ペルー大統領はカンカン グリーンピースが世界遺産に“落書き”
国際環境団体「グリーンピース」が、世界遺産のペルー地上絵のそばに巨大なメッセージを作成。これがペルー政府の逆鱗にふれた。同団体には、資金を供給する欧米スポンサーの思惑が見え隠れする活動も…。
《グリーンピース(Greenpeace)》
国際的な環境保護団体(NGO)。海洋生態系問題、オゾン層破壊、原子力問題、気候変動問題などを対象に活動する。1979年10月14日に、各国のグループを統合するかたちで、グリーンピース・インターナショナルが設立され、本部はオランダのアムステルダムに置かれた。その過剰な運動に対してエコテロリズムとして批判されることもある。(Wikipediaより)
世界遺産そばに巨大文字<2014年12月8日>
■グリーンピースが「ナスカの地上絵」付近にメッセージ
環境保護団体グリーンピースは、ペルーのリマで開かれている気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)に合わせ、世界遺産「ナスカの地上絵」の付近で、布で作った文字を並べた巨大メッセージを作成。
■「変化の時 未来は再生可能」とつづった
布でつくったメッセージを地上絵の近くに置き、COP20に参加する各国の指導者らに行動を呼び掛けた。
ペルー側は激怒<2014年12月9日>
■ペルー文化省「深刻な影響」
ペルー文化省は「違法な行動により、深刻な影響があった」とし、地元検察当局に通報。責任者を出国させないよう求めた。
グリーンピースが謝罪<2014年12月10日>
■グリーンピース「ペルー国民の感情を傷つけた」
ペルー、謝罪を受け入れない意向
■ペルー大統領、司法当局に遺憾の意<2014年12月13日>
ペルーのウマラ大統領は、検察当局が特定した12人は13日までに出国。ウマラ氏は出国禁止措置を却下した司法当局に遺憾の意を示した。ウマラ氏は「われわれは人類の歴史的遺産を侮辱するグリーンピースの脅威に直面している」と強い調子で批判した。
グリーンピースVSロシアで暴かれる団体の“裏の顔”
■ロシア、グリーンピースの30人に「禁錮刑」
グリーンピースは2013年9月、北極圏油田開発に反対するため、バレンツ海沖の掘削基地で抗議する直接行動に出た。活動家が海上から基地によじ登り、「北極を救え」と横断幕を掲げた。露治安当局は、18カ国から集まった30人全員を逮捕。最長7年の禁錮刑を言い渡した。
■オランダはロシアを提訴→減刑
ドイツ首相やノーベル平和賞受賞者らが非難。とくにグリーンピースの本部があるオランダは大きな反発を示し、活動家の釈放を求め、国際海洋法裁判所に訴えを起こした。後に、30人の訴因は海賊行為罪より軽い暴徒行為罪に変わった。
■ロシアの北極圏開発に世界から「監視の目」
グリーンピースの抗議で、ロシアの北極圏開発に監視の目が集まるのは必至。これこそが、同団体の“欧米スポンサー”の狙い。
■団体の抗議は「NGO」を利用した欧米からの“新手の圧力”
グリーンピースは、年間収入約350億円の資金力にものをいわせている。ロシア元副首相で国営石油ロスネフチのセチン社長の「誰がグリーンピースのスポンサーなのかを見てみろ」という言葉が事実を象徴しているが、つまり、団体による抗議は非政府組織を使った欧米からの新手の対露圧力という仕組みだ。
「市民的不服従」を“免罪符”に悪行も
《市民的不服従》
社会にはびこる悪政や悪弊をなくすために良心に基づいて、法律をあえて破ってでも抗議の意を示す概念。国家の強権や社会の矛盾に抵抗する市民運動の歴史的な経緯から生まれ、南アフリカの反アパルトヘイト(人種隔離)政策闘争や米国の公民権運動などで用いられた。グリーンピースも、この手法を奨励している。
■グリーンピースが「過激行為」の模範になる可能性も
世界には市民的不服従の趣旨を曲解し、免罪符にして暴力や脅迫を行う輩もいる。米英の治安当局が「環境テロ組織」として監視する「地球解放戦線」(ELF)や反捕鯨団体シー・シェパードの行為には、負傷者や放火被害が出ている。