ここで話すのは毛鉤の操作についてだが、貴方はどの様なラインシステムを御使いだろうか?
毛鉤を意のままに操るためには、重要と成る要素だからだ。
では、次に示す(例)で説明しよう。
(例) 竿3.6m ライン3.6m+ハリス1.7m(ライン4.5m+ハリス0.8m)
    竿3.6m ライン6.0m+ハリス0.9m

上記の図が表すのは、(例)に上げた竿とラインシステムを使ったケースを1/100に縮尺して、
立ち位置からの毛鉤の着水点を記した。 勿論、ラインの弛みはゼロとしてだ。
釣り人の身長は170cm(頭頂で竿を振る事は無いだろうから、実際にはもう少し下となる)
として、水面との高低差は無いものとする。
 ここで確認しておきたいのだが、皆さんが可能なアワセ位置とは・・おそらくは、11時と12時の
間の位置が限界ではないだろうか?(垂直の位置では、毛鉤の操作は困難となるからだ。)
また、竿を下げて操る限界は、10時の位置だと考える。
 そう考えた場合に、毛鉤の操作を可能としアワセが出来る範囲は、3.6mラインで斜線部分
となる。

3.6mラインの有効範囲は、10時から11時〜12時の間となる。
では、6.0mラインでは如何なのか? 黒と赤の点線部分がそれだ。 しかし、6.0mラインを
10時の角度で使えば、実際にはラインの弛みにより、毛鉤の的確な操作は不可能だろう。
何故ならば、ラインの弛みから想定される、毛鉤の不自然な動きが生じるためだ。 0.9mの
ハリスは殆んどが水面上にあり、ナチュラルな動きが望めない(流れに引かれる為)。
そのような状況では、毛鉤の操作は望めないだろう!(赤の点線範囲)
6.0mラインの有効範囲は、10時〜11時の間から11時〜12時の間となる。
このように、長いラインを使うことによって、操作範囲を狭くしていると言える!!
続いて4.5mのラインの場合には、有効範囲は3.6mラインと同じなのだが、10時の角度の
操作を行う時が問題となる。 同じように、ラインの弛みを考えに入れるならば、初心者がライン
によって、水面を叩く確率が高いという事だろう。(4.5mは、図中に無し)
 参考だが・・竿4.5m ライン4.5m+ハリス1.7mの場合。
有効範囲は、10時から11時〜12時の間となり、毛鉤の着水位置は、4.3m〜9.5mとなる

以上が、毛鉤にアクションを加えて操作が可能な範囲であり、ラインの長さによる違いだろう。
貴方が、毛鉤を打ち込む流れの幅(ポイント)を思い出してほしい。
適した選択が成されているだろうか? ラインシステムの選択は、毛鉤の操作を考える上で、
最も重要ではないだろうか!!!
これによってアプローチが左右され、立ち位置も変わってくるのだ。 
 
上図が示すように、それぞれの角度の竿先からは、直線で画いたラインシステムが伸び、
水面上にある毛鉤までの到達距離を表している。
この図を見てお解りだろうが・・(身長+3.6mの竿)と(3.6mライン+1.7mハリス)の
関係だ。 それぞれが等しく、二等辺三角形の一辺であることだ。 
それ故、どの角度であっても、毛鉤から水面上に着水することとなる。
確かに・・(4.5mライン+0.8mハリス)でも同じ長さなのだが、初心者の振込みに見られる、
ラインの失速を考慮するならば、(3.6mライン+1.7mハリス)の方が、理想的だろう。
(重要) 振込みの練習中にハリスに結び目が生じるようであれば、1.2mから始めてほしい!
身長170cmを(例)としているが、ハリスの長さを決める時には・・(身長ー30cm)で良い。
 

毛鉤の誘惑
操作編

ライン・システム

打ち込みと操作

種類

毛鉤の流し方には、どの様な方法があるのだろうか? まずは、昔からの一般的な例を示す。
 1) 流し釣り
 2) 引き釣り
 3) チョンチョン釣り(チョウチン釣り) 
 4) 逆引き釣り
 5) 叩き釣り

流し釣り
最も一般的な釣り方だろう。 渓魚が待ち構える上流を目掛けて毛鉤を打ち込み、
流れに沿って、自然に流す方法だ。 
フライで言うのであれば、ナチュラル・ドリフトだろう。

引き釣り
打ち込んだ毛鉤に対して、軽いテンションをかける事で誘導し、流れを横切る形で流す方法だ。
10時の角度で毛鉤を打ち込んだのであれば、11時の角度方向へ操作する訳だ。
向こう岸目掛けて打ち込んだ毛鉤は、自然と下流へ向かう。 
そこへ竿の操作が加わった事で、手前に引かれる動きが追加されるのだ。
 その形が扇に似ている所から、扇引きとも言う。

チョンチョン釣り
源流域の餌釣りの要領で、極端に短いラインの釣り方だ。 ラインシステムは、竿の長さの
約半分。 短いラインを上下することで、毛鉤は水面上をチョンチョンと跳ねる動きをする訳だ。
竿とラインシステムを見た場合に、堤燈の形態に近いことから・・・・こう(堤燈釣り)と、
呼ばれている。 
だが、この釣り方には問題点も多い。 簡単だが、以下に記すことにした。
(1) ラインが短いためにアワセ時の負荷が掛かり易く、糸切れ・竿の破損を招く。
(2) 魚が掛かった状態でも、竿の特性を生かしきれない為、やり取りが困難となる。
(3) アワセ切れを防ぐためには太いハリスを使うことになるが、
更なる竿への負担が増す事を考えれば、硬い竿の選択が要求され、
テンションの増加(毛鉤を吐き出す原因)となる。
 唯一の利点は、木々の茂った狭いポイントでも使えることだろう。 
 打ち込んだだけで食い付く、ピュア(岩魚等)な魚には、非常に適した釣り方と言えるだろう。

逆引き釣り
自然に流す操作と異なり、テンションが掛かった状態を演出する釣り方だ。 具体的に話すと、
こうだろう。 打ち込まれた毛鉤は・・一瞬ではあるが、水面下を自然に流れる。 そこに、竿の
操作を加えて、毛鉤を上流側に引き戻す動作を与える。 蜉蝣等の昆虫が水面に落ち、
もがきながらも飛び立とうとする形に近いだろう。 毛鉤を打ち込み、
この動作を2〜3度繰り返すことで、渓魚の興味を引く釣り方と言える。

叩き釣り
昔から伝わる、代表的な釣り方。 毛鉤を打ち込んだ後、
タイミングを図って引きあげる訳だが、掛かる確率が高いのは、
3つ数えた時だと言われている。
勿論、一定のリズムで繰り返しただけではないだろう?
時には・・ポイントに対して素早く2〜3度打ち込み、次の打ち込みで、
食わせのタイミングを計った事だろう? 
そう考えると・・・現在にも近い釣り方が存在しているのだが・・理論的には、応用と言えるのか? 

以上
ここまで述べた内容が、昔からの操作方法と言えるだろう? 
ここから先は、私の実際の誘い方を紹介することにしよう! 
当然のことながら、これもまた・・応用であることを断っておきたい。
 

赤い線 3.6mライン
青の線 1.7mハリス
黒点線
6mライン+ハリス0.9m
赤点線
6mライン+ハリス0.9m