家の畑から46億年前の隕石

岐阜市で農作業をしていた70代の男性が偶然見つけた石が約46億年前、太陽系が作られる過程で生まれ地球に落下した隕石だったことがわかり、「長良隕石」という名称で国際隕石学会に登録されました。日本で隕石が確認されるのは15年ぶりです。
岐阜市の会社員、三津村勝征さん(74)は、6年前、農作業中に、黒っぽい、光沢のある変わった石があるのを見つけ玄関に飾っていましたが、隕石を特集した新聞記事を読んだのをきっかけに、去年6月、知人を通じて市内の岐阜聖徳学園大学に持ち込みました。
この大学の教授が東京大学や国立極地研究所などに分析を依頼したところ、重さ約6.5キロで、鉄が93%を占める「鉄隕石」という種類の隕石であることがわかり、「長良隕石」と名付けられて、2月、正式に国際隕石学会に登録されました。
日本で隕石が確認されるのは平成15年に広島市に落下した「広島隕石」以来15年ぶりです。
「長良隕石」は、鉄隕石の中でも比較的ニッケルという元素の割合が低い、日本では初めて確認されたタイプの隕石です。
約46億年前、太陽系が作られる過程で、宇宙のチリが集まってできた微惑星と呼ばれる天体の内部で、高温になって溶けた鉄が集まってできたと考えられるということです。
岐阜聖徳学園大学の川上紳一教授は「太陽系がどのように作られたか調べる上で貴重な資料だ。偶然の発見に感謝したい。この辺りで隕石が見つかる可能性はまだあるので、多くの人に興味を持ってほしい」と話しています。
今回、確認された隕石は、6年前の秋、岐阜市の会社員の三津村勝征さん(74)が自宅近くの畑で野菜の収穫作業をしていた際に、偶然見つけました。
休憩のため腰を下ろそうとした時、足元に黒く光る変わった石があるのに気づき、持ち上げたところ重かったため、「珍しい」と思って持ち帰り玄関に飾ったということです。
訪ねてきた知人に「隕石じゃないか」と指摘され、磁石を近づけてくっつくことも確認しましたが、その後は特に気にかけることもなく時間が過ぎたということです。
そして、去年6月、地元の新聞に掲載された、100年余り前に岐阜市などの広い範囲で隕石が落下したことを紹介する記事を読んで「もしかして」と思い直し、知り合いの大学職員の男性に相談したところ、各地の大学などで分析してもらえることになり、今回の国内では15年ぶりの隕石の確認につながりました。
三津村さんは「隕石と確認されてうれしいです。大変なことで、どう表現したらよいかわかりませんが光栄なことです」と話していました。
「長良隕石」は、2日からことし6月30日まで岐阜市科学館で展示されます。