横綱 稀勢の里が引退会見

横綱 稀勢の里が引退会見
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大相撲の横綱・稀勢の里の現役引退の記者会見が午後3時半すぎから都内で始まりました。稀勢の里は会見の冒頭で「私、稀勢の里は今場所を持ちまして引退し、年寄・荒磯として後進の指導に当たりたいと思います。現役中は大変お世話になりました」と述べました。

「一片の悔いもない」

稀勢の里は現役引退を決断した今の心境について「横綱として皆様の期待に添えられないということは非常に悔いは残りますが、わたしの土俵人生に一片の悔いもございません」と話しました。

「感謝の気持ちでいっぱい」

稀勢の里は、どんな相撲人生だったかと問われ、「本当にいろいろな人に支えられ、1人ではここまで来られなかったと思いますし、感謝の気持ちでいっぱいです」と話しました。また、いちばん心に残っていることについて問われると「ありすぎてなかなか思い出せませんが、やはり稽古場が僕を強くしてくれました」と話しました。

今場所は「自信を持って臨んだ」

稀勢の里は今場所について、「覚悟を持って、場所前から過ごして、稽古してきました。自分の中で『これでダメなら』という気持ちがあるくらい、いい稽古をしました。その結果、初日から3連敗という形で自分の中で、一片の悔いもありません」と話しました。そのうえで「けがをして以来、自分の中ではいちばんいい動きができていたので自信を持って臨みました。一生懸命、やってきました」と涙を拭い言葉につまりながら話しました。

「このような結果 申し訳ない」

稀勢の里はケガを抱えながらどんな思いで横綱をつとめてきたのかと問われ、「このまま潔く引退するか、いつも稽古場で自問自答していた。応援してくれる方のために相撲は続けようと判断してやってきたが、このような結果になって申し訳ない」と振り返りました。

「先代親方に感謝の気持ち伝えたい」

稀勢の里は入門時の師匠で、平成23年に亡くなった先代の鳴戸親方について聞かれ、「先代は稽古場というものを大事にしていた。稽古場の大事さを次の世代の力士たちに教えていきたい。先代には感謝の気持ちを伝えたい」と述べました。

そのうえで、先代の鳴戸親方が大関と横綱とで見える景色が違うと話していたことについて聞かれると、「大関と横綱は本当にまったく違うものだった。だが、まだまだ先代が言っていた景色は見えなかった」と振り返りました。そして横綱という地位はどういうものかと問われ、「自分自身を変えてくれた」と涙を流しながら答えました。

土俵人生でいちばんの取り組みは

稀勢の里は、これまでの土俵人生でいちばんの取り組みについて、「2017年に横綱昇進を決めたあとの千秋楽での横綱 白鵬関との一番です。2011年に大関に昇進したときには千秋楽で琴奨菊関に負けたので、その悔しい思いを持って、次に昇進するときには絶対に負けないという気持ちで取った一番でした」と話しました。
また、土俵人生で貫いてきた信念について問われ、「『絶対逃げない』、その気持ちです」と話しました。

外国出身力士に対する思い

稀勢の里は外国出身力士に対する思いを問われ「自分を成長させてもらったのも横綱 朝青龍関をはじめモンゴルの横綱のおかげと思っているところもあるし、あの人の稽古を巡業中に見て、背中を見て少しでも強くなりたいという気持ちで稽古をしました。上がれなかったときも日馬富士関に声をかけてもらったり、非常にいいアドバイスをいただいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と話しました。

そのうえで、日本出身横綱として期待を背負ったことが重圧だったかと問われ、「いい環境でした。あの声援の中で相撲を取れることは本当に力士として幸せなことで、本当にいい思い出です」と振り返りました。

今後について

稀勢の里は今後について、「一生懸命相撲を取る力士、けがに強い力士、そういう力士を育てていきたい」と話しました。

田子ノ浦親方「本当によく頑張った」

稀勢の里の引退会見に同席した田子ノ浦親方は「自分から引退を言うつもりはないと決めていました。稀勢の里が入ってからずっと一緒にやってきて、いちばん近くで見ていたので。どれだけ相撲に熱意をもっていたか、けがと向き合い相撲をやってきているのを見てきました。自分の努力で横綱まで上がってきている責任感が強い男なので、そういう男が自分から私のところに相談に来るまではできるだけ支えていければなと思っていました」と話しました。

そのうえで「きのう本人から相談があると言われ、本人の口から『引退させてください』とありました。本当によく頑張ったなと思います。相撲界にというよりも先代が夢に描いていた幕内優勝、そして横綱という僕たちができなかったことをやり遂げてくれてすごく感謝しています」と話しました。