北海道旅客鉄道(JR北海道)は29日、北海道庁が主催する地域公共交通検討会議で、2014年度の道内全30線区の収支状況を明らかにした。人件費などの管理費を含めると都市部の札幌圏をはじめ全ての線区が営業赤字だった。また、全体の3割超の駅で利用者が1日10人以下にとどまることも示した。
JR北海道はこれまで利用者の少ない10線区の収支は公表していたが、全線区の状況を明らかにするのは初めて。都市部で利用者の多い函館線小樽―札幌間などの札幌圏も26億円の赤字で、鉄道事業の厳しい実態が浮き彫りになった。
函館線函館―長万部間が42億円の赤字で最も赤字幅が大きかった。鉄道事業全体では414億円の赤字。一方で、1日平均の乗車人員が10人以下の「極端に利用の少ない駅」が道内で159駅と全体の35%を占めた。
JR北海道の小山俊幸常務は会議で「各線区の収支は大変厳しい。(橋梁など)土木構造物も老朽化し、大規模な更新が必要になる」などと強調した。委員からはJR北海道の経営実態を踏まえ「どの路線が必要かまで具体的に議論しないと前に進まない」といった踏み込んだ意見が出た。
同会議は鉄道やバスなど道内の地域公共交通網の将来像を探るため昨年11月にスタートした。
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