どんな資質や技能を身につければ、AI時代を生き抜けるのか。MIT教授のエリック・ブリニョルフソンは、記憶やマニュアル重視の仕事、繰り返しの単純作業がなくなるかわりに、創造力や人と人とのつながりを重視した仕事の重要性が増すとみる。
期待できる新ビジネスのひとつが、専門家と企業や消費者をむすぶマッチングビジネスだ。米国の医療ベンチャー、アイオラヘルスは、自宅から通院する患者と医師や看護師とをつなぐ「ヘルスコーチ」という職種をつくった。処方薬をきちんと飲んでいるか、食事療法を守っているか……。メールや電話、時には自宅を訪ねて患者を励まし、見守るコーチ役だ。「コーチ職という新たな雇用が生まれ、全体の医療コストも下がった」とブリニョルフソンは評価する。
AIを活用し、既存の仕事の質を高めることもできる。日本のベンチャー、フロンテオが開発したAIは、膨大なデータから法律家の経験や感覚を「学習」し、人間の数千倍の速さで訴訟に必要な証拠を見つけ出す。AIは弁護士の判断を支え、共に働く「相棒」になる。
リクルートホールディングスでAI研究を統括する石山洸は、AI時代に必要とされる仕事は「データを集める」「アルゴリズムを開発する」「AIを自分のサービスと接続する」の3職種に分類されると指摘。同社では、AI時代を見据えた職業訓練に着手しているという。
技術の進歩は、雇用環境を変える。それは産業革命以来の大きなうねりでもある。ただ、変化のスピードは増している。AIの進歩を考えれば、就職してから年をとって退職するまで、同じ仕事、同じ専門でいられるかはわからない。
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