍聴者推移

■ やっぱり大事なのは「議員の◯◯」?!?!

 

だが、結局のところナイター議会は廃止になってしまった。ナイター議会に対し「また、夜やるのか・・・」といったマンネリ感を持つ人が多くなって来てしまったという。だが、それ以上に大きな問題があった。

 

「あんまり言いづらいのだけど、やっぱり議論が面白く無いんだよね…」(関係者談)。議会とは議論をする場だ。それなのに、その中で一番重要な議論が全然面白くなかったのだという。

 

兵庫県議会議員野々村氏の大泣き会見から、地方議会、地方議員の質が取り沙汰されている。ナイター議会という先駆的な試みを行うことの出来る三春町議会とこれらを比べるのもおかしいかもしれないが、地方議会にとって質を高め関心をもってもらうということは永遠に追求すべきテーマなのだろう。

 

■ 今後は休日開催も!

 

三春町はこれから議会の夜間開催だけではなく、休日開催も検討するという。

平成12年の三春町の傍聴者数を見て欲しい。非常に他の年よりも傍聴者数が多いことが分かる。「この年は、市町村合併、行財政改革で町が盛り上がった時期。そのため傍聴者数が激増したのだ」(関係者談)という。自分たちの町の行く末に関心を持っている町民が多いことが見て取れる。

 

そんな三春町の議員の質があがり、より面白い議論を繰り広げられるような議会を作ることが出来れば、①多くの人が傍聴に訪れるような議会となり、②それにより更なる議会運営方法の改善点を見出すことが出来、③様々な属性の町民の議会参加を促すことが出来るのではないだろうか。

 


これからも三春町の動きに期待している。

 

(地方議会ニュース 五島知佳 : http://gikainews.jp/ )

Photo: Naoki Ishii https://www.flickr.com/photos/56995298@N08/14082535295/

「標準市議会会議規則」って何?

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■1.市町村議会で「出産による欠席」容認へ

マスコミでも一部報道されていましたが、5月28日、全国市議会議長会が「標準市議会会議規則」を改正し、「出産」を理由に欠席できるよう規定を明記しました。
全国町村議会議長会も同様の規定が定められました。
http://www.si-gichokai.jp/official/blog/global/2015/05/28130036.php
http://www.nactva.gr.jp/html/research/rules.html
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015052602000242.html

市町村議会では、それぞれ「会議規則」という形で、会議の開催、欠席時の手続きなどを決めています。その際、多くの場合、全国市議会(町村議会)議長会の定める「標準市議会(町村議会)会議規則」を参考にしています。
「標準・・会議規則」では従来、「事故のため欠席できないときは・・議長に届出」という規定はありましたが、「出産」という欠席理由は定められていませんでした。
このため、多くの市町村議会でもそうなっていました。
ちなみに、国会や都道府県議会の標準会議規則では、10年以上前から「出産」による欠席が明記されていましたので、かなり遅れて、ようやく市町村議会に広がったわけです。

もちろん、これまで「出産による欠席」が実態上全く認められていなかったわけではありません。「事故による欠席」などとして届出がなされることが一般的だったようですが、「給料泥棒」などと非難されることもあったといいますし、そもそも、おめでたい出産を「事故」と称さないといけないこと自体、とんでもない話です。
正面から「出産による欠席」が認められたのは、子育て世代の女性たちが議会に参画していくためにも、大変重要なことといえるでしょう。

■2.「全国市議会議長会」と「標準会議規則」の実態?

ところで、「全国市議会議長会」などの団体は、どんな組織なのでしょうか?

「全国市議会議長会」のホームページによると、
・「地方公共団体の議会の議長が、その相互間の連絡、共通する問題協議及び処理のために設けた『全国的連合組織』であり、総務大臣への届出団体」であり、
・全国790市と23区の議長が参加しています。
設立されたのは昭和7年(1932年)と、ずいぶんと歴史ある団体だそうです。

http://www.si-gichokai.jp/

「全国町村議会議長会」も同様で、こちらは昭和24年(1949年)に設立されています。

知事や市町村長についても同様の全国組織があり、これらをまとめて、「地方6団体」と呼ぶこともあります(全国知事会、全国市長会、全国町村長会、全国都道府議県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村議会議長会)。

いずれも、市長村長や議長さんたちが集まって情報交換するための団体ということですがもうひとつの側面もあります。かつて片山善博・元鳥取県知事は「地方6団体の事務局は典型的天下り組織」と批判しました。現状でも、3つの議長会の事務総長は、いずれも元総務省の官僚、つまり国からの天下りです。

つまり、地方自治とはいいながら、事務局機能は国の官僚たちがおさえていて、全国の自治体や議会を陰に陽にコントロールしている姿が垣間見えるわけです。
今回話題になった「標準・・会議規則」も、こうした構図のもと、全国の市町村議会で概ねそのとおりに規定していたのでしょう。

■3.「会議時間」だけは自治体ごとにさまざま

多くの市町村議会の「会議規則」をみると、「標準・・会議規則」をそのままコピペしているようなものが大半です。
このため、どこの議会の会議規則も、だいたい同じような規定です。

ただ、一点だけ、議会ごとに違うのが「会議時間」です。
これは、「標準・・会議規則」で、「会議時間は○時から○時までとする」と記載されていて、それぞれの議会で自由に定めるようにしているためです。

実際に都道府県議会、市区町村議会の「会議時間」をみてみると、かなりバラバラです。
試しに東京近辺と愛知・大阪について、いくつかみてみると、比較的多いのは、「午前10時―午後5時」「午後1時―午後5時」のようです。

・「午前10時―午後5時」
<東京都>新宿区議会、北区議会、小笠原村議会
<千葉県>千葉市議会、市川市議会、
<埼玉県>埼玉県議会、
<神奈川県>横浜市議会、川崎市議会
<愛知県>愛知県議会

・「午後1時―午後5時」
<東京都>東京都議会、千代田区議会、港区議会、世田谷区議会、渋谷区議会、
<神奈川県>神奈川県議会
<大阪府>大阪府議会

一方で、以下のような例もあります。

・「午前10時―午後8時」
<愛知県>名古屋市議会

・「午前9時―午後5時」
<埼玉県>朝霞市議会
<神奈川県>葉山市議会

・「午後2時から午後6時」
<東京都>中央区議会、文京区議会

・「午後2時―午後5時」
<大阪府>大阪市議会

・「午前10時―」(終了時刻の定めなし)
<埼玉県>さいたま市議会
<千葉県>千葉県議

ちなみに、東西南北での違いもあるかと思って、根室市と那覇市を調べてみると、いずれも「午前10時―午後4時」でした。

もちろん、必要あれば延長できるようになっていることが通常ですし、委員会の開催時間は別になっていることも多いので、この時間がすなわち、それぞれの議会の「勤務時間」というわけではありません。
とはいえ、「なぜ午後2時まで会議を開催しないのか?」など、それぞれの議会の方たちに聞いてみたい気もします。

多くの自治体議会で「会議規則」は公開されています。インターネット上で、各自治体が公開している「例規集」で公開されていることが一般的です。
ぜひお住まいの自治体議会の「会議規則」で、会議時間を確認してみてはいかがでしょうか。
もし上記以外の面白い時間の定め方などの例がありましたら、編集部までご連絡いただければ幸いです。

(地方議会ニュース編集部 : http://chihou.gikainews.jp/ )

Photo: Janet Lindenmuth https://flic.kr/p/bbKcez

港区議会レポート『ポストを巡るよくわからない争い』(玉木まこと:港区議会新人議員)

https://flic.kr/p/of8BeX
■区議会ではビックリするようなことが起きています

4月26日の統一地方選挙で(定員34人中33番目で)初当選した港区議会議員の玉木真です。無所属・新人でこれまで政治とは縁のなかった私だから書ける市民目線で感じた議会や議員の活動についてレポートしていきたいと思います。

初めての選挙が終わり、あっという間に1ヶ月が過ぎました。当選翌日は当選証書の授与式があり、5月11日から区幹部職員との顔合わせ会、新人議員への港区概要説明会などの会議がポツポツとあるだけでした。
そして区議会事務局から会派結成について連絡があり、私は今期の港区議会で唯一の一人会派「街づくりミナト」をつくり、(一人なので当然ですが)幹事長となりました。

まもなく「会派代表者会議」という、その名の通り各会派の代表が集まる会議が開催され、私も「街づくりミナト」の代表として参加することになりました。この「会派代表者会議」が初めての個人の議員としての活動になり、どんな会議になるのか興味と不安を持って参加しましたが、既にいろいろなウェブサイトやメディアで報道されているとおり、この顛末がなかなかビックリでした。

■副議長のポストをめぐるよくわからない争い

選挙も終わり議会を開催するために、まず正副議長、監査委員、各委員会の正副委員長というポストを決めなければならず、この「会派代表者会議」ではどのような方法で決めるかについて話し合いが行われました。

すでに多数のメディアで取り上げられておりご存知の方も多いでしょうが、港区議会では、この副議長のポストをめぐってちょっとした騒動が起こっていました。簡単に説明しますと、民主4名・維新2名・社民1名・無所属3名の合計10名が新しい会派「みなと政策会議」をつくり、これまでの議長・自民、副議長・公明というポストが変わるかもしれない事態が起きました。

どういうことかというと、これまでのポストを決定する方法は、ドント方式という各会派で割り振る方法を採用しており、今回も同じ方法で決定するならば、10名の新会派は自民党13名に続く第二会派となり、副議長ポストを獲得できるというわけです。
そのようなことで、第1回会派代表者会議では、この新会派の結成について、自民党、公明党、共産党の3会派から「これまでの議会で政策が合致していない議員が多数集まった、ポスト狙いと思われる会派結成は認められない!」と意見が噴出しました。

結局、ポストを決める臨時議会開催までに実に6回(!)も会派代表者会議で話し合いを重ね、ドント方式は各会派の合意がなければ実施できないため、(民主主義の基本である)投票により全てのポストを決めることになりました。

私は一人会派なので、ドント方式でも投票でもポストが割り振られる可能性はほとんどありませんでしたが、一連の会派代表者会議では「港区議会として少数会派の意見を広く反映する意味でドント方式の継続に双方が歩み寄るべき」「双方がドント方式継続という視点に立って妥協案を提示できないか」「投票という結果になったとしても今後のドント方式復活に各会派が努力することを確認しましょう」という趣旨の発言をしました。

それを受けて、最後まで「ドント方式はできない」と主張していた自民・公明が、妥協案として「新会派10名を政党別に分けて、民主4名、維新2名にするならドント方式をしよう」と申し出ていたそうです。しかし、この妥協案も新会派は会派設立趣旨に反するとの理由から受け入れませんでした。(最後の双方が歩み寄るチャンスだったのですが。。。)

■不可思議な新会派の投票行動

このような状況で迎えた議長・副議長の単記無記名投票の結果ですが、これも大変ビックリな内容でした。
ドント方式ではなく投票に決まった以上、それぞれの会派が自分たちの主張を貫くものだと思います。したがって当然のように、私は自分の名前を書いて投票しました。

ところが新会派は、議長・副議長とも自民党・公明党の推薦する候補者に投票していたのです。私は、議会では全員一致でなくても民主主義の基本として多数派がポストを獲得することを当然のこととして受け止めつつ、一方でいろいろな候補者が出ることも自然だと思っていたので、この新会派の投票行動が不思議でなりませんでした。

臨時議会直前の会派代表者会議では、新会派が分裂するとの話題(噂?)も持ち上がっていたため、今回の合計6回の会派代表者会議で双方に歩み寄りを提案していた身としては無駄な時間を費やしたとの思いです。

また、私は、今回の選挙で政治にあまり関心のなかった沢山のボランティアに支えられて無所属・新人で当選しました。そして都心の港区から、無所属でも一人会派でも、街を良くするための議員活動がしっかりとできる状況が理想的だと考えています。
その一方で大人数の政党・会派が存在し、それを支持している人がいることも認識した上で双方が議論を尽くし、互いに政策を高めていく関係をつくっていきたいと思っています。

しかしながら、会派代表者会議で議論になっていない場面が多いことに大変驚きました。質問への回答が非常に曖昧で、ただ時間だけが過ぎてしまう、そんな時が多々ありました。もちろん港区議会の全議員がそうではなく一部の議員の話ですが……。
私は、新人議員としてしっかり議論・ディスカッションできるよう努めていきます。

以上、長々と書きましたが、これからも市民目線を忘れず、議会レポートを行っていきたいと思います。

(玉木まこと 港区議会議員 : http://makoto-tamaki-327.tumblr.com/ )
Photo: https://flic.kr/p/of8BeX

地方議会ニュースまとめ【2015年6月 第2週版】

https://flic.kr/p/5HPk1P
■ 大阪市議会で「大阪会議」設置条例可決
http://mainichi.jp/select/news/20150611k0000m040126000c.html

大阪会議(大阪戦略調査会議)は、二重行政の解消を目的とし府と大阪市、堺市が政策協議する枠組み。「大阪都構想」の対案として自民が議員提案した。委員計30人が同じテーブルで話し合う。橋下市長は「全く機能しないだろう」と切り捨てた。

■ 大阪市議たちの乱痴気騒ぎ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150611-00000505-san-pol
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150611-00010000-shincho-pol

焼肉店での会合にて、井戸正利市議(52歳・大阪維新)が「触診」と言って、本田リエ市議(42歳・大阪維新)の胸を触る。同会合にて田辺信広市議(49歳・大阪維新)も本田市議と抱き合ったりしていた。井戸市議は教育こども委員長を辞任した。

■ 秋田県・町村議長会、運営費でコンパニオン ~「地元情報を聞きたかった…」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150611-00000033-san-l05

秋田県・町村議長会が懇親会で呼んだコンパニオン2人分の料金(33,000円)を議長会運営費から支出していた。33,000円は議長会会計に返還したが、これまでも同様の支出あり。

■ 福島県三春町、ナイター議会廃止
https://www.minpo.jp/news/detail/2015060523253

平成11年からナイター(夜間)議会を導入していた三春町議会が同制度を廃止した。傍聴者の減少が理由。今後は議会の休日開催も検討する。

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