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井上鑑 千律譜 BASHO
記事一覧
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11.08.03
Wed

想瞬組曲 Vol-32 「命なり」

  いきなり冒頭で結論を呈示してしまう音楽の代表例と言えば、ジャジャジャジャーンと書くだけで通じてしまうベートーベンの「運命」に尽きるだろう。 古今東西、これほど老若男女、...

11.07.08
Fri

想瞬組曲 Vol-31 「雉の声」

  僕は雉の声を生で聞いた経験がない。姿を見たのは遙か昔、中学生時代に丹沢のどこかで「あれ、何だか大きな鳥」と藪の向こうを駆け抜けていくのに驚かされたことがあった。つい最近も...

11.06.28
Tue

想瞬組曲 Vol-30 「しきりに恋し」

  「しきりに」という言葉は珍しいと思ったことも難しいと思ったこともなく、小さい時からしばしば、それこそ「しきりに」使ってきたものだ。改めて見直してみて「頻く」という言葉から...

11.06.25
Sat

想瞬組曲 Vol-29 「父母の」

  ここに一曲の歌曲がある。「我が母の教え給いし歌」という邦題がついているこの曲はチェコの作曲家アントニン・ドヴォルザークの作品で、ジプシー歌曲集という7曲の短い歌曲を集めた...

11.06.08
Wed

想瞬組曲 Vol-28 「沓の音」

  コスタ・デル・ソルと言えばスペイン南部に位置する世界有数の観光地。イギリスやドイツの一般大衆向け団体専門リゾートから富豪向け超高級ホテルまで様々な施設が軒を連ねる、絵に描...

11.04.30
Sat

想瞬組曲 Vol-27 「氷の僧の」

  氷の僧とは白無垢の装束に身を包み、冬から春への転換を体現する存在のイメージであると言う一文を読んだ。氷だ、冷たいぞ、厳しいぞ、東大寺の二月堂での儀式なんだから当然だ、と考...

11.04.05
Tue

想瞬組曲 Vol-26 「水取りや」

  ジョニ・ミッチェルが1988年にリリースしたアルバム「Chalk Mark In a Rainstorm」に「Cool Water」という曲が収められている。アルバムの6...

11.03.01
Tue

想瞬組曲 Vol-25 「返り花」

  返り花とは二度咲きした花のこと、と辞書にはある。直接的すぎる連想だろうが、いきなりホロヴィッツのショパンが僕の耳に蘇ってきた。どうやらこの言葉には「身請けされた遊女が再度...

11.02.16
Wed

想瞬組曲 Vol-24 「雪もや水の」

  このところ、世界中で冬も夏も異常気象である。何時でも決まって異常なのならば、それは正常だと呼ばなくてはならないはずだが、人々は願望を込めてこれは異常事態なのだと話し合い続...

11.02.09
Wed

想瞬組曲 Vol-23 「波の花と」

  出掛けていかないと、たどり着けない場所がある。当たり前すぎてわざわざ言うことも無かろうというようなものだが、最近ややもすると忘れ去られがちな、「当たり前」である。「波の花...

11.01.20
Thu

想瞬組曲 Vol-22 「ほととぎ朱」

    2010年11月、南米はペルー・エクアドルへ演奏旅行に行くことになり、参加者一同の希望で、世界遺産の中でも超人気のマチュピチュを訪れることになった。フ...

10.10.07
Thu

想瞬組曲 Vol-21 「染むる涙や」

  久しぶりに思い出したジノ・バネリGino Vannelliについて書いた拙文に意外なところから素早い反応があった。さる人が「それならばこの曲はどうですか」という通好みのピ...

10.08.26
Thu

想瞬組曲 Vol-20 「岩躑躅」

  躑躅の名前の由来は筒状の花であるところから来ていると言われているらしい。つつじと読むには強面のこの漢字からは、幻想の世界につながるドアが見えてくる。繊細さよりは字画数の威...

10.08.02
Mon

想瞬組曲 Vol-19 「火中哉」

  その昔、この手紙は読み終わったらすぐに火にくべて焼却して下さい、という意味で文末に「火中」としたためる習わしがあったという。もし、その様な手紙を受け取った人が全員手紙を燃やしていた...

10.07.02
Fri

想瞬組曲 Vol-18 「いろはもかきて」

  「見立て遊び」については松岡正剛「日本流」がナヴィゲーターを超えたナヴィゲーターである。本シリーズで文章の引用は珍しいが此処はまず一行、松岡さんの言葉をお読みいただこう。...

10.06.21
Mon

想瞬組曲 Vol-17 「文ならぬ」

  文ならぬメールの時代である。銀塩写真ならぬデジタルフォトの時代でもあるし、文化的家庭にはピアノならぬデジタルピアノが省スペースでこぢんまりと鎮座する時代になった。台所なら...

10.05.04
Tue

想瞬組曲 Vol-16 「桜哉」

  前回に引き続きキャロル・キングについてもう少し見つめてみたいと思う。彼女と盟友ジェームス・テイラーの日本公演は、最近僕が聞いたコンサートの中でも白眉と言うべきものだった。...

10.04.20
Tue

想瞬組曲 Vol-15 「事思い出す」

  キャロル・キングという名前に反応する人は少なくないはずである。当たり前すぎて書くのもはばかられるが、彼女の作った曲の数、そしてその中にきらめく驚くべき量のヒット曲、活動歴...

10.04.14
Wed

想瞬組曲 Vol-14 「さまざまの」

  さまざまのものを集めて分析する、保存する、時には転売する、という行為にかけて英国人にはなかなか太刀打ちできないものだ。大英博物館や自然史博物館を観光客としてかいま見るだけ...

10.04.06
Tue

句楽眩想曲集 Vol-13 「柳哉」

  柳と聞けば思い描くシェイプがある。水辺に植えられることが多いためか、山野ではなく人間生活の傍らにあるイメージも強い。枝垂れるその姿からは四谷怪談や入水したオフィーリアなど...

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