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【政治】

オッサン政治の壁 怒る女性議員 参政権70年、都内でシンポ

 終戦後に衆院議員選挙法が改正され、女性が参政権を得てから今月17日で70年を迎える。だが、いまだに国会や地方議会の女性議員の割合は、国際的に最低レベルの1割程度。男性中心の政治がもたらす問題を語り合うイベントが1日夜、東京都内の2カ所であり、女性議員たちが独善的で上から目線の「オッサン政治」の実態を報告した。 (柏崎智子、石原真樹)

 上智大学(千代田区)で、学生や研究者ら約二百人が参加して開かれたシンポジウム「女性のリーダーシップで社会を変える」。与野党の女性国会議員三人が顔をそろえた。

 「おしりや胸を触るのは当たり前。お酒が入ると、下着見せたら一票やると平気で言う。女性候補者がいかにみじめか思い知った」

 自民党の野田聖子衆院議員は、二十九歳で初めて国政選挙に出て落選後、次の選挙に向けて選挙区回りをしていた時に男性有権者から受けたセクハラの数々を打ち明けた。当時、同党の衆院議員に女性は皆無だった。

 初入閣した時は、男性先輩議員にすれ違いざま「スカートをはいていると大臣になれるんだな」と言われ、凍り付いた。「いい子にしていれば引っ張ってくれるが、かわいくないことをするとたたく。『背伸びはいいけど、おれと肩を並べちゃいけないぜ、ベイビー』みたいな」

 民主党の辻元清美衆院議員は、五月に安全保障関連法の審議で安倍晋三首相から「早く質問しろよ」とヤジを飛ばされた。「私が男だったら飛ばさなかっただろう。いつも質問席に立つだけで男性議員らからヤジの嵐。生意気な女だという思いが突き刺さる」と女性蔑視の空気を語った。

 少数でも女性議員がいることで、政策の中身は変わる。民主党の蓮舫参院議員は、児童虐待防止法の制定に取り組んだ時、男性議員がなかなか理解を示さなかったと話した。「『しつけでしょ』と。しつけで内臓破裂しますか」

 米国ではヒラリー・クリントンさんが大統領選の有力候補となっている。日本で女性総理は誕生するかという質問に、野田さんは、九月の自民党総裁選で告示直前まで立候補を模索した経緯を振り返り「不可能ではないという感触を得た」と答えた。次回への意欲も語り、会場を沸かせた。

    ◇

 「オッサン政治」は、男性ばかりが幅を利かす今の政治に物申そうと、フェイスブック上のグループ「全日本おばちゃん党」を立ち上げた谷口真由美大阪国際大准教授が使い始めた言葉。女性たちのうんざりした気持ちに合って共感を呼び、「怒れる女子会」でも合言葉になっている。

◆地方でも

 渋谷区の東京ウィメンズプラザでは、男性中心の政治から脱却を呼び掛ける市民団体が「怒れる大女子会2015」を開き、約百人が参加した。四月の統一選で初当選した女性議員らが地方議会の現状を語った。

 自身がシングルマザーの太田安由美(あゆみ)・高松市議は、つらい思いをしている女性を助けようと議員になったが、地域や議会では「女は政治に口を挟むな」という圧力が強く、ストレスで髪の毛が抜けたという。「委員会の司会をしながら居眠りする男性議員もいて、勘弁してほしい」

 加賀谷富士子・群馬県議は、選挙に出ると「子どもが小さいのに」と批判されたが、「地元から女性議員をという後押しもあった」と報告した。

 怒れる大女子会は、昨年十一月に続き二回目。前回からの一年間で、趣旨に賛同した各地の女性たちが独自に「怒れる女子会」を開く動きが広がり、その数は百近くに上った。愛媛県の女性市議は「二十年続けた議会に女性を送る活動が途絶えそうだったが、女子会で新たな風が吹き込まれた。来年の参院選には女性候補を立てたい」と発言した。

 

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