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【夏季清酒特集】【ご飯周り特集】

特集

【夏季清酒特集】【ご飯周り特集】 (6/13)

【夏季清酒特集】

▽日本酒ブームは間違いなし

▽特定名称酒の伸びが顕著

果たして日本酒ブームか否かについては賛否があると思う。大容量パックの落ち込みが激しく、トータルでのマイナス基調というのは引き続き変わらない。ただ、ここ数年の特定名称酒の伸びには目を見張るものがある。本特集では、イオンリテールの酒類バイヤーに日本酒売り場の現状と今後の商品施策を聞くとともに、東京で増えているが、神戸では珍しい飲み放題の日本酒店を取材。日本酒を取り巻く現状と今後の可能性を探った。

 

日本酒造組合中央会がまとめた2016年1~4月の清酒出荷数量は、前年対比1・2%減の16万6769Klで推移している。ボリュームの大きい一般酒が3・9%減と落ち込み、全体を押し下げる要因となっている。本醸造酒も4・5%減と、特定名称酒で唯一マイナスだ。ただ、吟醸酒は10・9%増、純米吟醸酒も16・0%増といずれも2ケタ伸長で、純米酒も8・0%増と大きな伸びが目立つ。

ちなみに、昨年1~12月累計の数字を振り返ると、吟醸酒は10・5%増、純米吟醸酒は15・2%増、純米酒は4・0%増だった。さらに一昨年の1~12月累計を確認すると、吟醸酒は7・4%増、純米吟醸酒は8・1%増、純米酒は3・1%増といずれもプラスで着地している。特に吟醸酒と純米吟醸酒の伸びは顕著で、他食品を見回してもこれだけ好調なカテゴリーはなかなかない。これはもう日本ブームと断言しても間違いないだろう。

 

ここで製造量の半分近くを占める大手メーカーの状況を振り返ってみたい。3月期決算となる灘・伏見・伊丹の清酒メーカー9社のうち、前期に数量ベースで前年超えを果たしたのは3社だった。前年を割ったメーカーが理由として挙げるのは、やはり大容量パックの不振というのが共通している。上位3銘柄で十分といった声もSMから聞かれ、下位ブランドほど苦戦しているのは数字でも表れている。ただ、構成比の大きいパックの落ち込みをカバーするには至っていないもの、各メーカーはいずれも特定名称酒に例外なく好調だ。

トップメーカーの白鶴酒造は「白鶴 大吟醸」は前々期に続いて2ケタ増となった。他メーカーも同様に、大吟醸に関しては2ケタ増が目立つ。小西酒造も「大吟醸ひやしぼり」の22%増だったが、「吟醸ひやしぼり」は78%増とさらに大きな伸びを見せた。後者は発売時に参考小売価格800円がSMから注目されたものの、「1000円クラスの大吟醸が多くなるにつれ、単価が下がることから大吟醸へとニーズが変わっていった」(同社)と振りかえる。ただ、最近はPBの大吟醸も増えて価格が下がっていることを指摘し、「SMでも価格の見直しがあり、いいお酒で800円台の商品を探しているようだ」(同社)。

 

純米酒カテゴリーの好調も目立つ。白鶴酒造の「特撰 白鶴 特別純米酒 山田錦」は2ケタ伸長を継続しており、菊正宗酒造も「上撰 さけパック・生酛純米」を中心に純米カテゴリー全体で45%増だった。純米酒の売り上げナンバーワンを掲げる沢の鶴は「米だけの酒」が1・8Lと900mlで2ケタ増、辰馬本家酒造の「純米パック」は20%増以上と好調だ。

大関の昨年秋の新製品「醴 RAI」は、半期で約1億円を売り上げ、同社の中容量瓶の中でもトップランクのアイテムに躍進。30~40代の購入者が六十数%で、メインターゲットとしていた層が購入している。小容量の展開が欲しいという声に応えて、新たに300ml瓶も投入した。

菊正宗酒造が昨年秋冬の新商品として投入した「香醸」は、大吟醸や純米大吟醸に引けを取らない香りが楽しめるのが特徴。ハウス冷酒として提案しており、1・8Lと300mlに加えて、春に720mlを発売。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」で金賞を受賞した。試飲会を実施すると、どこで買えるかについての問い合わせも多いという。

 

【ご飯周り特集】

▽汎用性の高い調味料として訴求

2015年のふりかけ市場は前年から金額ベースで微増となった。数量は横ばいも、価格改定や売価底上げにより金額ベースで前年を上回った。本紙推計による市場規模は小売ベース624億円、内ソフトタイプは63億円強を占めた。昨年は構成比の大きな直詰めドライが堅調に推移したことに加え、ソフトやチルドが伸長。対して混ぜ込みは、近年の鈍化傾向から抜け出せずにいる。

一方、お茶漬け市場は約185億円と推計。大きく下げた前年からさらに減少した。断然トップシェアの永谷園が、5月17日「お茶漬けの日」に向けて市場の盛り上げを図ったほか、夏場の冷やし茶漬けの提案などさまざまな施策を継続するも、7月からの価格改定で浸透に時間を要したことが響いた。ただ年末には回復へ向かい、今年に入って1月から5月のお茶漬け市場は、前年を上回って推移している。

 

特に今年は、丸美屋食品「家族のお茶漬け」が10周年の節目を迎え、同社は秋にかけて記念キャンペーンを実施。「昨年5月から売り上げを伸ばし、今春のテレビCM投下でさらに活性化している」とし、これまで強かったドラッグストアよりも、むしろ食品スーパーでの伸びが顕著で配荷率も上昇傾向だ。

お茶漬けでは、永谷園の冷やし茶漬けやトッピング提案とともに、各社が夏向け商品の店頭化を進め、夏需活性化を狙っている。すでに最需要期の年末以外に、夏場にも需要の山場が出来つつあり、朝食など食シーンの広がりとあいまって、ブランドスイッチにとどまらない、市場の再活性化が大いに期待される。

 

コメ消費が伸びないなか、ふりかけ・お茶漬けなどご飯周り市場の堅調ぶりからは、各社が取り組む新規需要層の開拓に一定の成果が出始めていることがうかがえる。したがって、中高年齢層を意識したふりかけの開発や若年層に響くお茶漬けの提案、さらにご飯に限らない汎用性の高い調味料としてのご飯周り商品の提案が、今後ますます活発化する見通しだ。

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