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ゲゲゲの「ぬりかべ」、こんな姿? 江戸期の絵巻に登場

2007年08月07日00時56分

 水木しげるさんの人気漫画「ゲゲゲの鬼太郎」で重要な脇役の妖怪「ぬりかべ」。その元の姿が江戸期の絵巻に描かれていたことが分かった。「ぬりかべ」は各地に言い伝えがあるが、これまで絵は見当たらず、水木さんも伝承を元に創作していた。水木さんは「古い妖怪の姿が伝えられた珍しい資料。貴重な『妖怪国宝』です」と喜んでいる。

写真「ぬりかべ」と妖怪の名前が書き込まれた絵巻。右は「海男」=L・トム・ペリー・コレクションから(ブリガムヤング大ハロルド・B・リー図書館蔵)
写真水木しげるさんが伝承をもとに創作した「ぬりかべ」

 水木さんの「ぬりかべ」は「夜路(よみち)をあるいていると急に行く先が壁になり、どこへも行けぬことがある。それを塗り壁といって怖(おそ)れられている」(柳田国男編著「妖怪談義」)という伝承などが元で、巨大な壁に目と手足が付く。一方、今回の絵巻では、三つの目と牙を持つ獅子か犬のような姿。

 二つの絵巻の出あいが今回の「発見」をもたらした。一つは川崎市市民ミュージアムの湯本豪一学芸室長が8年ほど前から所有し、もう一つは米国ブリガムヤング大の図書館に64年か65年に寄贈されたもの。いずれも縦約40センチ、横15メートル以上で、35体の妖怪が同じ画風の肉筆で描かれている。

 湯本さんのもとに、今年1月、日本の幻想文学を研究するニュージーランド・オークランド大のローレンス・マルソー准教授が訪れた。5月にはマルソーさんが提供した米国の絵巻の画像データを湯本さんが自身の絵巻と照合。米国の絵巻には、湯本さんの絵巻には書かれていない妖怪の名前が絵の横に書き込まれていた。正体不明として湯本さんが注目していた1体の妖怪に「ぬりかべ」の名があった。

 湯本さんの絵巻にある叙(序文)、跋(ばつ)(奥書)には、制作は享和2(1802)年で、絵師・狩野洞琳由信が室町時代の絵などを参考にして描いた、とある。

 水木さんは「絵巻のぬりかべには荒々しく力強い妖怪の息吹が表れています」と印象を語る。

 諏訪春雄・学習院大名誉教授(近世文学)は、「紙の質や保存状態などからみても江戸末までに制作されたものと推定できる」と話す。

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