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目的

筑波大学計算科学研究センターは、科学の諸領域における超高速シミュレーションおよび大規模データ解析を中心とする研究、ならびに超高速計算機システムおよび超高速ネットワーク技術の開発と情報技術の革新的な応用方法の研究を推進しています。扱う科学の領域は、素粒子宇宙・物質生命・地球生物環境など多岐にわたります。超高速・大規模を実現するための計算機システムの開発・利用技術、また計算知能、計算メディアなどにおける先進的な計算機応用技術の先進的研究を行っています。

本センターは、平成4年(1992年)度に設置された計算物理学研究センターを前身とし、平成16年(2004年)4月に設置されました。上記の研究開発を行うと機関であると同時に、これらの研究に従事する外部の研究者の利用に供する全国共同利用施設としての機能ももっています。2010年には、共同利用・共同研究拠点「先端学際計算科学共同研究拠点」(Advanced Interdisciplinary Computational Science Collaboration Initiative:AISCI)に認定されました。

計算科学研究センターのビジョン「学際計算科学」

計算科学は、超高速計算機と高速ネットワークを中心的な研究手段とします。その発展には、計算機を活用する科学諸領域の研究者と、ハードウエアからソフトウエア、アルゴリズム、プログラミングの研究を行う計算機科学、データやメディア処理の研究を行う情報科学の研究者、両者が共同して研究を行うことが重要となります。

本センターは設置以前から、基礎科学分野において長年にわたりこのような共同研究体制を構築し、その中から稼動を開始した経緯があります。このシステムを最大限に活用し、基礎科学に加えて、物質・生命・環境などにおける計算科学の研究の発展を目指しています。

これまで、物理学者と計算機科学者の協力により、超並列計算機「CP-PACS」の開発・製作(1996年10月完成時点で世界最高速を達成)と、それを用いた素粒子宇宙分野の世界最先端の研究の成果を挙げてきました。平成18年(2006年)度から国立大学法人運営費交付金特別研究経費の交付を受けて、高性能超並列クラスタ「PACS-CS」を開発運用しました。さらに2007年には、学際的な研究協力により、複合型並列計算機「宇宙シミュレータFIRST」を開発しました。

本センターがこれまで推進してきた「学際計算科学」は、計算機科学をベースとして、さまざまな分野の科学の間の連携を高め、推進するものであり、世界的に見ても非常にユニークな研究活動です。このアプローチは、現在のペタフロップスの計算技術を超えて、エクサスケールの計算科学への重要な鍵になると考えています。

国際的な研究協力体制

計算科学の研究における国際的な協力は学際的な計算科学を促進、加速させるために重要な活動です。

ILDGは、格子QCD(量子色力学)の配位データを全世界レベルで共有するためのデータグリッドを開発する国際プロジェクトです。このプロジェクトでは、QCD配位とアンサンブル(共通する部類パラメータを持つ配位の集合)を記述するXMLベースのマークアップ言語を開発しました。アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリアおよび日本ではすでに地域ごとのグリッドが構築されています。

JLDGは、ILDGの日本のグリッドです。各地域のグリッドとはファイルのダウンロード操作で互換性があり、相互のデータに同じ操作でダウンロードができるようになっています。すでに、多くのデータがアーカイブされて利用できるようになっています。なお、JLDGに関しては、国立情報学研究所が進めている「サイバーサイエンス基盤プロジェクト(CSI)」の支援を受けて研究開発が行われました。

国内の研究協力に関しては、T2Kシステムの調達以来、東京大学と京都大学との間でT2Kアライアンスとして研究協力を進めています。我々はこのアライアンスでの共同研究を、ペタスケールコンピューティングにおいても、計算機設備、計算科学の研究について協力を進めていく方針です。

また、つくば市には本学の他に多くの国の研究機関があります。この特徴を生かし、高エネルギー加速器研究機構(KEK)、産業技術総合研究所(AIST)、物質材料研究機構(NIMS)、気象研究所(MRI)、国立環境研究所(NIES)などの主要研究機関と、すでに密接な研究協力関係を結んでいます。

今後、これまで進めてきた国内外の研究協力を強化、展開し、共同研究に向けて研究者や学生の交流を行うための懸け橋として活用していきます。この方針に沿って、科学と計算科学の最先端の研究に従事する研究者を招聘する「計算科学研究者招聘プログラム」を実施しています。

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