2−1.エンディング解釈
最終更新日:2003/10/14

 このゲーム、まずエンディングからしてワケがわからない。

 元の世界に戻った放送部7人がループ世界からの太一の放送を聞いた後、ループ世界の太一が寝ているシーンに移り、そこで放送部員たちの会話が始まる。
 以下にその際の様子を書き出す。


見里(ぺけくん、寝てます)
桜庭(寝てるな)
美希(寝顔、可愛いですね)
霧(寝てれば……ね)
冬子(起こしちゃおうか、仕返しに?)
友貴(それくらいの権利はあるかな……僕らがされたことを考えると)
冬子(びっくりしちゃったわよ……まったく)
美希(ちーまーみーれー)
霧(スプラッタ)
桜庭(ちまみれスプラッタ)
友貴(……そのままじゃないか)
冬子(太一も私たちの側に連れてきたいな)
見里(それって……殺してしまうってことじゃ?)
曜子(……だめ)
冬子(支倉先輩の過保護がはじまりました)
曜子(だめなものはだめ)
冬子(うー)
曜子(うー)
美希(バトル開始)
見里(まあまあ、いいじゃないですか)
曜子(静かにしてあげて、起きちゃう……)
霧(ひいきだ……ひいきがある)
美希(霧ちんはわたしがひいきしてあげるから)
冬子(そこのおレズコンビ、ほどほどにー)
美希(ぎゃー)
友貴(結局騒ぐんじゃないか……)
桜庭(でも平気そうだ)
見里(……ぺけくん、ぐっすり寝てますね)
霧(何か、夢でも見てるのかな?)
美希(笑ってる)
冬子(うん、楽しそう……良かったわね、支倉先輩)
曜子(……うん……)
見里(お別れ、したかったんですけど……たぶん触れあえないんですよね、私たち)
桜庭(さらばだ)
友貴(ばいばい)
冬子(男子気が早い! もー……じゃあね、太一)
見里(お元気で)
美希(さやうなら)
霧(ご機嫌よう)
曜子(……ぐすん)
見里(な、泣かないでくださいなっ)
桜庭(よろしく)
冬子(よろしくしてどーするのよ!)
美希(おあとがよろしいようで)
霧(……強引)

太一「……ん?」
身を起こす。
妙な気配を感じたが。
太一「みんなの……声が……したような……」
屋上にはなんの気配もない。
静まりかえっている。
妖精さんの囁きか?
聞こえたと言うより、感じたというか。
太一「んー???」
寝ぼけたんだな。
太一「まいっか」
寝直す。
太一「すう」
「……」
「…………」
「……………………」
「……はは」
「なんだよ……みんなして……」
「…………俺……眠いよ……」
「あとでな……」
「……………………あと……」
「……………………………………………………」
「……………………………………………………………… …………………………………………」

(暗転。セミの鳴き声が聞こえ始める。
 次第に明るくなり、アンテナを背景に「この空が消えてなくなるその日まで...」と文字が表示。

 再度暗転し、「the end CROSS†CHANNEL」)


 特に事前情報も無くこのゲームを遊んだほぼ全員が、このエンディングには一瞬「はい?」と呆然とすることになるだろう。
 放送部員たちの会話も唐突なら、セミの鳴き声も終わり方も唐突である。
 ぶっちゃけた話、意味不明。
 なのでこれはどういうことなのか、考えられることをまとめてみる。

(1) 太一、A世界帰還説
 ループ世界にはセミもいない。ので、セミの鳴き声は太一がA世界に帰還した暗示であると捉える説。
 放送部員たちはB世界で太一に殺された放送部員で、太一がA世界に帰還することに対してお別れを言いに来た。
 太一にされたこと、血まみれスプラッタという言葉はまんま太一に殺されたことを示すと解釈。
 「私たちの側に連れてきたい」が「殺してしまうってことじゃ?」とつながる辺り、幽霊っぽい存在であること自体は間違いないのか。

 とりあえず、殺されたことを「びっくりした」で済ますのかとか何でそんなにフレンドリーなのかとかツッコミたい所ではあるが、血まみれスプラッタとか脳天気に言ってる時点で喉元過ぎてる感じはする。
 幽霊っぽい存在になって太一のあがきをずっと見守って来たのであれば、まあ許してもいいかなという気分にならないこともないのかどうなのか。
 それとじゃあB世界の太一はどうしたのかという疑問も浮かぶのだが、これまたA世界太一と同化しただの世界と同化しただの、諸説あっても決定打には欠ける感じ。

 なぜ太一が帰還するのかについては、ループ世界の終焉によって弾かれた太一がA世界に投げ込まれるという解釈がある。
 関連として、人に戻った太一が決意するシーンが上げられる。


ゲートが消えて、世界は変わっていくかも知れない。
ここは交差点。
過ぎ去れば、残像だけが美しい。
幻となって消えていく時が、来ているのだ。
それはあとどれくらいなんだろう?
来週か?
再来週か?
来年か?
……俺が死ぬのと、どっちが早い?
死ぬわけにはいかない。
死ねばこのかけがえのない気持ちは、砕けてしまうから。

太一「……生きてやる」

生き闘う。
最後の日まで。
そして願う。
俺が固有の寿命を終える前に、どうか。
この空が消えてなくなりますようにと。


 ここで太一が自分が死ぬ前に世界が終わることを願ったのは、ループ中に死んでしまうと何もわかってない自分が復活してしまうのでそれが嫌だったからだとは思う。少なくとも、ループ世界が終われば元に戻れるなんて都合の良い話は夢想だにしていない筈。
 ただエンディングの「この空が消えてなくなるその日まで...」という一文は、その日が来たことの暗示と捉えることは出来そうだ。

 またA世界に対してループ世界からの放送が届いている以上、何らかの形でつながっていること自体は間違いない。あるいはこれを、「A世界からループ世界の太一を観測した」と捉えることも出来なくはないのか。A世界とループ世界の間にあった位相のズレが無くなっていった結果とする解釈もある。
 ともかくA世界とループ世界のつながりが存在する以上、何かの弾みで太一が帰還する可能性はゼロではなかったのかも知れない。


(2) A世界の7人全滅説
 A世界で何かがあって、死んだ7人が幽霊化して太一にお別れを言いに来たという説。
 この説の場合は太一にされたことというのを、ループ世界に引きずりこんだ挙句に散々かき回しておいて一方的に元の世界に送り返したことを指すらしい。
「血まみれスプラッタ」発言については7人の死因にまつわることと解釈する。

 「何か」というのが不明瞭な上、A世界での7人の描写にその後で死ぬと匂わせる部分も無いのがネックである。


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