<エンタメ小説>
ノミネート作品「SUGOI 50」

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残穢

<作品名>

残穢

<著者名>

小野不由美

<出版社・出版レーベル>

新潮社

<刊行年>

2012年刊行

刊行年は単行本の出版された年になります。

STORY

京都に住む女性小説家のもとに、久保さんという愛読者から手紙が届いた。最近、引っ越したばかりの久保さんのマンションでは夜な夜な、何かで畳を擦るような怪しい物音がするという。偶然、同じマンションの別のフロアでも怪異現象が起こっていることを知った小説家は、久保さんとともに調査を開始。そのマンションの周囲では、長年にわたって自殺や孤独死など、不幸な事件が頻発していることを知る。小説家はさらに古い記録を遡り、怪異の連鎖の源泉にあるものを探ろうとする。

作品の魅力

著者自身を思わせる語り手が、都内マンションで起こった怪異の謎に迫ってゆくというフェイク・ドキュメンタリー風の作品。作中で描かれる怪異にリアリティを与えるため、あえてルポルタージュを思わせる文体が採用されている。同時刊行された『鬼談百景』(こちらは読者の怪異体験談を作品化したもの)にも本書と共通するエピソードが含まれており、虚構と現実の境目はさらに曖昧なものにされている。体験談が持っている生々しい怖さを、フィクションに取り込むことが成功した作品。野心的な試みはホラーファンの賞讃を受けた。

DATA

・2012年、「ダ・ヴィンチ BOOK OF THE YEAR 2012」(小説ランキング50)第8位。
・2012年、「ミステリが読みたい!2013年版」第10位(国内部門)。
・2013年、第26回「山本周五郎賞」受賞。