「HOW CRAZY YOUR LOVE」というタイトルに込めた想い――まず、アルバムタイトルへの想いを教えてください。 【YUI】 あなたの愛情ってどれくらい、という意味を持たせています。タイトルには“LOVE”という単語を使いましたが、大きな“感情”という意味になればいいなと思ってつけました。支えだったり、生きるための道しるべだったり……広い意味で、「あなたの感情ってどうなの?」って問いかける作品になるといいなと思っているんです。“LOVE”を使うことで、想いが一番分かりやすく伝わるかなと思いました。 ――YUIさん自身はどんな“感情”が揺り動かされて、曲を作りましたか? 【YUI】 デビュー当時は自分のためだけに歌っていたところがありましたが、今はたくさんの人との出会いがあって、そういった人たちの顔を思い浮かべることで、いろんな感情が浮かんできて曲を書くことも多いですね。たとえば、“笑顔になってほしいな”とか“明日も頑張ろうって思ってもらえたらいいな”と思って曲を作ったりします。 ――ひとりの女性が書いたとは思えないほど、本当に多彩な感情が表現されていますね。 【YUI】 ありがとうございます。ひとりの人間として、喜怒哀楽といった感情……イヤなものはイヤとか、好きなものは好きって、きちんと感情を表したいし、そういった感情の幅や揺れを出したいなと思ったんです。私は思ったことをストレートに書くことが多いんですね、吐き出すようにというか。それを(聴き手に)共感すると言っていただけるとうれしいですし、だからこそ、「あなたはどう思ってるの?」ってコミュニケーションを取れたらいいなと思っているんです。そういう意味でも、問いかけをしているような「Green a.live」をアルバムの最後の曲にしようというのは、一番最初に決まりました。この曲は、静かに歌っていますが感情の揺れが大きな曲なので。 ――被災地を訪ねて感じた想いをもとに作られた曲だそうですね。 【YUI】 はい。疑問符も多いですがいろんな想い、いろんな要素が入っている曲です。だからこそ、言葉にするのが難しかったですね。丁寧に作りたいという想いもありましたから。そして、作り終えたとき「今の自分はこれだな」と思えるものになりましたね。自分の中でもまだまだ解決してない感情もたくさんあるので、この曲ができたから終わりではなく、それと向き合っていかなきゃいけないなって思っています。 ――「Green a.live」以外の曲順はどうやって決めたのですか? 【YUI】 毎作、メリハリがつくような曲順……ロックな曲→アコースティックな曲というように、起伏に富んだ飽きのこないものになるよう心がけています。ロックな曲を作ると、不思議と原点でもあるアコースティックな曲を作りたくなるんです。今作もたくさんの新しい取り組みがありますが、初心も大切にして、双方のバランスを取れるように心がけました。なかでも、場面が変わればいいなと思って作ったのが「Good night」です。もともとはふと口ずさめるような、鼻歌のような雰囲気の曲でしたが、作っていくうちに欲が出てきて、結局はきれいに録音してコーラスまで乗せちゃいました(笑)。 ――具体的に“新しい取り組み”とは? 【YUI】 たとえば、「Separation」は今まで挑戦したことがないような、ファンキーなリズムパターンをもとに曲を作っていきました。細かいリズムがサクサク入っていく感じをイメージして作って……最終的には「ファンクのリズムではないね」って言われてしまいましたが(笑)、グルーヴィーな感じは出せたと思います。そこに切ない歌詞が乗ったら面白いものになるんじゃないかなと思って歌詞を書きました。また「Lock On」は、ドラマ『怪盗ロワイヤル』(TBS系)のテーマ曲として新しく書き下ろしたものですが、どんどん駆け巡っていくような感じやスリルをテーマにして曲を作っていきました。(ドラマが)宝物を奪い、奪われるという世界でもあるので、優しさだけじゃなく面白い世界観にしたいなと思いました。よりスリル感を表現したくて、途中で転調させたりもしたのですが、そこが難しかったですね。(主題歌の)お話をいただいたときはまだ台本がなかったのですが、企画書のような文書を読んだりゲームやCMなどはもともと知っていたので、イメージは十分沸きました。 ――ミュージックビデオもスリリングな展開ですね。 【YUI】 あちこち走ったりするのは面白い経験でしたし、カジノのディーラーに扮したりと、こちらも初めてのことが結構ありました。知らない世界を覗くのは楽しいですよね。本物のディーラーさんにいろいろと動作の指導をしてもらいましたが、公平さのためにニコリともしちゃいけないらしいと聞いて、私には無理だなって思いました(笑)。 新しい挑戦、次に進む力になりたい――「Cooking」では3拍子に挑戦していますね。 【YUI】 ワルツ、3拍子の曲をデビュー当時からずっと作ってみたいと思っていたんです。でも当時はパソコンもうまく扱えなくて、リズムの打ち込みも上手にできなくて……。今はパソコンにも慣れてきたので、“ズンチャッチャ、ズンチャッチャ〜♪”って感じで口ずさみながら3拍子のドラムを自分で打ち込んで、そこにメロディーを重ねていく感じで作っていきました。手探りでしたが、面白かったですね。曲の雰囲気が温かいものだったので、歌詞の世界観もそれに添った優しいものになったと思います。愛する人のために料理を作りたいとかって気持ちは、女の子なら誰でも持ってるんじゃないかなって思ったので、すぐ側で歌っているようなイメージで歌いました。 ――YUIさんは話し口調が優しいから、その雰囲気を感じましたよ。 【YUI】 あ、ありがとうございます(照)。普段は優しいんです……うそ、ウソです(笑)。「Get Back Home」は、よりため息まじりな感じですね。“イヤなこともあったけど、周りの人に感謝しよう”って、自分に向かって歌っているようなところもある曲です。 ――今作を通してどんなメッセージが伝わるといいなと思いますか。 【YUI】 アルバムではたくさんの新しいことに挑戦したので、これを聴いた方も“新しいことに挑戦してみよう”って思ってもらえたらいいですよね。次に進む力になればいいなと思います。私自身、新しい刺激を取り入れつつ、MDレコーダーを抱えて上京してきた頃と気持ちは変わらずに音楽を作り続けています。音楽を聴くたびにワクワクする感じって、今も変わらないんですよね。それを(発信者として)届けたい。“こんなに自由にできるよ!”って。自由は限られた範囲のなかで、どれだけのびのびとやれるかってことだったりするんですよね。好き勝手にやるのとは違って、でもこんなに自由にやれるんだよってことを言える人になりたいですね。とはいえ、好き勝手するのも実は好きだったりしますけど(笑)。 ――間もなく全国ツアーも始まりますね。 【YUI】 アルバムのジャケット写真は横浜の氷川丸で撮りましたが、ツアーをイメージして撮ったところもあるんです。クルージングをイメージした、みんながリラックスして楽める空間にしたいなと思っています。 ――今年は6月に香港で初の海外公演、9月に上海でストリートライブを行っていますし、ライブへの思いも一段と高まっているのでは? 【YUI】 香港ではステージに立った瞬間、お客さんの多さに心が折れそうになりましたが(笑)、ストリートライブでの経験が生きてるなって実感したんです。ライブでは“たくさんのお客さん対私”ではなく、“あなたと私”という意識がすごく強いんですね。だから、「あなたひとりに歌っています」という気持ちで歌うことができました。また別の場所に行って歌えたらいいなと思っています。今回のツアーでも行ったことがないところにも行けるので、素敵な景色とおいしい食べ物、そして人との出会いが楽しみです。 (文:橘川有子) RELEASE
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