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宇宙開発利用部会(第30回) 議事録

1.日時

平成28年9月29日(木曜日)15時00分~17時00分

2.場所

文部科学省 15階特別会議室

3.議題

  1. 強化型イプシロンロケットの開発及び2号機の打上げ準備状況について
  2. イプシロンロケット2号機打上げに係る安全対策について
  3. 国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認について
  4. 平成29年度文部科学省宇宙関係予算概算要求について
  5. X線天文衛星代替機の検討状況について
  6. その他

4.出席者

委員

部会長  白石 隆
部会長代理  佐藤 勝彦
臨時委員  井川 陽次郎
臨時委員  白井 恭一
臨時委員  永原 裕子
臨時委員  藤井 良一
臨時委員  星出 彰彦
臨時委員  松尾 亜紀子
臨時委員  横山 広美
臨時委員  吉田 和哉
調査・安全小委員会 主査  中島 俊

文部科学省

研究開発局審議官  白間 竜一郎
研究開発局宇宙開発利用課長  堀内 義規
研究開発局宇宙開発利用課企画官  奥野 真

【説明者】
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)
 理事  常田 佐久
 執行役  布野 泰広
 宇宙科学研究所宇宙飛翔工学研究系教授  森田 泰弘
 宇宙科学研究所太陽系科学研究系教授  早川 基

5.議事録

【白石部会長】 それでは,時間になりましたので,宇宙開発利用部会の第30回会合を開催したいと思います。
 まず,事務局から今日の会議に関する事務的な確認をお願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 本日は,部会所属の17名の委員のうち10名の委員の皆様に御出席を頂き,運営規則に定める定足数の要件を充足し,本日の会議が成立していることを御報告申し上げます。
 次に,本日の資料につきましては,お手元の議事次第の4.の資料を既に机上に配付済みでございます。過不足ございましたら,適宜,事務方にお申しつけください。
 事務連絡は以上でございます。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。

(1)強化型イプシロンロケットの開発及び2号機の打上げ準備状況について

【白石部会長】 それでは,議事に入りたいと思います。
 最初の議題は,強化型イプシロンロケットの開発及び2号機の打上げ準備状況についてでございます。イプシロンロケット2号機の打上げが計画されておりますので,開発状況と打上げ準備状況について,JAXAの方から報告をお願いします。

【JAXA(布野執行役,森田)】 より資料30-1に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは,今の御報告について,御意見,御質問等ございましたら,よろしくお願いします。
 いかがでしょうか。はい,どうぞ藤井委員。

【藤井委員】 いろいろな準備,大変よくできていると思いました。
 19ページのイプシロンの総点検のところでいろいろ行われておりますけれども,これは「ひとみ」の事故のときに,今後見直しを行っていくということで項目立てをされたと思うのですけれども,それにそって行われていると考えてよろしいでしょうか。

【JAXA(森田)】 はい,そのとおりでございまして,イプシロン独自の視点での総点検はもちろんですけれども,「ひとみ」の事故を受けた視点も採り入れておこなっております。

【藤井委員】 もう一つ。重量の件ですけれども,365㎏というのは2号機と書いてありますね。4ページを見ています。この質量と遠地点との関係ですが,これが減ってくると遠地点は延びていくわけですね。

【JAXA(森田)】 そうですね。

【藤井委員】 例えば10kgぐらい下がるとどのくらい延びることになるんですか。今どのくらいの重量になっているのですか。

【JAXA(森田)】 そういうことが空で頭の中に入っていないといけないんですけれども,とっさには出ないですが,1000kmとか2000kmですね。

【藤井委員】 今,365㎏マックスぐらいになっているのですか。

【JAXA(森田)】 そうですね。365㎏がマックスですという形で衛星さんとは調整を行っていて,実際にはもうちょっと軽くなるとは思うんですけれども。ですから,衛星とロケットの重量が完全にフィックスした段階で,ロケットは最終軌道設計というのを行いますので,その段階で遠地点はこのぐらいというのが出ると思います。

【藤井委員】 わかりました。どうもありがとうございます。

【白石部会長】 白井委員どうぞ。

【白井委員】 御説明いただいた5ページのレイトアクセスについて二つばかり教えてください。
 打上げの3時間前までアクセスできるようにするということですが,衛星側,カスタマーの方にそういうニーズが実際にあるということなのでしょうか。これは「競争力の強化につながる要素なんですか」というのが一つ目の質問です。
 もう一つは,ほかの環境条件のグレードアップというのはよくわかるんですけれども,「レイトアクセス3時間以下」にするというのは,技術的あるいは打上げの運用で言うと,一体何をするということなのかという点です。

【JAXA(森田)】 一つは,カスタマーの要求というのは強くあります。例えば科学衛星で言うと,搭載する例えば望遠鏡の性能の維持のために冷却というのをするんですね。なるべく衛星の冷却を直前までやった上で打ちたいというのがあって,普通は5時間とか6時間前だったりするんですけれども,イプシロンの場合は3時間。こうすると衛星の望遠鏡の初期の精度とか,例えば真空引きが必要なミッションで言うと最初の真空度がよいですね。こうなると衛星の寿命にも直結するということで,このレイトアクセスの要求というのは非常に強い要求だと我々は考えています。
 それから,もう一つ,どういうことをするとこういうことが短くなるかということですけれども,先ほど言いましたけれども,例えば自動点検みたいなものを活用して発射の前の点検を自動化しているというのがあって,従来,人手をかけて何時間かかけてやっていた作業が,イプシロンでは機械化されて,自動化されて数分で終わるんですね。そういうことが決定的に効いてレイトアクセス3時間以下というのが実現されていると考えています。

【白井委員】 ありがとうございました。
 「アクセス」という単語だったので,人的なアクセスのイメージがあったんですが,これは要は衛星に対する冷房などの,温度環境の提供という事ですね。非常によくわかります。ありがとうございました。

【JAXA(森田)】 ええ,そうです。

【白石部会長】 ほかにございますか。どうぞ星出委員。

【星出委員】 10ページ目ですけれども,モータケースの断熱構造の改良を行われたということですが,こちらについてもう少し詳しく教えていただけますか。

【JAXA(森田)】 従来の断熱構造というのは3層式だったんですね,水密層,気密層,断熱層です。これを1層のゴムでできるように改良しました。今までは簡単に言うとゴムを3枚,モータケースの内側に張り付けていたんですけれども,これによって1回で済むようになったということで,製造性が大幅に改良されました。燃焼試験後には,断熱材の隙間を充填剤で埋めることで温度上昇を抑える改良も加えています。

【星出委員】 ありがとうございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 もしないようでしたら,JAXAにおいては,是非この打上げの成功に向けて着実に作業を進めていただきたいと思います。
 どうもありがとうございました。

(2)イプシロンロケット2号機打上げに係る安全対策について

【白石部会長】 次に,二つ目の議題はイプシロンロケット2号機打上げに係る安全対策についてでございます。
 調査安全小委員会において,イプシロンロケット2号機の安全対策の調査審査が行われましたので,これについては中島主査の方から御報告をお願いします。

【中島主査】 より資料30-2-1,30-2-2,参考1に基づき報告を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 これについて,何か御意見等あればよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。
 はい,どうぞ藤井委員。

【藤井委員】 先ほど質問したんですが,資料30-2-1付録3添付図の13ページのアポジの高さが3万3,200kmになっておりますけれど,これは先ほどですと3万1,100km以上というのがスペックだったと思うのですが,重量が軽くなったのでこのように遠くまで飛ぶようになったと言うことですか。

【JAXA(森田)】 はい,そのとおりです。要は軽くなったということです。先ほどの数字はあくまでも要求ということで,これを割ってはいけないというインターフェース条件なんですけれども,いろいろなものの製造が進捗して,いろいろな重量がわかった段階で最新の値として反映した数字になっています。

【藤井委員】 これは最終の値と考えてよろしいんですか。

【JAXA(森田)】 それで結構です。

【藤井委員】 どうもありがとうございます。

【白石部会長】 ほかにどなたかございますでしょうか。
 特にありませんようでしたら,これについて,小委員会の提案どおり,イプシロンロケット2号機の打上げにかかわる安全対策の審議結果を了承するということでよろしいでしょうか。

((異議なし)の声あり)

【白石部会長】 それでは,御異議ないようでございますので,小委員会の検討結果を了承したいと思います。どうもありがとうございました。

(3)国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認について

【白石部会長】 三つ目の議題は,国際宇宙ステーション(ISS)に提供するISS構成要素及び搭載物の安全性確認についてでございます。これについても,中島主査から調査結果についての報告をお願いいたします。

【中島主査】 より資料30-3-1,30-3-2に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 ただいまの御報告について,御意見,御質問等ございますでしょうか。
 どうぞ白井委員。

【白井委員】 質問ではなくて,意見となります。
 1ページ目の一番下にハザードの定義があります。「ハザードとは,事故をもたらす要因が顕在又は存在する状態」と書かれており,これは全くそのとおりだと思うのですが,資料の付録1を見ておりますと,ハザードではないことをハザードと言っている,別の言い方をいたしますと「ハザードが顕在化した結果」のことを「ハザード」と言っているような気がいたしました。用語の使い方が,1ページ目の定義と合っていないんじゃないかなという印象を持ちました。
 内容がどうこうということはありませんが。
 こういう印象を持ちましたので,コメントをさせていただきます。

【中島主査】 わかりました。調査・安全小委員会で議論してみます。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 特に御意見がないようでしたら,先ほどの御報告について,小委員会からの提案どおり決定するということでよろしいでしょうか。

((異議なし)の声あり)

【白石部会長】 御異議ないようでございますので,小委員会の検討結果を了承したいと思います。ありがとうございました。

(4)平成29年度文部科学省宇宙関係予算概算要求について

【白石部会長】 次,四つ目の議題は平成29年度文部科学省宇宙関係予算概算要求についてでございます。これについては,事務局から資料の説明をお願いします。

【事務局(堀内課長)】 より資料30-4に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございます。
 これについて,御意見,御質問等ございますでしょうか。
 はい,どうぞ永原委員。

【永原委員】 「ひとみ2」を新規に要求するということですが,割と大きい数字ですので,他の計画への影響について,何か不都合はなかったのかということをお伺いしたいと思います。

【事務局(堀内課長)】 全くなかったということではありません。必要な経費の中でこの「ひとみ代替機」を入れていくことを検討いたしました。そのときに一番議論になったのはフォボスダイモスです。サンプルリターンプロジェクトということで,ISASの同じカテゴリーの中にある大きなプロジェクトでありまして,これについては準備状況も踏まえて2年ほど調査研究,開発研究を進めることが適当であろうということもありました。
 そういった意味で,その2年間の間は「代替機」に専念できるということですので,今般は大きく全体計画に影響があるということにはならずに済んでおります。これについては,そういったことも踏まえて全体の予算をJAXAの方で御検討いただきまして,こういう形になっております。
 以上です。

【永原委員】 MMXは表には出てきていませんが,本年のように小さい予算で来年も続くという理解でよろしいでしょうか。

【事務局(堀内課長)】 フェーズを少し変えまして,調査研究からもう少し検討する技術を絞ってということになりますが,金額的には昨年度と同じレベルで要求しているという状況でございます。

【白石部会長】 ほかに何かございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは,どうもありがとうございました。

(5)X線天文衛星代替機の検討状況について

【白石部会長】 次は,五つ目の議題で,X線天文衛星代替機の検討状況についてでございます。これについては,JAXAから御報告をお願いいたします。

【JAXA(常田理事,早川)】 より資料30-5に基づき説明を行った。

【白石部会長】 どうもありがとうございました。
 これについて,御質問があればお願いします。横山委員,どうぞ。

【横山委員】 大変短い間に非常に立派な対策を次々と打ち立てられて,大変お疲れさまでございます。代替機の方も応援してまいりたいと思います。
 二つ質問がございまして,6ページの方でPMとPIを分ける,更にシステムマネージャをきちんと置くという御説明を頂きました。以前からも伺っていたんですが,このあたりどういう方たちがなるのかという点についてお伺いできればと思います。
 と言いますのは,外から見ていますと,サイエンスをされる先生方にとってはPIというのが非常に大きな役割を果たして,キャリアアップにも必要なものだと思うのですね。そうなりますと,PMというポストに誰がなりたいと思うのか。責任が重く,残せる実績がもし少ないとなれば,今後どういう方たちがPMなり,あるいは,PIとなるのかというのが非常に気になるところでした。同時に,システムマネージャという方も,キャリア的にどういう位置づけの方がここに入るのかというのをお教えいただければと思います。これが1点目でございます。
 2点目は,ERGの打上げに対してこちらの対応をすぐに入れていただいていると,先ほど藤井委員からの御質問にも回答がございましたけれども,ロケットの方でもそうであるというふうに伺いました。ERGの方はこちらと比べると小規模なグループで,それに対して,この「ひとみ」の事故の後に突如いろいろな作業が増えたというような状況になっていないのか。
 内部の方たちの負担が,移行というのはもちろん徐々にやられているんだと思うんですが,突如降りかかってくるいろいろなものがないのかということを心配しております。ERGがこの移行の状況でPM,PI,S&MAというのは一体どういうふうになっているのか。その辺の状況もお教えいただければ有り難いと思います。
 以上です。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【JAXA(常田理事)】 まず,先生の第1の質問,非常に大事な点だと思います。PI(Principal Investigator)については,X線天文学の研究者の団体であります,略称「高宇連」と呼ばれているものがありますが,そこに全体の状況を考えて,適切なPIを複数推薦してほしいという依頼をいたしまして,既に回答をいただいております。分野を代表する立派な先生方を推薦いただきまして,JAXAとしては推薦いただいた候補の中から一番適切な人を選びたいと思っております。そういうことで,分野の総意を尊重したPIということが一つポイントかと思います。
 それから,プロジェクトマネージャについては,JAXAの一般職で,ほかのミッションでサブマネージャ等,あるいは,困難な局面に直面してそれを乗り越えてきた実績のある大変優れた方を複数,候補として選考しております。これは人事ですので,余り具体的なことは申し上げられないんですが,こちらについても大変いい方が同定されているというか,決まりつつあるという状況であります。
 システムマネージャについては,プロマネになるよりは一つ世代的にもキャリア的にも若い人で,いろいろな実績を積んだ優れた方を,プロマネがある程度めどがついた段階で,プロマネの下で働く方ですので,プロマネになる方の御意見もよく聞いて選考しようと思っております。
 したがって,PMとPIがまず柱ですので,ここから固めていこうと思っております。両者の関係も非常に大事ですので,研究者と一般職という形で,しかも,時には言うことが相反する場合も潜在的にあるわけで,そういう中で確実に事を進められる人ということで,誰が見てもこの人の組合せならという感じで選ぼうと思っております。

【横山委員】 一般職ということは教育職の方ではないという意味ですか。

【JAXA(常田理事)】 そうです。いわゆるプロフェッショナルな,JAXAでキャリアを積んできたマネージャの方です。教育職の方と一緒にプロジェクトをやってきた実績のある方になります。だから,JAXAの一般職の環境の中だけでキャリアを積んできたのではなくて,教育職の方でどういうふうにプロジェクトを進めるかというのが十分わかっている方を選考しつつあります。

【横山委員】 ありがとうございます。
 あと,PIの方というのは,基本的にISAS内の方で,コミュニティから支持を得た複数の候補ということなんですか。

【JAXA(常田理事)】 コミュニティからの推薦は,ISASの中の方,ISASの外の方ということで,両方の推薦が複数ありますけれども,一番簡便な方法はISASの中の方を選ぶことですが,こういう事態ですので,そこに限らず,日本全体で見て一番優れた方ということで考えていきたい。ISASの中か外というのはある意味人為的な障壁ですので,クロスアポイント制度等,最近の充実した制度を使ってもう少し広い範囲で候補を選考しようと思っております。
 それから,第2の質問であります,ERGはASTRO-Hの事態を受けてどうなっているかということですが,これも打上げが近づいているということで,JAXAとして非常に傾注しているところであります。ASTRO-Hの不具合で顕在化した宇宙研のプロジェクト推進に伴う問題がERGにも悪影響を及ぼしていないかということが真っ先に懸念される。もちろん,技術的なことのチェックというのはあるわけですが,そういう点にも留意いたしまして,いわゆる総点検を行いました。これは,プロジェクトにかかわっている人でない方,それから,ISASで,その周りにいてERGと非常に近しい関係である方を飛び越えて,JAXAの外側の有識者に入っていただいて全体を点検しました。
 総点検と言いますと,非常に大きい範囲を見なければいけないので,ややもすれば形式的になりがちですが,ASTRO-Hのレッスンズラーンドを反映して,私の見るところ非常に有効かついい総点検ができました。いい総点検ができたということは,逆に言うと指摘事項がいっぱい出たということであります。特に運用関係ですね。先ほど早川プロマネから説明があったように,今まで宇宙機を造るところに全精力を傾けて,運用にたどりつくころには運用準備が少し足りないという傾向がERGに見られまして,そこを外部のリソースも入れて改善するということをおこなっております。
 先生に心配していただいたように,今まであるやり方で進めてきて順調にいっていたわけですが,そこで新しい課題を突きつけられて,ERGのプロジェクトチームの負荷は増えております。ただ,突然,「ここは大丈夫か」,「あそこは大丈夫か」と言われたところがあるんですが,その内容を見ると,言われてみると確かにということが非常に多くて,プロジェクトチームの方はそれを正面に受けまして,受けて立っているというところで,プロジェクトチームと総点検の側というのが非常にいい関係になって,「こう解決しますけど,どうですか」,「それはわかりました」と,そういうやりとりが進んでおります。
 ですから,非常に負荷は高いのですが,JAXA内の外部の応援も得まして,現在,最後に残った幾つかの問題を解決しようとJAXA一丸となって努力を続けているところです。その最後の段階も昨日今日の段階でめどがついてきまして,全ての課題がクリアした上で打上げに臨めるという状況になりつつあります。ただ,先生に御心配いただいたように,当事者の負荷は確かに大変高くなっておりまして,そこは注意しなければならないところだと思っております。

【横山委員】 ありがとうございます。

【白石部会長】 佐藤先生,どうぞ。

【佐藤部会長代理】 二つばかりお尋ねしたいと思います。
 6ページの体制の話です。これは横山先生が御質問されたことで尽きているところはあるのですけれども,ちょっと私どもでなじみのないのはSafety & Mission Assuranceですかね。このあたりはなじみがないのでお聞きしたいと思います。これはPMの下に置かれており,小人数の担当者による下部組織に位置づけられるところなんでしょうか。私,これを聞いたときは,例えば「ひとみ」の場合だったら,この担当者は運用に関してはPIに対して見えないところでの姿勢制御とかいうような問題を指摘するなどの役割でしょうか。次の8ページでS&MAの担当として企業との関係などもチェックするようになっているわけですけれども,このあたりイメージをもう一つ深めていただければ有り難いと思います。これが一つ目の質問です。

【JAXA(早川)】 S&MAは,一番大きいのは物を造るときにきちんとしたものを造るということを確認する組織です。

【佐藤部会長代理】 造る方の話ですか。

【JAXA(早川)】 はい。造るときもそうですし,試験をしているときにするべき試験がちゃんとされているか。最終的にある性能を満足するものを全部きちんと試験で確認するわけですけれども,そういう確認がきちんとされていますかなどを確認します。例えば,どこかで不具合が起きたときに,部品を替えたとします。そういう部品を,どういう不具合に対して,単に部品を替えればいい場合と,ロットで問題があって単に替えただけでは駄目というような場合もあるわけです。そういうところを全部トラッキングして追いかけて,最終的なものがきちんとしたものができるということに注力する人です。

【佐藤部会長代理】 そうすると,ほとんどシステムマネージャと一体でやっているような感じなのでしょうか。

【JAXA(早川)】 システムマネージャの場合には,どちらかというと技術的にこういう技術が必要であるとか,これは確認するとかいうところに対して,こちらは極論を言うと品質になります。ものをつくったときの品質,それから,試験として抜けがないかというようなところの確認で,システムマネージャというほうは…。

【佐藤部会長代理】 システムマネージャは設計とかいうものを判定するわけですね。

【JAXA(早川)】 はい,そうです。
 S&MAの方は,設計の中に入るというよりは,その設計に対して造る方がちゃんとした物作りをしていますかとか,作った後の試験がちゃんとされて,ものとして確認ができていますねというところを見るところです。例えばJAXAで部品を使うときにある規定があるんですけれども,その規定がどうしても満足できないような使い方をしないといけないときがあったりします。そういう場合にはS&MAのところに相談して,その部品を使うためにはこういう確認をしたらいいでしょうとか,こういう試験を追加ですればこれが使えますねとか,そういうような相談に乗ったりもするところです。

【佐藤部会長代理】 かなりテクニカルな話をS&MAの方にやっていただくということですかね。

【JAXA(早川)】 テクニカルもありますけれども,どちらかというと記録がきちんと抜けずにあるというところの方が大きいかと思います。テクニカルな面も当然ありますけれども。

【佐藤部会長代理】 そうすると,横山先生の質問と同じですけれども,どういう方々から選考をお進めになっておられるのですか。

【JAXA(早川)】 JAXAの中でS&MAを担当しているグループがあります。宇宙研の中にもそのグループがあって,そこの方に入っていただくということを考えています。

【佐藤部会長代理】 はい,わかりました。
 最後の質問はこれからのタイムスケジュールですけれども,今,人選を進めていることで体制はもうすぐ出来上がってしまうのではないかと思っています。その後で実際の設計の段階で,またSoft X-rayだけのものになるのか,Hard X-rayをちょっと入れるのかとか,設計の段階,ミッションの目的とか,そのあたりを明確にするタイムスケールなど,実際の開発に移行するためのスケジュールについて,ちょっと教えていただければと思います。

【JAXA(常田理事)】 最後のページのところでちょっと申し上げたのですが,まずASTRO-Hの終了審査が非常に大事で,これをやりまして。

【佐藤部会長代理】 それは大体いつごろの話ですか。

【JAXA(常田理事)】 これは今月,来月の話です。ちょっと正確な日にちは記憶しておらず申し訳ありませんけれども,近々に行います。同時に10月上旬をめどにProject Manager,Principal Investigatorを選考しまして,その人たちを中心にチームを固めていくと。具体的には,今,先生がおっしゃったような観測搭載機器についての最終的な決定,NASAとESAとの調整,それから,全てがASTRO-Hと同じようにできないわけで,更に信頼性を向上させる観点からの設計の修正となります。
 それから,性能を向上させるための修正というのはサイエンティストからいっぱい出てくるのですけれども,全部採り入れますと,新しい衛星になってしまいますので,本当に採り入れなければならないこと,前の設計を尊重すべきことの見極め,それから,メーカ,外国との体制の構築も含めて,4月の正式スタートに至るまで一応予定をつくっておりまして,順次確実にこれらをやっていくということになっております。

【佐藤部会長代理】 4月からのスタートとおっしゃいましたけれども,それは新しい設計も全部できた段階という意味ですか。開発に要するという意味ですか。

【JAXA(常田理事)】 4月からのスタートというのは,この予算が政府でもし承認していただけますと,来年度から予算がつきますので,正式のJAXAのプロジェクトとしてスタートするわけです。通常ならそこから要求条件を確立して,設計をしてという手順があるわけですけれども,今回の場合はかなり前の設計を使いますので,そういうところも考慮して,設計フェーズ,試験を進めていくという,いわゆる普通の宇宙機をつくっていく体制に予算的裏づけを得て始めるというのが4月からでございます。

【佐藤部会長代理】 言ってみれば,10月に一応の仮の体制はできて,そのもとで準備を進めていくと。4月までには具体的などういう機器を搭載するか,どういうミッションにするかを決められていくということでございましょうか。

【JAXA(常田理事)】 どういう機器を搭載するかについては,2ページの代替機の概要ということで,限られたデータで『Nature』にも論文が出ましたSXS,それから,それと親和性の高いSXIを中心に,Hard X-ray,ガンマ線の機器を搭載せずに,全体の化学的状況を考えたミッションとなる予定です。
 一方,これらの搭載する観測装置の性能の一部向上によって,Hard X-rayの方も少し性能を向上させるとか,そういうものについては,X線天文学の専門家で十分検討していただきたいと。それが大体今年度行うことで,先生おっしゃったとおり来年の初めには全部が固まっていて,それでスタートするという形になると思います。

【佐藤部会長代理】 どうもありがとうございました。

【白石部会長】 ほかにございますか。はい,どうぞ永原委員。

【永原委員】 私も2点伺いたいと思います。
 一つは,プロジェクト内での総括と言いますか,常識的にはまだ問題の検証が続いているころの時期でありながら,次の計画が走り出している現状と言う訳です。宇宙研執行部では,迅速に問題点を全部抽出されて,新しい対策を議論はされた結果,本日この席でその説明を伺っているわけですが,現場でどこまで議論できているのかということが心配であるという点が一つ。
 もう一つは,MMXに続いてこの提案ですので,二つ続けてボトムアップの今までのやり方を崩して,上からミッションをつくっていくということをやっているわけで,そのことがコミュニティに与える影響はどのようなものであるのかということをお伺いしたいと思います。

【JAXA(常田理事)】 いずれも大変大事な点で,JAXAとしては異常現象報告書とか体制の改革案を出しているわけですけれども,ASTRO-Hのプロジェクトに5年10年かかわってきた先生方がまたこれに取り組むわけですけれども,どういう形で捉まえられているかというところが一つ大事なところです。JAXAとしていろいろな報告をしたことをもって,ASTRO-Hにかかわっていた人たちの総括も全部済んだとは必ずしも言えないところが,今,先生おっしゃったようにあって。これは一人一人の今回の事態に対する受けとめ方にかかわっていますので,私としては,中堅でASTRO-Hにかかわって残念な結果になったという方々一人一人と対話をしていって,その人の理解とか今後取り組む気持ちを確認させていただいて,その上で是非全力でやってもらいたいというエンカレッジをしたいと思っています。
 それから,先ほどPIについては高宇連と呼ばれるX線天文学の団体の意見を聞いたと申し上げましたが,分野全体の反省と言いますか,今後,代替機に取り組むに当たっての対応については,同じように高宇連の方に取りまとめてほしいということを申し上げて,それは非常に真摯に受けとめていただいて,X線天文分野全体としてはこういう課題があったという報告書が宇宙研に出ております。更に,そういう反省の上に立って改善,努力をするということを明快に言っていただきまして,その上で,X線天文衛星代替機については,分野の総力を挙げて全力で取り組ませていただきたいという表明がされていると。
 そういう分野全体の前向きな姿勢が文書で出て,そこで確実に成功させるという決意表明を宇宙研としては重く捉えているということと,そうは言ってもASTRO-Hで結果的に残念な事態になったことにかかわっていた人たちの,それぞれ個別のお気持ちとかスタンスについても確認させていただくという,二つのアプローチで今後進めようと思っています。それは余り時間がないので物事が動いていっておりますが,そこはないがしろにできない点でありまして,チーム編成に当たっての私としての一つ重要なポイントかと思っております。
 それから,第2の点で,MMXは若干従来と違う形で立ち上がったのですが,その後,国際的な関心も非常に高く,海外機関から既にコミットメントをする大型国際協力に順調に成長していると。それから,JAXAと大学を含めた検討も急ピッチで進んでいる状況で,それ自身についてはうまくいっていると思いますが,先生おっしゃったように二つ,従来のボトムアップで宇宙研で決めてきたやり方と若干違う形でスタートしているということは,理学委員会,工学委員会,運協においては,全体状況をよく考えられて,そういうことも認識して,ボトムアップというのは依然として宇宙科学で創造性を発揮するための大事な手段ということが改めて認識されているという状況だと思います。MMXとかASTRO-Hで若干変則的に始まったので,今後これが主流になるとか,これがいいやり方だということには必ずしもなっていなくて,一番いいのは各分野の先生方の切磋琢磨で,従来,宇宙研が成功してきたようなミッションが今後も出てくるということだと思います。
 一方,ミッションがどんどん高度化して難しくなっておりまして,国際的な競争の中で成果を出していくのは一段と難しくなっている状況がありまして,従来のようにコミュニティに手を挙げてくださいという形では,国際競争力をつけられるかという課題も生じています。やはり宇宙研とコミュニティの新たな連携,戦略も求められているという事態に直面していると思います。この辺は今の御質問の範囲から話題がそれるかもしれませんが,重要なことでございますので,最後つけ加えさせていただきました。

【白石部会長】 ほかにいかがでしょうか。はい,どうぞ。
 まず藤井委員,その後,白井委員。

【藤井委員】 先ほどちょっと議論になりましたが,今作るほうが主になっていますけれども,打上げ後の体制がちょっと見えにくいかなという気がいたします。例えば最初の直接要因への対策というところで問題点が上がっていますが,姿勢を変えるときに可視でないところで行ったとか,従来やらないようなことをやっているところもあるので,そういう問題点をちゃんと防げるような体制をとることが必要ではないかということで,それに対応するシステムにしていただきたいというのが1点です。
 それから,もう1点は,これは国際協力でNASA,ESAが入ってくるというお話ですが,2020年に実施するということで,もうじき2017年という段階でNASAの負担がどのぐらいになるのかということと,それが本当に予算化されるという点ですね。それはもうされているのか,今後されるとしたらいつされるのかという点をお聞きしたいと思います。

【JAXA(常田理事)】 最初の点,非常に大事ですが,今回の資料では運用というのが右端の方にちょこっとだけ出てくる形になっておりまして,説明が不十分かと思います。ASTRO-Hで起きたことを翻ってみると,X線天文学,その他の分野でも宇宙研の伝統なのですが,研究者自身が大学院生とかポスドクを含めて衛星の運用を行うと。運用を行うという意味は,例えばどの星をどういう科学的理由で観察,観測しようかと。それに向けて宇宙機の方向を変えたりいろいろな操作をしなければいけないんですけれども,そういうコマンドの作成までも研究者が行っていると。
 最後にそれを打つときの操作とかは支援業者にやっていただいたわけで,それがローコストで非常に効率の高い観測を今まで実現してきたという面はあるんですが,今回起きたことをみますと,初期運用でちょっと前のめりになってしまって,先ほど先生がおっしゃったように,少し大胆なマヌーバを観測のためにやってしまうとか,スタートラッカーを本来は時間をかけて立ち上げなければいけないのに,観測計画を入れてしまっているというところがあります。
 これまでは均質な研究者からなるグループが運用全体をやっているので,ちょっと待てよとか,別の角度から立ち止まって見るということが働かずに,セルフドライブということで全部うまくいっていたわけですね。一見,何もかもパーフェクトにいっていた中で,そういう前のめりの姿勢が高じてしまったという面もあると思います。その意味で,今後は運用のテクニカルな部分,コマンドをつくったり,マヌーバをしたりするというものは,外部の専門にやっている業者が日本でも成長していますので,そういう部分を採り入れて,研究者の先生方はサイエンスにあたる頭脳のところを担当していただいて,そのほかは違ったやり方でやるようなことも考えていくということを検討しております。
 そうすると,宇宙研の衛星の運用に参加するのは,教育の面等からもいいということもいろいろなところで言われているんですが,それはそれでコアのやり方を,安定なやり方を確立すれば,そういうことも現実的な対応で毀損しないでやっていくことは可能だと思います。いずれにしろ,均質な研究者だけが全てを決定するのではない,専門的なそういうことをやる人を導入して安定した運用,チェック機能を必ずシステムの中に取り組んだ運用ということでやっていくつもりであります。だから,運用のイメージというのは,ASTRO-Hが最初なんですけれども,かなり変わっていくかもしれません。
 それから,2番目のNASAがかなり協力的だということで,最後はお金という面もありますので大丈夫かという御質問だと思うのですが,さっき御説明しました9月22日から23日の会合で,かなり踏み込んだ予算面での状況説明もありまして,NASAの科学局の中で,正確な額はわかりませんが,70ミリオン,80ミリオンの額を用意するのはすぐ4月1日から始めるという状況において簡単ではないと思ったのですが,こういう予算の手当の仕方で既に実質的に予算を確保しているという説明がございました。
 その上で,NASAを所管する米国政府の了解とか種々手続があるので,それを正式に公表するには今しばしの時間がかかるということでありますが,実質的に9月22日から23日の会議が,NASA長官,理事長との合意もありまして,確実になったということで,これを政府レベルの,日本においてはちゃんと予算を得て,米国においても同様の対応をしていくということが今後行われると見ております。

【白石部会長】 では,白井委員。

【白井委員】 先ほど佐藤先生が御質問されたこと,実は私も伺いたいと思っていました。
 システムマネージャとS&MAの職掌の違いと言いますか,区分が最初はわかりづらかった。御説明いただいて少しわかってきた気がするのですが,システムマネージャが企業のガバナンスというところの執行役員,S&MAは監査役のようなものだと,こういう受けとめ方を私はしたのですけれども,この捉え方は正しいでしょうか。

【JAXA(常田理事)】 さっき早川先生が説明したことを私なりにもう一回。もしそうでなかったら補足していただきたいのですけれども。プロジェクトマネージャというのは全部の要素を考えなければいけないので,お金の制約とかスケジュールの制約,このときまでに打上げねばらないと。それから,満たさなければいけない仕様ということで,がんじがらめの状況になっているわけであります。その中で判断をしていかなければいけないという責任を負っていると。
 システムマネージャはその拘束が弱くて,設計及び試験も含むかもしれないけれども,技術的な健全性を主に考えます。要するに言いたい放題を理想的な形で言えるわけですね。システムマネージャは,この設計はこうであらねばならない,この試験の仕方はこうやらねばならないということを,プロマネに対して言うわけですけれども,プロマネはより多くの拘束を抱えた中で最終判断をしなければいけないというところで相互のやりとりがあると考えています。
 システムマネージャについては,早川先生,補足があればお願いします。

【JAXA(早川)】 そういうふうに思っていただいていいと思います。実際のものづくりの現場でちゃんとしたものを造ることにとにかく責任を持つということになります。なので,場合によってはプロマネは「そんなお金はない」とか「そんな試験をやるのは時間がかかりすぎる」というような対立が出てくることも当然あるわけです。

【JAXA(常田理事)】 それに対して,今,先生が御質問になったS&MAとは何かと。企業における例えについては,余り経験がないのでわからないんですが,先ほど説明があったように試験,それから,運用準備とかでやるべきことをやっているかという確認,あるいは,ものを造るプロセスで,試験とかアクションアイテムの管理とかありとあらゆる管理をしなければいけないことがある中で,それを一つひとつちゃんとクローズしているかというのを見ていく役割がS&MAであると考えています。
 そこはどうですか。

【JAXA(早川)】 S&MAは企業で言うと品質管理部門に相当します。ですから,つくられたものがちゃんとした品質を確保しているという保証をするための部門になります。場合によっては,「これではちゃんとしたものとして認められないから,打上げることはできませんよ」ということもあり得ると思っていただくといいと思います。なので,監査に近いのかもしれないんですが,ちょっと違うのかなという気がします。

【白井委員】 わかりました。
 もう一つ,それに関連して。そうすると,S&MAの職掌として,担当範囲はPIの仕事も対象となるのか。関与,介入するのかどうかという点について御説明いただけますか。

【JAXA(早川)】 PIと言っている今の場合はサイエンスのという意味です。S&MAの場合にサイエンスそのものではなくて,ただし,インスツルメントとして造ってきたものを観測機として使うわけですけれども,その品質に関しては口を出すことになります。JAXAの外の大学の方の場合にその辺は非常に弱いところがあるので,そこをちゃんとしたものを造りましょうということのお手伝いをすると思っていただくといいかもしれません。
 管理をして,「これでは駄目だ,あれでは駄目だ」というのではなくて,ちゃんとしたものを造るために,「ここをこういう試験もやったほうがいいですよ」とか,「部品を使うときにはこういうことを考えて使ったほうがいいですよ」というような,ある意味アドバイスをするというところも,今の場合は考えていくといいかもしれません。

【白石部会長】 はい,先生どうぞ。

【佐藤部会長代理】 そうすると,私も聞きましたけれども,運用に関しては一切コメントしないという立場でしょうか,藤井先生から質問ありましたけど。そのことはどうお考えになっているんでしょうか。

【JAXA(早川)】 運用に関しても,運用における不具合に関しては,ある時点まではS&MAが全部主体性を持ってやることになります。完全に初期運用が終わって定常運用になると,そこはプロジェクト側にハンドオーバーするという形になると思います。初期運用が終了するまでは,運用に関するいろいろな不具合もS&MAが全部フォローアップすると思っていただけるといいと思います。

【白石部会長】 はい,どうぞ。ちょっと時間が押しているので簡潔にお願いいたします。

【井川委員】 ISASさんへは,昔の取材となりますが,メーカさんとの関係はまさにここにあるとおりで,こんなこと言ったら言い方が悪いのですけど,なあなあというか,ファミリーみたいにやられていて,責任が明確に分かれていなかった。だから,品質管理の方を入れるということは,そこを明確に切り分けられるようにしたいということであるのだと思います。
 その中で,この状態だと今回はないと思いますけれども,基本的な部品あるいは設計等にミスがあった場合,最近はメーカを訴えてしまうぐらいのことが,あるいは,設計が悪ければメーカが責任をとるということで,そのぐらい厳しい関係でメーカと対峙しないといいものができないのではないかと感じられます。あるいは,責任がなあなあになっちゃって,結局,後で誰が悪いのか,どこを改善したらいいのかもよくわからないような状態になってしまうことがあるということを,僕は最近あちこちですごく感じるところなんです。
 一つお伺いしたいのは,今回は訴訟はするのか。あれを見ると損害賠償はしようがないくらいの管理だったような気がするんです。その御予定はあるのかどうかということが質問です。今後はそういうことまで視野に入れたような品質管理をされるぐらいの意気込みがあるのか。そうじゃないと,このシステムはうまく働かないんじゃないかという気がします。
 以上です。

【JAXA(常田理事)】 今,先生がおっしゃったとおりで,過去の宇宙研の先生方とメーカとのやり方を,どういう表現をするかというのはあると思うんですが,それが悪いほうに極端に出ると今回起きた事態になるということで,メーカと宇宙研の緊張関係というのは,先ほど説明がありました役割を契約で規定すれば相互に引き締まると思います。
 一方,先生のおっしゃったことはよくわかるんですけれども,最初からコンフローブテーショナルになるというよりは,お互いの役割と責任を認識した上で,従来どおり宇宙研で培ってきたいいところは維持してやっていきたいと思います。ただ,極限的な状況ではいろいろ厳しい事態もあるということは,双方の組織ですので,新しいやり方では認識しないといけないと思います。
 損害賠償云々という話は,一理事の立場では御返事できないような内容を含んでおりますが,基本的にJAXAインテグレータ方式でありますので,従来から説明しておりますように,私どもの責任は大変大きいということは認識しているという御説明にとどめさせていただきたいと思います。

【白井委員】 ちょっと確認させてください。

【白石部会長】 はい,どうぞ。

【白井委員】 今,井川委員がおっしゃったことは,私も聞きたいなと思っていたテーマと関係しますので,補足でお願いをしておきたいと思います。
 先ほど早川プロマネに御説明いただいたとき,役割分担についての御説明があり,責任という言葉をたくさん使われました。そこで言っておられたJAXAの責任,企業の責任という意味は,結局,「JAXA・企業のどちらがしっかりやるか」ということをおっしゃっているような感じがいたしました。
 そこで井川委員の質問につながるんですが,「もし損失とかあるいは追加の費用が発生したとき誰が負担するかという意味での責任分担」についての見直しはきょうの御説明や資料ではまだ明らかにしていないと思います。この点について,次回以降に,是非,御説明をお願いしたいと思います。

【JAXA(常田理事)】 今の点は非常に大事なんですけれども,今回,X線天文衛星代替機でメーカとの契約書の書き方がかなり変わります。その中で今のことをどう反映していくかということが,非常に大事な問題としてJAXA全体で認識されておりますので,そこは大事な点ですので,御報告の機会があればさせていただきたいと思います。

【白石部会長】 まだ,御質問もあるかと思いますが,時間が非常に押しておりますので,どうしてもという方がなければ,きょうはこれで議論を終えたいと思います。
 本日出された御意見を踏まえ,是非,これからも検討を深めていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

(6)その他

【白石部会長】 それでは,事務局から連絡事項等あればお願いいたします。

【事務局(奥野企画官)】 会議資料と議事録につきましては,これまで同様ホームページに掲載させていただく形といたします。議事録につきましては,その前に委員の皆様に御確認いただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 事務連絡は以上です。

【白石部会長】 それでは,これできょうの議事は終了しました。これで閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。

以上

(説明者については敬称略)

お問合せ先

研究開発局宇宙開発利用課

-- 登録:平成28年11月 --