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◆熱帯林減少の衛星画像:インドシナ半島・ブラジル アマゾン
1992年の地球サミットでも,熱帯林の減少が大きく取り上げられました。ここでは,人工衛星による地球観測を利用した地図,写真を通して,熱帯林減少の実態とその要因を探っていきます。NASAの人工衛星LANDSATなどを利用した画像は,出所を明示しましたので、サイトから引用である旨を記して、利用してください。


インドシナ半島の土地利用1973/1985
ただし,左のミャンマー南部とベトナム北部の四角形は,雲で観測できなかった地域なので,森林伐採跡ではない。


ベトナムの土地利用1973/1985


カンボジアの土地利用1973/1985



ラオスの土地利用1973/1992

タイの土地利用1973/1992

ミャンマーの土地利用1973/1992
⇒出所Tropical Rain Forest Information Center LANDSAT衛星を利用した画像

<タイの熱帯林減少>

タイ東北部の土地利用(1992年)
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左が1985年,右が1992年。東北部のまとまった森林は1985-1992年で大きく減少したが,コミュニティ林のようにみえる小規模な森林スポットが増えている。

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左が1985年,右が1992年。同じ東北部でもまとまった森林も,コミュニティ林も減少している地域もある。
⇒出所TRFC

<世界の森林火災・草原火災>


2003年2月 (非観測日: 2月7, 11, 12, 13, 14, 21,22日,不完全な観測:2月 6, 9, 10, 15, 16, 20, 23, 25日)2296 hot spots,60% of total coverage/ 4月(不完全な観測:4月3, 5, 7, 8, 16日)4298 hot spots, 91% of total coverage


2003年7月,16538 hot spots,97% of total coverage,/ 10月,7855 hot spots,98% of total coverage
火災スポットの数は、6〜8月に月1万件を超える。赤道付近の熱帯は、7月に火災が多く発生しているがこれは、乾季の終わりに乾燥した樹木を燃やしていると考えられる。ペルーなど熱帯地域の農地では、野焼きによる除草(ケマール)が行われるが、これも含めて、全てを「焼畑」と拡大解釈する傾向にある。こうして、日本では、「熱帯林減少の主要因は、焼畑である」と主張するようになったとも考えられる。
⇒出所World fire maps:ATSR World Fire Atlas

<ブラジル・アマゾンの熱帯林減少>


ブラジル・パラPara 州の土地利用1986年7月15日/1978-1986年にかけて毎年1.8 x 106 haが,1986-1993年にかけて毎年1.4 x 106 haの森林が伐採されている。1986年までにブラジルのアマゾンの6%が伐採され,16.5%の森林が伐採の影響を受けた。The dark areas are forest, the white is deforested areas, and the gray is re-growth. The pattern of deforestation spreading along roads is obvious in the lower half of the image. Scattered larger clearings can be seen near the center of the image. Our research showed that in the Brazilian Amazon, the rate if deforestation was around 6200 square miles per year (1.8 x 106 ha/yr) from 1978-1986, but fell to 4800 sq. miles per year (1.4 x 106 ha/yr) from 1986-1993. By 1988, 6% of the Brazilian Amazon had been cut down (90,000 square miles, about the area of New England). However, due to the isolation of fragments and the increase in forest/clearing boundaries, a total of 16.5% of the forest (230,000 square miles, nearly the size of Texas) was affected by deforestation.
画像出所U.S. Geological Survey:Brazilian Rain Forest Satellite Images
参考画像ブラジル・ロンドーニャ
参考画像UNEP:One Planet Many People Atlas of Our Changing Environment

ブラジルのアマゾンの土地利用(1992年)
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1992年のブラジルの土地利用: 魚の骨のように森林が削られたり,意各位人工的な伐採地のパッチが見えたりと,大規模な企業的フロンティア開発によって,熱帯林減少が進んでいることが窺われる。写真の1辺は数百キロメートル。
⇒出所Landsat衛星画像の世界地図による特定(1)
Landsat衛星画像の世界地図による特定(2)
参考画像Landsat 4 and Landsat 5 Scenes
参考画像Intute > Science, Engineering and Technology
⇒現在の同じ位置のグーグルマップ画像ブラジルのパラ州西部ParáBRA 2007「魚の骨」状の森林伐採跡
⇒グーグルマップ画像ブラジルのパラ州東部ParáBRA 2007「魚の骨」状の森林伐採跡
⇒グーグルマップ画像ブラジルのアマゾナス州;BRA 2007「魚の骨」状の森林伐採跡

ボリビアの熱帯林伐採地にできて長方形の農地
誰が熱帯林を伐採したのか。現在ある農地を利用しているのは誰か。土地所有者は誰か。-----零細な焼畑農民が,森林を伐採し,農地を利用しているのか。

ブラジルのロンドニアRondônia州熱帯雨林1975年6月/1986年8月(Landsat MSS撮影)ブラジルには世界の熱帯林の約30% (350万平方キロメートル)があるが, 1978−1988年に毎年15,000平方キロメートルの森林が減少した。道路(林道,開拓道路)に沿って直線的に森林が伐採されているために "feather(羽)"あるいは "fishbone(魚の骨)" patternとなっている。伐採跡地や都市はlight blueで,健全な植生の地域(healthy vegetation appears)はredで示される。
⇒出所USGS:Earth Resources Observation and Science (EROS)



ブラジルアマゾンの野焼きと魚の骨状の伐採地/2002年7月1日撮影
;1kmピクセル:2002/182 - 07/01 at 14 :05 UTC The Amazon, Brazil Satellite: Terra - Pixel size: 1km
赤いスポット(森林火災)は、魚の骨状あるいは川近くの進入地にある。

ブラジルアマゾンの野焼きと魚の骨状の伐採地/2002年7月1日撮影
;500mピクセル
若干の森林火災(赤いスポット)が川沿いに発生している。右下方(南東)と左上方(北西)に、魚の骨状の伐採跡地が広がっている。

ブラジルアマゾンの野焼きと魚の骨状の伐採地/2002年7月1日撮影
;500mピクセル2002/182 - 07/01 at 14 :05 UTC The Amazon, Brazil Satellite: Terra - Pixel size: 500m
林道に沿って放射状に伐採地が広がりつつある。その伐採地で、森林火災が若干発生している。
⇒出所Amazon:MODIS Rapid Response System アマゾンの衛星画像


ブラジルの森林と農地/2004年5月21日 解像度ピクセル1kmで積算した人工衛星Terraからの映像/赤いセルは,森林火災の起きている場所で,焼畑が行われている。しかし,火災現場は,森林内部ではなく,既存の農地で起こっている。つまり,伐採跡地や農地で火入れをしていることがわかる。

⇒出所MODIS Rapid Response System Global Fire Maps世界の森林火災の衛星画像
⇒出所MODIS Rapid Response system Near-real-time Subsets 現時点での世界の衛星画像(森林、土壌、水)
Mato Grosso, Brazil, is dotted with dozens of fires (red dots) in this true-color Terra MODIS image from May 21, 2004. Situated in central and western Brazil, the state is heavily forested ("mato grosso is Portuguese for "thick forest"), and as such is a prime location for logging. Evidence of logging is visible all over this image: the light green areas are treeless ground, while dark green areas are still densely forested. The higher resolutions of the image show the cleared areas in better detail: they appear in patches of varying size and color. Many of these patches were likely cleared for agricultural purposes, as the region is mostly employed in cattle-raising and farming endeavors.

ブラジルの森林と農地/2004年5月21日 ピクセル500m/火災を起こしているのが,赤のピクセルの所。「焼畑」といわれる部分を拡大してみると,農地の一辺が500m〜1000m以上の大きなものとわかる。誰が耕作しているのか---。土地なし労働者が10〜100ヘクタールもの土地を保有できるとは思えない。


ブラジルの森林と農地/2004年5月21日 ピクセル250m/ 農地が森林の中に規則正しく,拡張されているように見える。したがって,不法占拠した零細農民や土地なし労働者が無秩序に焼畑を行った結果、これほどの面積の熱帯林が伐採されたとはいえない。零細農民は侵入しているかもしれないが、周辺地に部分的に耕作しているだけであり、ここに映し出された農地の大半の責任者・管理者でなないようだ。アグリビジネスとして企業的フロンティア開発が進んでいることが窺われる。

⇒出所Terra MODIS Rapid Response System:NASA Goddard Space Flight Centerの人工衛星Terraの撮影した画像

<インドネシアの熱帯林減少>


インドネシアのスマトラ島南部の森林減少と森林火災2006年9月27日 ピクセル1km。薄い緑の農地で、火災が発生している。農地と森林が混在しており、「森林火災」というよりも農地における除草のための大規模な野焼き化も知れない。土地を不法占拠した零細農民や土地なし労働者が無秩序に焼畑を行って熱帯林が伐採されたのであろうか。零細農民の大規模な不法行為を、許しているとは思えない。宇宙から見て確認できるほどの不法占有は、排除の対象となると思われる。自由な土地利用が認められるのであれば、カネ、モノ、ワザ、ヒトを兼ね備えた大企業が森林や土地をみな占拠してしまうであろう。
⇒出所MODIS Rapid Response System:Image Gallery200年工衛星撮影した画像


インドネシア、スマトラ島の火災/2006年7月1日撮影
;500mピクセル:2006/270 - 09/27 at 06 :35 UTC Fires and smoke on Sumatra, Indonesia Satellite: Aqua - Pixel size: 500m
赤いスポット(森林火災)から煙がたなびいている。


インドネシア、スマトラ島の火災/2002年2月27日撮影
;500mピクセル:2002/227 - 08/15 at 03 :40 UTC Fires in Sumatra, Indonesia Satellite: Terra - Pixel size: 1km
若干の森林火災(赤いスポット)が川沿いに発生している。右下方(南東)と左上方(北西)に、魚の骨状の伐採跡地が広がっている。

インドネシア、スマトラ島の火災/2006年8月31日撮影
;500mピクセル:2006/243 - 08/31 at 02 :20 UTC Lesser Sunda Islands, Indonesia Satellite: Terra - Pixel size: 500m
スンバワ島、スンバ島、フローレス島、チモール島などでは、濃緑色の熱帯雨林(密林)は非常に少ない。農地と疎林の混交が広がっている。

⇒グーグルマップ画像インドネシア・イリアンジャヤ(ニューギニア島)の林道周辺の森林伐採跡
⇒グーグルマップ画像インドネシア・カリマンタン(ボルネオ島)の林道周辺の森林伐採跡
⇒グーグルマップ画像インドネシア・スマトラ島中部の計画的な森林伐採と大農場の形成



世界の森林面積/1986年


世界の森林密度/1986年

インドネシアとマレーシアに跨るボルネオ島(カリマンタン島)の衛星画像

サラワク州(カリマンタン島)の林道と森林伐採跡
;用材生産のための林道が張り巡らされ、その周辺で森林が伐採されている。グーグルマップ

フィリピン全土の衛星画像

フィリピンバシラン州ランピニガン島
;沿岸部に水上家屋が見える。内陸部はヤシ林が開拓されている。グーグルマップ


◆入会地や里山は、無償で利用はできるが、アクセスが、地域コミュニティのメンバーに限定されていたり、現地住民が相互利益に配慮しながら管理してたりしている。つまり、開発途上国の多くの熱帯林は、公有地ではあるが、里山と同じく「ローカル・コモンズ」の一種である。現地住民は、地域コミュニティの他のメンバーの利益に配慮して、ローカル・コモンズを利用する。そこで、フリーライダー、モラルハザードが抑制され、「コモンズの悲劇」は生じにくい。

◆つまり、現地住民が利用する熱帯林は、自由にアクセスできる自由財ではなく、地域コミュニティのメンバーに限って利用できるローカル・コモンズであり、持続可能な利用がされてきた。

◆ローカルコモンズは、世界各地に古くから存在してきた。そして、地域コミュニティの現地住民による利用と管理の下にあった。このようなローカル・コモンズとして里山や入会地が維持できるのであれば、フリーライダー、モラルハザードに起因する里山の崩壊、すなわち「コモンズの悲劇」は、起こらないであろう。

◆熱帯林は、薪、用材、落ち葉などバイオマス供給源であり、再生可能エネルギー、建築資材、飼料・堆肥を住民に提供してきた。バイオマスというと、現在の日本では、バイオ発電、バイオ液体燃料など間接利用が注目されているが、歴史的には、入会の牧草利用、森林・里山からの薪採取という形で、住民にバイオマス供給していた。これは、草の根民活として、地域コミュニティの住民が、自主的に入会・里山を管理していたことを示すものである。

◆日本では、里山再生が唱えられているが、NPOやボランティアのメンバーが、薪炭などを利用する現地住民でない場合、里山復活は困難な場合が多い。里山利用に伴う利益が、レジャーや自然観察に留まっているのであれば、 財政支援あるいは税制上の優遇措置が必要かもしれない。

◆以上のように、ローカルコモンズとしての熱帯林は、再生可能エネルギーや建築資材の供給源として、利用され、保全されてきた。つまり、持続可能な開発に大いに関連している。里山の議論を、自然と親しむとか、身近な緑を守るとか、狭い範囲に限定するのではなく、バイオマス利用の場として、世界に通用する視点で、持続可能な社会形成に役立てるべきであろう。 この意味で、ローカルコモンズの利用と管理は、開発途上国の地域コミュニティに学ぶべき点が多く、熱帯林保全についても、応用できると考えられる。


<日本の航空写真>
高度4500メートル前後から撮影したカラー,モノクロの航空写真があります。多くは縮尺3万分の1です。
撮影期間は,1947年の米軍によるものを嚆矢として,国土地理院が日本全国をかばするように,撮影中です。現在,国土の半分近くが撮影されています。熱帯林地域にも,このような精密な航空写真が撮影されていけば,森林減少の実態解明に大変有益でしょう。

しかし,残念ながら,日本国内の本格的な航空写真撮影もやっと1990年代に開始されました。経費不足の開発途上国で,このような航空写真撮影を行うには,国際的な環境協力が必要です。

東京都千代田区/1947年米軍撮影
左下は江戸城跡の皇居。米国陸軍航空隊のB29爆撃機による数度にわたる空襲によって,木造家屋は焼失し,丸の内のビルの多くも破壊されている。戦災にあった都市が「焼け野原」となったといわれるが、完全に消失したわけではない。


東京都千代田区東京駅付近/1997年
左上は江戸城跡の皇居に緑が残っている。都心にはビルが立ち並び、河川近くまで密集している。


神奈川県平塚市(東)・泰野市(西)/1999年10月23日
中央に東海大学湘南キャンパス。古代集落遺跡もある高台に位置している。農地、大山の森林も残っているが、新宿から列車で1時間離れても「田舎」とは呼べなくなっている。
 

東京都八王子市(東部)/1997年7月6日
中央の北よりに中央大学多摩キャンパスと明星大学。その西の多摩動物園は森林の中にある。多摩丘陵の森林を切り開いて、宅地が拡大した様子がわかる。
 

千葉県柏市沼南町(南部)・我孫子市(北部)/1999年5月30日
手賀沼の北側は,1930年代,武者小路実篤らの白樺派の拠点となった住宅地だった。住宅地の拡大に伴って,手賀沼のBODが上昇し、全国有数の汚れた(大型)湖沼であるが,近年はBODが低下し,自然環境は改善してきた。作業名:CKT992X, 地区:龍ヶ崎, コース:C8, 番号:3


千葉県印西市北西部の畑作・稲作地帯/1999年5月30日
北東は、利根川で,1920年ごろまで河川・運河を利用した内陸水運が盛んであった。日本代々の流域面積を誇る「大河」で、坂東太郎とも言われていたが、ここ20年間は、推量も少ない。上流には、都市に水を供給するダム、「水がめ」が並び、河口には利根川河口堰がある。生物多様性は大きく減少してしまった。作業名:CKT992X, 地区:龍ヶ崎, コース:C8, 番号:6

日本の空中写真:北海道から沖縄までの都市・埋立地・山林・海岸・農地とその土地利用変化

熱帯減少について、関心を深めたい方は、次の
著作(紀伊國屋書店)を参考にしてください。特に、
『地域コミュニティの環境経済学−開発途上国の草の根民活論と持続可能な開発』2007年、多賀出版では、熱帯林の減少と地域コミュニティによる適正管理の有効性を、ローカルコモンズの視点で検討しました。『社会開発と環境保全―開発途上国の地域コミュニティを対象とした人間環境論』2002年、東海大学出版会では、薪炭生産、用材生産、焼畑、企業的フロンティア開発を本格的に比較しました。二冊とも、発行部数1000部以下の学術図専門書です。前者は文部科学省の助成、後者は東海大学総合研究機構の助成を受けて刊行した「非商業的書籍」です。価格も本体5500円と高価です。公立図書館、大学図書館などで、希望入架してもらうことをお勧めします。
テキストの『開発と環境の経済学―人間開発論の視点から 』東海大学出版会は、これらの研究の端緒になった著作です。

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