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【スポーツ】

[ボート]中野紘志が帰国 軽量級ダブルスカルで五輪枠獲得

2016年4月27日 紙面から

日本の五輪出場枠を獲得して帰国し、笑顔の中野紘志=羽田空港で(川村庸介撮影)

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 ボートのリオデジャネイロ五輪アジア・オセアニア予選の男女軽量級ダブルスカルで五輪出場枠を獲得した日本代表が26日、大会が行われた韓国・忠州から羽田空港へ帰国した。昨年10月にNTT東日本を退社して五輪出場を目指した中野紘志(28)=新日鉄住金=は、五輪本番での代表入りとメダル獲得へ気持ちを新たにした。

 難関大から大企業という約束された未来をなげうってまで五輪に懸けた思いが実現するまで、あと一歩のところまでこぎつけた。中野は「税関申告書の職業欄に『漕手』と書いて帰ってこられたので、オリンピックという結果がついてきたのはうれしい」と、アジア予選2位で日本の出場枠獲得という結果とそこに至るまでの決断に、充実感をにじませた。

 初めてオリンピックを意識したのは1998年長野五輪でスピードスケートの清水宏保さんを見てからだという。当時やっていた水泳では才能の差を痛感したが、一橋大入学後に始めたボートで「もうちょっと、もうちょっとの延長でここまで来た」と五輪が手の届くところまでたどり着いた。

 五輪を目指し、昨年10月にはNTT東日本を退社。ハローワークにも通ったが「お金はなくなったけれど、優しい人がこんなにいたんだと思った」と悲観的になることはなかった。4月からは茨城県にスポーツ専門員として採用され「競技力の向上が勤務なので、プロだと思う」と、思い描いていた地位も手に入れることができた。

 今後は5月の強化合宿で中野を含めた3人の候補から2人が五輪代表となる。「社会人としてボート界全体を相手に仕事ができればという思いで優勝を目指したい。いろいろな人に迷惑をかけた分の心配料、不安料も返したい」。ボート史上初のメダル獲得へ、マメだらけの手でオールを握り続ける。 (川村庸介)

 

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