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【歴史戦】
記憶遺産で韓国、強制動員記録は申請せず ユネスコへ登録求める2件発表
【ソウル=名村隆寛】韓国文化財庁は25日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産への2017年の登録対象2件を発表した。登録候補とされていた日本の朝鮮半島統治時代の「強制動員被害記録」を除外し、対日債務返済に向けた20世紀初頭の「国債報償運動」と朝鮮王室の印章を来年3月までに申請する方針を明らかにした。
日本が7月に「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に登録させたことに対し、韓国では不満がくすぶっており、対抗措置として「強制動員被害記録」が登録申請されるとの見方が韓国メディアの間で出ていた。
中国が申請した「南京大虐殺」の資料が10月に世界記憶遺産に登録されたことについて、日本では「政治的利用だ」などと批判が起きており、外交にも影響が出ている。さらに、韓国政府には、今月初旬の日韓首脳会談で対日関係が改善の兆しを見せ始めているとの判断があるとみられ、今後の日韓関係を考慮した側面もうかがえる。
国債報償運動は、1907年に始まった対日債務返済を目指した運動で、国民の節約と募金によるものといわれる。