路線価を見てみよう
国税庁のホームページへのアクセスの多数を占めているものが、「路線価図」を見る目的であるといわれています。
毎年7月に全国税局一斉に公開され、新聞報道などにおいても、都道府県庁所在都市の最高路線価などが発表されています。
ちなみに、今年は、7月3日(月)に公開が予定されております。
相続税や贈与税の申告に当たり土地等の価額は、時価により評価することとされています。しかし、皆様が相続税等の申告に当たり、土地等についてご自分で時価を把握することは必ずしも容易ではありません。そこで、相続税等の申告の便宜と課税の公平を図る観点から、国税局では毎年、全国の民有地について、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開することになっています。
現在のようにホームページで、いつでも自由に見られる状態になる前は、冊子に製版され全国の税務署や図書館に配備され、閲覧されていました。
一度でも見られた方は御存知とは思いますが、路線価図は、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(千円単位)など評価に必要な情報が表示されております。
上図における路線価は、300千円でありますから、相続税等の申告を行う場合の相続税評価額は、
300,000円 × 700.0㎡ = 210,000,000円
となります。
しかし、他にも評価を行う際の情報がありますので、これらを活用すると、この土地は(普通商業・併用住宅地区)に所在していることが分かります。路線価を囲む○は、それを示しています。
奥行距離が35mあることにより、この地域における標準的な宅地の奥行距離を上回っていることによる減額が適用できます。減額割合はわずか2%ですが、計算してみると、
210,000,000円 × 0.98(奥行価格補正率) = 205,800,000円
となります。
また、実際の土地はこのように正確な四角形であるとは限りません。
間口が極端に狭い、形が台形など不整形である、道路幅を確保するためにセットバックの制限を受けているなど、申告する場合には、それぞれの土地についての適正な計算を行う必要があります。
さらに、土地を貸付けている場合などの利用状況においても評価額が減額となることがあります。
土地の上に、他人の建物が建っていて地代をもらっている場合、いわゆる「貸地」を評価する場合には、路線価300の次に表示されている「C」が借地権割合70%であることを示しています。これを計算すると、
205,800,000円 × (1-0.7) = 61,740,000円
となり、未利用の更地として評価する場合と比較して相当に減額されることが分かると思います。
同じ道路に面していても、相続税評価額はそれぞれの形状や利用状況により大きく変わります。相続税の試算や申告に当たっては、正確な情報を基に検討し、正確な計算を行うことが必要となります。