新世界:外国人も「2度漬け禁止」 説明に留学生バイトも

毎日新聞 2015年07月28日 12時45分(最終更新 07月28日 13時29分)

中国人女性客に中国語で書かれた「2度漬け禁止」などの注意書きを説明する高宗佑さん(右)=大阪市浪速区の「串かつだるま通天閣店」で2015年7月14日、大島英吾撮影
中国人女性客に中国語で書かれた「2度漬け禁止」などの注意書きを説明する高宗佑さん(右)=大阪市浪速区の「串かつだるま通天閣店」で2015年7月14日、大島英吾撮影

 通天閣周辺の繁華街・新世界(大阪市浪速区)にある名物の串カツ店に最近、中国人などの外国人観光客が急増している。「ソース2度漬け禁止」という地元の独自ルールは外国人に理解されにくいため、中国語や英語を話せる留学生を採用する店も目立ってきた。外国語表示のメニューや注意書きを用意し、「免税」と銘打って消費税分を値引きする店舗もあるなど、外国人客の獲得に懸命になっている。【大島英吾】

 「串はソースに漬けてから取り皿に移してください。2度漬け禁止です」。新世界の「串かつだるま通天閣店」で、台湾人留学生のアルバイト、高宗佑(こう・そうゆう)さん(26)が、中国人観光客の女性(23)に中国語で説明していた。この女性は「通訳のおかげで理解できた。初めて聞くルールで新鮮だ」と驚き、慣れない手つきで串にソースをつけていた。

 高さんは米国生まれで中国語と日本語、英語の3カ国語を話せる。昨秋に来日し、専門学校で日本語を学びながら今年5月から同店で働いている。「僕自身、働くまでこのルールは知らなかった。説明すれば分かってくれるので、ルールを守って大阪の味と文化を楽しんでほしい」と話す。

 新世界の串カツ店は約10年前から増え始め、現在は約40店が軒を連ねる。中国や韓国の観光ガイドブックでも紹介され、近くの電器店街「日本橋」から串カツ目当てに足を伸ばす中国人が多いという。「だるま」を運営する上山勝也会長(54)は「外国人客はここ2、3年で2割を占めるほどに急増した」と驚く。

 苦労したのは独自ルールやマナーの徹底だ。当初は何度もソースに漬ける外国人客も少なくなかったが、外国語の注意書きに加えて、高さんら外国人スタッフらが対応。ガイドブックにもルールが説明もされるようになり、今は浸透してきたという。昨年4月には、この店舗を視察した安倍晋三首相にも「2度漬け禁止」を守らせて話題になった上山会長。「総理大臣も外国人も一緒です」と笑う。

 「新世界おやじの串や本店」ではルールの徹底のほかに、6月以降、外国人観光客向けに「8%免税」と銘打った割引サービスを始めた。消費税分を値引きするサービスで中国人の串の「爆買い」も呼び込むのが狙いだ。

 新世界の串カツ店でつくる「新世界串かつ振興会」は昨年4月から加盟店の店頭に英語・中国語・韓国語で「外国語のメニューがあります」などと書かれた共通ポスターを掲示。地域全体で外国人客の対応強化に取り組む。振興会事務局の森田貴さん(30)は「外国人にも安心して入店してもらえるようになった。海外での新世界の認知度は道頓堀や心斎橋に比べてまだまだ。串カツ文化に触れながら新世界にまた来てほしい」と話している。

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