【あの有名人から学ぶ!がん治療】竹田圭吾さん生き方 治療の難しい膵臓がんと冷静に闘った (1/3ページ)

2016.03.10

長尾和宏先生
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 ジャーナリストの竹田圭吾さんが膵臓がんで亡くなられたのは今年の1月10日。まだ51歳の若さでした。竹田さんは、昨年(2015年)9月にテレビの生放送で突然がんを告白された後も、痩せ細った姿でお仕事を続け、毅然とした表情と鋭い舌鋒で時事問題を斬り、最後までジャーナリストとしての使命を貫かれました。そのプロ意識は、お見事としか言いようがありません。

 竹田圭吾さんの命を奪った膵臓がん。自覚症状が出てからの全経過は2年半だったようです。膵臓がんになる人が、最近増えてきているような印象があります。特に、竹田さんのように40代、50代の働き盛りの方に増えているように思います。

 膵臓がんで亡くなられた著名人では、記憶の新しいところで歌舞伎役者の坂東三津五郎さんがいます。享年60歳(2015年)でした。現総理大臣の安倍晋三氏の父親の安倍晋太郎氏も膵臓がんで、享年67歳(1991年)でした。しかし膵臓というのは、胃や腸と違って、一般の人にはイメージしにくい臓器でしょう。胃が痛い、腸が痛い、心臓が苦しいということは日常にあっても、「膵臓が痛い」と感じることはまずないはずです。というわけで今回は、膵臓がんについての基礎知識からまずご紹介していきましょう。

 胃カメラや大腸カメラのように直接診ることが難しいうえに症状が出にくいので、“沈黙の臓器”とも言われているのが膵臓です。しかしとても大切な役割を担っています。

 私は普段、患者さんに以下のように説明しています。「膵臓は胃の後ろに隠れるように横たわる、長さ15〜20センチ、幅3〜4センチの、タラコのような形をした臓器です。お腹というより背中側にあると言ったほうがいいですね。

 膵臓は大きく二つの働きをしています。一つは、血糖値を調整するインスリンやグルカゴンなどの重要なホルモンを出す働き。もう一つは、たんぱく質や脂質を分解するリパーゼなどの消化酵素を出す働きです」

 その膵臓の働きが落ちると、インスリンが出にくくなり血糖値が上ったり、消化液が出にくくなり消化不良から下痢便になります。そんな膵臓にできるがんは部位により、膵頭部がん、膵体部がん、膵尾部がんに分けられます。

 先ほども申し上げた通り、膵臓がんは増えています。2013年の臓器別がん死亡率によれば、男性では肝臓がんを抜いて第4位に上昇したところです。過度な飲酒や、肉類や脂質過多の食生活の欧米化、そしてタバコが原因と言われています。つまりアルコールを飲み過ぎたり、肉や脂っこいものを食べ過ぎるとなりやすいがんであり、大腸がんや前立腺がんや乳がんと並んで欧米型のがんです。また、最近の研究では、膵臓がんの5%が遺伝によるもの、すなわち家族性膵臓がんであると言われています。

 

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