「水曜日の南階段はきれい」
2017年2月4日
作:朝井 リョウ
大学受験と卒業を間近に控えた光太郎は、ひょんなことから、英作文が得意なクラスメートの夕子さんに図書室で添削をしてもらうことになる。 毎週水曜日と金曜日に南階段と窓の掃除を欠かさずに行っていた夕子さん。実は、光太郎のライブを遠くから見るためのカモフラージュだった。勉強や掃除をともにしながら、二人は卒業式の後配られる文集の表紙を交換することを約束する。 志望校に合格し、卒業式のあと、夕子さんにお礼を言おうと彼女を探す光太郎。しかし、彼女の姿は見つからない。二人で掃除をした南階段の踊り場には、アメリカへ留学する夕子さんの本当の思いが書かれた文集が置かれていた…。
「よもぎ苦いか、しょっぱいか」
2017年2月11日
作:重松 清
念願の一戸建てに引っ越した40歳代の主人公。庭で土いじりをしながら、ふと故郷に残してきた母親を思い出す。女手一つで自分を育ててくれた母。子どもの頃、土木工事の仕事で土の匂いがする母の手を嫌い、辛辣なことばを投げつけてしまった。それでも母は、さびしがり屋でわがままな自分に、とっておきの“よもぎだんご”をこしらえてくれた。せつない思い出とともによみがえる懐かしの味…。
母を求めていた子どもから、年を重ね一人の時間を大切にしたい壮年となった主人公の心の移ろいと、たくましく優しい母の姿を描く。
「五十鈴川の鴨」
2017年2月18日
作:竹西 寛子
2016年11月12日放送のアンコール。
主人公は熟年建築士の男性。同業者セミナーで知り合った岸部は、同性から見ても人柄の優れた才能あふれる男だった。つかず離れずの点線のような付き合いを続けていたが、ある日、岸部から託されたという女性から連絡が入る。
岸部の突然の訃報と、決して知り得なかった彼の背負った運命の悲しみを知らされて…。
「トオリヌケ キンシ」
2017年2月25日
作:加納 朋子
2015年10月17日放送のアンコール。
主人公の田村陽は、小学三年生の男の子。その日学校で少しだけ嫌な目にあってふさいでいた彼は、下校途中いつも見かける「トオリヌケ キンシ」の札を通りぬけてみることにした。隙間を抜けていくと、生垣の向こうには古ぼけた木造の家が。突如現れたのは同級生の川本あずさ。そこは彼女の家だったのだ。学校では言葉を交わしたことのない二人だが、その日から少しずつ交流を深めていく。そして時は過ぎ、高校生になった陽は、「ある事実」を知る……。
意外な事実で心揺さぶる物語『トオリヌケ キンシ』を、子供たちの日常風景の音や主人公に「ある事実」を知らせる音を織り交ぜながら、朗読する。
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