靖国神社:公衆トイレに燃えた痕跡 時限式発火装置使用か

毎日新聞 2015年11月23日 21時59分(最終更新 11月23日 23時36分)

不審物がみつかったトイレ
不審物がみつかったトイレ

 23日午前10時ごろ、靖国神社(東京都千代田区九段北)の職員から「爆発音があり、煙が出ている」と110番があった。警視庁麹町署員が駆けつけると、神社の南門付近にある男性用公衆トイレの個室内に何かが燃えたような痕跡があり、乾電池や金属パイプ、リード線などが見つかった。けが人はなかった。同庁公安部は時限式発火装置を使った可能性があるとみて捜査本部を設置した。

 靖国神社では23日午前10時から、稲の収穫を祝う新嘗祭(にいなめさい)が開かれ、祝日ということもあって普段より人出が多かった。新嘗祭は予定通りに本殿で行われたが、七五三や本殿での参拝は安全を優先して新規の受け付けを中止した。

 捜査関係者によると、爆発音は1回で、トイレの一番奥にある個室で発生したとみられる。個室の床に乾電池数個があり、電池ケースに焦げたような跡があった。また、タイマーのような機械の部品も見つかった。天井の裏側に、長さ約20センチの金属パイプ4本が束ねた状態で置かれ、リード線が付いていた。

 警視庁は現場に爆発物処理班を出動させ、これらの不審物を回収した。金属パイプの中は何かが詰められている可能性があり、公安部で危険物かどうかを鑑定する。

 事件直前、紙袋を持った男がトイレの近くにいるのが防犯カメラに映っていた。また、トイレの天井には穴が開いており、事件との関連を調べている。

 靖国神社によると、1日に数回、境内の見回りをしているが、異常は見つからなかったという。神社の関係者は「警察官に見回りをお願いするなど、いつもより警戒を強化していく」と話した。【堀智行、山崎征克、太田誠一、深津誠】

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 靖国神社は警察官や消防隊員らが次々と駆けつけ、物々しい雰囲気に包まれた。

 爆発音のあった南門近くの公衆トイレ周辺では、重装備の機動隊員らが行き来し、歩行者の誘導などにあたる警察官が「爆発物の処理をするので下がってください」と注意を呼びかけた。その後、警察官が現場で見つかったものを運び出す姿も見られた。

 この日、靖国神社で行われた新嘗祭に参加した50代の男性は、「パン」と乾いた音を聞いたという。その後、消防車のサイレンが鳴り響き、宮司から「こんな日に残念だが、爆発騒動があった」との説明があったという。男性は「宗教にかかわりなく、こんなことをするなんて非常識で許せない」と話した。

 旅行で日本へ来ていたというパリ在住のフランス人男性(68)は多くの警察官が集まっているのを見て騒ぎを知り、「(フランスのテロのような事件が)日本でもしあったのなら、怖い」と不安げな様子だった。

 境内の一角では、イチョウのライトアップと日本酒の飲み比べのイベントが24日から予定されており、仮設テントの設営が進んでいる。イベントは予定通り開催する見通しだという。主催団体の男性は「会場に不審物がないか、24日の朝礼で呼びかける。お客さんの安全は絶対に守らなければいけない」と気を引き締めていた。【平塚雄太、島田信幸】