杉本昌隆七段のインタビュー、熱い。弟子を育てる覚悟、これからの夢、棋士としての最終目標など。日本将棋連盟モバイルより

夏とたい焼きの皮はアツいほうが好き。

さて、日本将棋連盟モバイルの中継アプリのコラムで、2015年7月30日に配信された杉本昌隆七段のインタビューが、夏らしくとっても熱いのでご紹介します。

聞き手は潤記者。

これまで同コラムの週1回のインタビューはすべて野辺記者が担当されていましたが、6月からは関東は野辺記者、関西は潤記者が1週ずつ交代でインタビューされています。

なお野辺記者のインタビューは定跡化が進んでいます。

野辺記者の質問定跡、阿久津主税八段に「変えましょうよ」と提案されるが・・・

引退覚悟

杉本七段の弟子といえば、女流棋士の室田伊緒女流二段と今年プロになったばかりの中澤沙耶女流1級。

そして今後ほぼ間違いなくプロになるであろう期待の星が藤井聡太奨励会二段。

タグ「藤井聡太」一覧

杉本七段はインタビューで、あるプロになれなかった弟子のことを思い「残念でした」、藤井二段は現在12歳で、加藤一二三九段(14歳7ヶ月)や谷川浩司九段(14歳8ヶ月)より「プロになるのが早い可能性もある」と述べた上で、以下のように覚悟を語っています。

彼(藤井聡太二段)がもし棋士になれなかったら、私は責任をとって引退しなければといった思い

えええ!!こういう覚悟で弟子の教育をされているとは!自分の人生をかける覚悟だ。これには藤井二段も嬉しいのか戸惑っているのか。

ちなみに藤井二段が奨励会の年齢制限である26歳を迎えるのは14年後。

杉本七段は現在46歳であり14年後は60歳。

おお?普通のサラリーマンの定年だった・・・。

ライバル

ライバルは誰か聞かれた杉本七段が、真っ先にあげたのは故・村山聖九段。

インタビューでは「村山聖君」と呼んでいます。奨励会での昇級が似たようなペースだったそうです。

きっと向こうも同じように思ってくれてたんじゃないかと思っています。

とのこと。なんかいいですね。村山九段が亡くなったのは1998年夏。もう17年も前の話です。

その他のライバルとしては、畠山兄弟、平藤眞吾七段の名前をあげられています。

居飛車をやるようになった理由

元々居飛車党で、しかし奨励会時代の14歳からはずっと振り飛車党だった杉本七段が、再び居飛車もやるようになった理由。

たしか村田君(村田顕弘五段)が、「いろんな戦法があるのに指さないともったいないので」と言った言葉に、大きな刺激を受け始めるようになりました。

15歳も年下の後輩の言葉に刺激を受け、しかもそれを堂々とインタビューで話すとは。お人柄が伝わります。

潤記者の「夢はありますか」に対する、杉本七段の返答。

変わらないですね。名人、タイトル獲得です。

!!失礼ながら現在46歳、B級2組在籍。名人という言葉が出るとは・・・。しかし、その後の言葉が。

40代になって改めて思うことは、10代、20代の思いと何も変わらないなということ。対局前や負けたあとなどはなかなか寝られず、悔しい思いもし、取り組み方もまったく変わっていないです

多くの弟子(8人)を持ち、40代も後半に差し掛かった棋士をもってしてこのお言葉。

感銘を受けるとともに、「夢はありますか」と切り出した潤記者の仕事ぶりが素晴らしいです。

杉本の振り飛車を

インタビューの最後にファンへの言葉を求められた杉本七段。これがまた熱い。

現代は振り飛車が居飛車に押されているように見えるが、実はこれまで最も戦えている全盛期であるとの見解、「角交換振り飛車」は本家藤井猛九段しか指しこなせないと思う、「藤井システム」の構想力に本当に感心させられる、などと振り飛車事情を述べた上で・・・。

その意味では自分も今後の棋士人生で、何か形に残るものを作り上げたい。
藤井さんがいい目標になっていますし、棋士としての最終目標は『杉本の振り飛車』を作り上げることです。

感動的ですらあります。杉本七段のあの雰囲気からは、このような熱いお話をされるとは想像できない。「杉本の振り飛車」というガツンとした響き。

今も振り飛車の本を執筆中だという(出版はまだ先らしい)ことで、「杉本の振り飛車」を楽しみにしております。

全文は日本将棋連盟モバイルで

その他、奥さんとはジムで出会ったとか(インストラクターなのか、ジムの受付係とかなのかは不明。でもインストラクターかなあ、話す機会が多いですし)、好きなタレントは河合奈保子さんだとか、ドラゴンズファンだとか(杉本七段は名古屋在住)、現代の将棋界への思いだとかを語られています。

1つのインタビューでありながら、杉本七段の人物像がよく浮かんでくるような内容でした。超ボリュームです。

全文は日本将棋連盟モバイルで御覧ください。

パワーアップした気がする

前述しましたとおり、6月からは潤記者が隔週で関西の棋士のインタビューを担当されています。

初回の浦野真彦八段から始まり、今泉健司四段、大石直嗣六段、中澤沙耶女流1級、そして今回の杉本七段。どれもそれぞれの棋士の個性がわかるようなインタビューになっていますので、この機会にご覧になってみてはいかがでしょうか。

また、野辺記者の定跡インタビューも、それはそれでメリットがあることがわかりました。比較しやすいとか、遠慮が生まれないとかです。特に7月9日配信の、将棋倶楽部24席主の久米宏さんへのインタビューの冒頭が面白いです。棋士ではない久米さんにも定跡通りに・・・。

野辺記者「ライバルはいますか?(定跡)」
久米さん「ライバル?ライ・・・ライ・・・ってぼく最近将棋やってないねえ。うーん、ジョブズがライバルかな。はっはっはっは(爆笑)」
野辺記者「ジョブズはさておき、将棋指してないんですか?」

定跡質問に戸惑う久米さん。悩んだ末に「ジョブズ」をひねり出したものの、それを「さておき」と切り捨てる野辺記者。

5月いっぱいで終了した日本将棋連盟モバイルのメールマガジン(インタビューなどが掲載されていた)では、終了にあたり以下のように告知されていました。

インタビューコーナーはこれからも日本将棋連盟モバイルのコラムでよりパワーアップして継続します

確かに、パワーアップしたような気がします。

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コメント

  1. kewpiehoney より:

    お世話になりマンモス。(マンモス先生、本日の対局お疲れ様でした)。

    杉本先生の、奥様とのなれそめについて 将棋ペンクラブさんで見つけました。
    http://shogipenclublog.com/blog/2014/11/03/sugimoto-2/

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。マンモスです、いや惜しかったですね。

      情報ありがとうございます。やっぱりインストラクターさんでしたか。
      ジムだと、インストラクターさんに運動を手取り足取り教えてもらえる(将棋で言うと指導対局か)ので、心惹かれる気持ちはわかります。
      そして勝負手。

      コメントありがとうございます。

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