【麻美ゆま「HAPPY&SMILE」:連載12】「お金をためるなら東京がいい」と姉に誘われて上京したのですが、予想もしていない仕事をすることになりました。当時、姉は事務所に所属していたんですけど、私にも勧めてきて、「レースクイーンとかグラビアとかやったらいいじゃん」と言うんです。お金はたまらないかもしれないけど、人生経験としていいなと思ったのでやることにしました。
事務所の社長も「ぜひ来てくれ」と言うので、「留学のためのお金をためたい」と言うと、「じゃあ、クラブを紹介してあげる。そこで働いたらいいよ」と。誕生日に契約をして、翌日から六本木のクラブで働き始めました。
高崎でもハンバーガー屋、クレープ屋、居酒屋をやっていたので、接客業は好きだなと思ってました。だけど、クラブホステスをやってみると、無理だなと感じました。会話術なんてないし、男の人をいい気分にさせるコツが分からない。私はお酒も飲めない。戸惑うことが多かったです。働いたのは3か月くらいでしたが、新宿の高層ビルに同伴で連れて行ってもらったり、花束をいただいたり、“大人の世界”を楽しむことはできました。
グラビアは「麻生由真」の名前でやっていました。といっても仕事は数えられる程度です。週刊誌の新人紹介コーナーや、「としまえん」での撮影会とか。アイドル番組でキャットファイトもしたし、「煩悩ガールズ」という108人のユニットに参加したこともありました。
そんな生活をしているうちにふと、「東京に友達がいるわけでもないし、高崎に帰ってお金をためるのもいいかな」という考えが出てきました。上京前に友達の紹介で知り合った男性に告白されて、付き合うようになっていたこともあります。彼は純粋でグラビアには反対していました。「水着で世の中の男のおかずになってほしくない」って。「そんなことないよ」と思いながらも、高崎に帰ることにしたんです。
ところがです。事務所の社長に辞めることを伝えると、「はあ? 辞められないよ」と。何を言っているんだろうと思っていたら、「AVやったらいいじゃん」って言われて。「はい?」ってなるじゃないですか。
「AV女優になるために事務所に入ったわけじゃないし、そんなつもりはないから帰りたい」と言うんですけど、「AVだったら月に2、3日だけ東京に来て、高崎に帰ればいい」「ゆまちゃんの言っていることと何も違わないよ」「契約してるから辞められないんだからね」と、言い返されてしまって。とにかくその場から逃げたかったから、とりあえず「やります」と言いました。そうじゃないと帰らせてもらえそうにもなかったから。
とにかく怖い世界だなと。姉の紹介だからこそ逆に姉には相談できない。どうしようと思って、当時のマネジャーに相談したら、「辞めたいなら俺も社長のところに一緒に行くよ」と言ってくれて。だけど、私は終わったなと思ってました。
悩んだ揚げ句、私は母に相談することに決めたんです。
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