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どうなった新港地区開発

人工ビーチ計画も“画餅”の危機
 石垣島と周辺離島を結ぶ離島航路と離島観光の拠点施設である待望の石垣港離島ターミナルは、きのう30日、国や県関係者はじめ多数の関係者が列席、盛大に落成式が行われた。いよいよきょう31日から供用開始となるが、すべてが新しい施設だけに多少混乱が心配だが、利用者に満足が得られるよう安全性、利便性、快適性に支障なく運用がスタートすることを期待したい。 ■コースタルリゾート計画  この第10次石垣港湾計画(03年度-12年度)の目玉事業ともいえる待望の離島ターミナルの完成で、次の大型事業として注目されるのが人工ビーチ整備を中心とする新港地区の開発計画だ。  新港地区は石垣港内のしゅんせつ土砂を埋め立てて造成しており、計画面積は71ヘクタールに上る広大な面積だ。復帰後始まった造成は、現在一部を残してほぼ終了しており、そこに92年10月、石垣市と沖縄総合事務局により石垣港コースタルリゾート計画(構想)が策定された。  延長1キロに及ぶ人工ビーチを中心に300室規模のホテル2カ所、東南アジアを中心に世界の料理が楽しめるレストランや世界の伝統工芸品を展示したグルメタウン、新鮮で豊富な海産物を販売する海鮮市場とシーフードレストラン等のフィッシャーマンワーク。  さらに大型クルーズ船などが接岸する3万トンバースを建設して周辺に国際見本市や祭りを開催するイベント広場、伝統芸能を通して交流する多目的広場、海洋文化歴史博物館、それにサンゴをテーマとする水族館の建設など、それはまるで長崎のハウステンボスや東京ディズニーランドなどのテーマパークのような一大リゾート建設構想だった。 ■どうなる人工ビーチ整備  しかし同計画は、バブル全盛期当時の、民間活力を活用しての計画策定だっただけに、バブル崩壊とともに計画はもろくも泡と消え、現在残っている具体的な計画は、基本的な港湾施設以外は、人工ビーチと、05年度から建設が進められているクルーズ船のバース程度だ。  その人工ビーチ計画も04年1月に検討委員会(小浜哲委員長)から石垣港湾事務所を通じて、「潮位に関係なく常に泳げる自然型の、トライアスロンに対応できるビーチにする」「遊泳地区と区分してマリンレジャーができるビーチ」「地元住民や観光客らのビーチパーティーにも対応できるバーベキュー広場の設置」などの構想が、4回の検討会を経て市に提示されたが、しかし現時点で事業着手のめどはまったくついていない。  それは同地区の開発整備が港湾施設以外は基本的にすべて市の責任となっており、人工ビーチもその規模にもより15億-30億円が見込まれるのに対し、その補助率は4-6割しかなく市の負担があまりにも多いためだ。そのため市も財源難の中で負担軽減の方法を模索中だが、まだ方向付けはできておらず、今後の財政状況によっては“構想倒れ”に終わることもあながち無いとはいえない状況にある。 ■開発計画の再検討を  新港地区ではサザンゲートブリッジ寄りに緑地公園や駐車場を既に整備しているが、それ以外の広大な面積は道路を除いてほとんど手付かずの状況だ。りゅうせきなどの危険物取り扱い施設用地や埠頭(ふとう)用地などのほかに、人工ビーチ周辺には計約11ヘクタールの交流拠点用地、計約17ヘクタールの緑地が確保されており、コースタルリゾート構想とまではいかないが、ホテルをはじめ各種施設が整備できる余地はまだ十分に残されている。  それだけに同地区の開発をどうするのか、新石垣空港の開港を見据えての街づくりの視点から再検討の必要があるのではないか。それは乱開発が進む中で島の豊かな自然景観を守る上から開発企業を同地区に誘導したり、あるいはミニバブル化の中で巨額の費用がかかる人工ビーチなど同地区の整備に民間の資金や経営手法を活用するPFI(プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)事業を導入できる可能性も出ているからだ。  そうした是非を含めて1つの町である新港地区を時代情勢に合わせてどう開発していくのか、さらに人工ビーチも果たして必要なのか、改めて踏み込んで論議する意義は決して小さくないはずだ。

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