覚え書き
X11 for Mac OS X Part 2.

2004/09/20 Update


目次
はじめに
インストール
X11を使う
アンインストール

Part 2.
X11のmake
Fink使用法
日本語環境の構築例

Part 3.
Tips
その他のパッケージシステム
リンク

X11のmake

通常は必要無いが、ソースコードからX11を再構築することも可能である。

再構築の手順

1. READMEファイルには「Mac OS XインストールCDに含まれるX11LibAppleバイナリパッケージのインストールが必要」と記載されているが、この単体インストーラが見当たらない。
また、公開されたソースコードにはquartz-wmウィンドウマネージャが含まれていないので、一旦X11のバイナリごとインストールしておいたほうが良いだろう。

2. AppleのサイトからX11 v1.0のソースコードをダウンロードする(約62.1MB)。

3. ソースコードを適当なディレクトリに解凍する。

$ tar xvzf X11ForMacOSXSource-1.0.tar.gz

4. xcディレクトリに移動。

$ cd X11ForMacOSXSource-1.0/xc

5. Xを再構築し、root権限でインストール。

$ make World
$ sudo make install
$ sudo make install.man

Fink使用法

Finkプロジェクトでは、Unix用ソフトウェアをMac OS X(Darwin)に移植したパッケージやパッケージ管理ツールを提供している。
パッケージ形式はDarwin(5.x以前)と同様にDebian(*.deb)形式が採用されている。
(Darwin 6以降ではRPM形式のパッケージが採用されている)

なお、Fink提供のファイルは、XFree86関連のものを除いて「/sw」ディレクトリ下にインストールされる。

【注意】
Appleが.Macメンバー向けに配布しているVirex 7.2は、Finkとコンフリクトを起こすため注意が必要である。
(参照:osx-users ML 0385〜

注1:以下の作業でターミナルの表示が文字化けする時は、「$ export LANG=C」で環境変数LANGを英語に設定するか、ターミナルインスペクタの文字セットエンコーディングで「日本語(EUC)」を指定する。

1. Finkの新規インストール
:すでに旧バージョンのFinkをインストールしている場合はターミナルから「$ fink selfupdate」でアップデートする)

(1) FinkプロジェクトのサイトからFink 0.7.1バイナリインストーラのディスクイメージをダウンロードする。

(2) ディスクイメージをマウントし、その中のインストーラをダブルクリックで起動して、指示に従いインストールを行う。

(3) 通常は必用ないが、開発版のunstableパッケージを利用する場合は /sw/etc/fink.confファイルのTrees行に「unstable/main unstable/crypto」という記述(下記の赤字の部分)を追加する(要管理者権限)。

Trees: local/main stable/main stable/crypto local/bootstrap unstable/main unstable/crypto

:FinkCommander(後述)を使用する場合は、FinkComanderの「Preferences」の「Fink」タブで「Use unstable packages」および「Use unstable cryptography packages」のチェックボックスをオンにしても良い。

(4) ホームディレクトリに「.bashrc」または「.bash_profile」のどちらか(もしくは両方)を作成し、以下の内容を記述する。

source /sw/bin/init.sh

:「~/.bash_profile」はログイン時に実行され、「~/.bashrc」はそれ以外の場合にシェルを起動した際に実行される。
つまり、ターミナルを起動した際には「~/.bash_profile」が実行されるが、X11環境でxtermを起動した際には「~/.bashrc」が実行される。
Fink関連のコマンドを常に使用できるようにするには、両方に同じ記述をするか、または「~/.bashrc」にだけ記述して「~/.bash_profile」には「source ~/.bashrc」と記述し「~/.bashrc」を呼び出すようにしておけば良い。

(5) 新たなターミナルウィンドウを開くか、次のコマンドを実行して変更を有効にする。

$ source /sw/bin/init.sh

(6) 次のコマンドを実行して最新の状態に更新する。selfupdateの種別は「rsync」を選択する。
バイナリのパッケージ情報も最新の状態に更新しておく。

$ fink selfupdate
$ fink index
$ sudo apt-get update

2. dselectによるバイナリのインストール

(1) ターミナルから以下のコマンドを実行する。

% sudo dselect

(2) Debianのパッケージ管理ツール「dselect」が起動するので、最新のパッケージ一覧を取得(Update)し、インストールしたいパッケージを選択(Select)してインストール(Install)を行う。

参考:debian.orgの「初心者のための dselect 入門」

dselect
dselect画面

3. apt-getコマンドによるバイナリのインストール。

ここでは主なオプションについてのみ説明を行う。他のオプションについてはヘルプ等を参照のこと。

(1) パッケージ情報の更新。

$ sudo apt-get update

(2) パッケージのインストール。

$ sudo apt-get install パッケージ名

(3) パッケージのアンインストール。

$ sudo apt-get remove パッケージ名

(4) パッケージのアップデート。

$ sudo apt-get upgrade パッケージ名

(5) ヘルプの表示。

$ apt-get -h

4. finkコマンドによるソースコードからのインストール

ソースコードからコンパイルしてインストールを行う場合はfinkコマンドを使用する。
ここでは主なオプションについてのみ説明を行う。他のオプションについてはヘルプ等を参照のこと。

(1) fink自身のアップデート。

$ fink selfupdate

(2) パッケージ一覧の表示。

$ fink list

(3) パッケージのインストール。

$ fink install パッケージ名

(4) パッケージのアンインストール。

$ fink remove パッケージ名

(5) パッケージのアップデート。

$ fink update パッケージ名

(6) ヘルプの表示。

$ fink --help

5. FinkCommanderの利用

FinkツールのGUIフロントエンドであるFinkCommanderを利用することもできる。
従来はFink本体と別個に配布されていたが、Fink 0.5.2以降ではバイナリインストーラに同梱されている。

(1) FinkCommanderを起動すると、利用可能なパッケージの一覧が表示されるので、インストールしたいパッケージを選択し、「Source」または「Binary」メニューから「Install」を実行する。
(control+クリックで表示されるコンテクストメニューからも実行可能)

(2) パスワードの入力を求めるダイアログが表示されるので、管理者パスワードを入力し「Submit」ボタンをクリックする。

(3) 画面下部のメッセージウィンドウに、コマンドラインで実行した場合と同様のメッセージが表示され、インストール処理が行われる。
ユーザーからの応答が必要な場合はダイアログが表示される。

FinkCommander
FinkCommander画面

日本語環境の構築例

ここでは例としてGIMPとktermで日本語を利用できる環境を構築する。

1. 上記手順に従いFinkをインストールする。

Sao's Place - Fink & Apple's X11によれば、fink package manager 0.15.0以降ではFink側で自動的にX11を検出するので、従来のように仮想X11パッケージである「system-xfree86」を手動でインストールする必要は無くなったとのこと。
(Fink 0.6.0はpackage manager 0.16.0を含んでいる)

2. GIMPのインストール

(1) X11自体はXlocale有効でコンパイルされているが、Fink提供のGTK+はXlocale無効でコンパイルされているため、GTK+をXlocale有効で再コンパイルする必要がある。
(「日本語の扱いについて」も参照のこと)

/sw/fink/10.3/stable/main/finkinfo/gnome/gtk+-1.2.10-13.infoファイルのConfigureParams行に下記の赤字の記述を追加する。
:バージョン等の相違によりinfoファイルの名称が異なる場合がある)

ConfigureParams: --disable-shm --infodir=%p/share/info --mandir=%p/share/man --with-xinput=xfree --with-locale=ja_JP.EUC

(2) GTK+をコンパイルしてインストール。
:すでにGTK+をインストールしている場合はinfoファイルを修正後、「$ fink rebuild gtk+」で再コンパイルしてインストールを行う。)

$ fink install gtk+

(3) GIMP本体をコンパイルしてインストール。

$ fink install gimp

3. canna等のインストール

(1) 現状、Finkプロジェクトから日本語入力に必用なパッケージが安定版として提供されていないため、EasyPackage for Jaguar/Pantherから提供されているcanna、canna-dic、kinput2-cannaをインストールする。

(2) 設定ファイルにかんな辞書(cannadic)関連の記述を追加する。
:/usr/local/lib/canna/default.cannaにcannadic関連の記述が書かれているので、通常は「~/.canna」を作成する必要は無い。 白土氏にご指摘頂いた。)

サンプルのかんな設定ファイルをホームディレクトリに「.canna」という名称でコピー。

$ cp /usr/local/lib/canna/sample/sample.canna ~/.canna
$ chmod +w ~/.canna

「~/.canna」ファイルのuse-dictionaryを次のように変更(赤字の部分)。

(use-dictionay
"gcanna"
"gcannaf"
;;"iroha"
"fuzokugo"
"hojomwd"
"hojoswd"
:bushu "bushu"
:user "user"
)

(3) ユーザーごとの頻度辞書を作成する。

$ mkdic -fq gcanna

4. ktermのインストール

現状、Finkプロジェクトからパッケージが提供されていないのでソースからmakeする。
(EasyPackageから提供されているバイナリを使用してもよい)

(1) ソースコード(kterm-6.2.0.tar.gz)をダウンロードして適当な場所に解凍する。

$ tar xvzf kterm-6.2.0.tar.gz

(2) makeしてroot権限でインストール。

$ cd kterm-6.2.0
$ xmkmf -a; make
$ sudo make install
$ sudo make install.man

5. 「~/.xinitrc」ファイルの編集

X11起動時にkinput2を起動するように「~/.xinitrc」ファイルに以下の記述を追加。

kinput2 -canna &

6. 環境変数の設定

環境変数LANGに"ja_JP.EUC"を設定する。
また、/usr/share/locale/ja_JP.EUCにLC_COLLATEとLC_TIMEが無いため、これを参照するアプリケーション が文字化けする。これを回避するため環境変数でLC_COLLATEとLC_TIMEに"C"を設定しておく。

「~/.xinitrc」ファイルで指定した環境変数の値がX11環境に引き継がれないので、「~/.MacOSX/environment.plist」ファイルを作成し、その中で指定しておく。
(Property List Editorは開発環境に含まれている)

注1:この環境変数の設定は次回ログイン時より有効となる。
注2:environment.plistで指定した環境変数は、X11環境だけでなくMac OS X環境全体に有効となる。

・Property List Editor使用法

(1) /Developer/Applications/UtilitiesフォルダにあるProperty List Editorを起動すると新規ウィンドウが開く。
(または「File」メニューから「New」を選択)

(2)「New Root」ボタンをクリックする。

(3)「Root」の左に表示されている三角マークをクリックすると上のボタンが「New Child」に変わるので、それをクリックする。

(4)「New Item」の文字列を「LANG」に書き換える。

(5)「Value」の欄をクリックして値を「ja_JP.EUC」と入力する。
(「Class」はStringのままで良い)

(6) 同様に「LC_COLLATE」と「LC_TIME」を追加し、値に「C」を入力する。
さらに「XMODIFIERS」を追加し、値に「@im=kinput2」を入力する。

(7) 「File」メニューから「Save As...」で名前を「environment.plist」と付けて適当な場所(ホームディレクトリ等)に保存する。

(8) ターミナルでホームディレクトリに「.MacOSX」という名称のディレクトリを作成する。

$ mkdir .MacOSX

(9) 作成したplistファイルを「.MacOSX」ディレクトリにコピーする。

$ cp environment.plist .MacOSX/

environment.plist
environment.plist

:日本語環境でPerlスクリプト(Finkのコマンド等)を実行すると、次のような警告メッセージが表示される。
perl: warning: Setting locale failed.
perl: warning: Please check that your locale settings:
        LC_ALL = (unset),
        LC_COLLATE = "C",
        LC_TIME = "C",
        LANG = "ja_JP.EUC"
    are supported and installed on your system.
perl: warning: Falling back to the standard locale ("C").

これは単なる警告なので無視して良いが、気になる場合は環境変数「PERL_BADLANG」に「0」を設定すれば表示されなくなる。
(environment.plistに追加しておけば良い)

7. 使用例

(1) かな漢字変換サーバ(cannaserver)はOS起動時に自動で起動する設定になっているので、一旦再起動する。

(2) ktermは漢字コード(EUC)を指定し、-ximオプション付きで起動する。

$ kterm -km euc -xim

(3) Shiftキー+スペースキーで日本語入力のオン/オフができる。

GIMP

:ウィンドウマネージャによっては日本語入力時に”[あ]”の表示が高速で点滅する。その場合は「~/.Xresources」ファイル(無い場合は作成する)に以下の記述を追加する。

Kinput2*OverTheSpotConversion.UseOverrideShellForMode: True


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