【社説】金慶洙知事に有罪判決下した判事を起訴した韓国検察

 韓国検察当局がいわゆる司法行政権乱用事件に関連し、現職判事と元判事計10人を起訴したが、その中には金慶洙(キム・ギョンス)慶尚南道知事に有罪判決を下した成昌昊(ソン・チャンホ)部長判事が含まれている。成判事は2016年に逮捕状交付担当の判事を務めていた当時、「チョン・ウンホ事件」に関与した裁判所関係者に対する検察の令状請求、容疑者の陳述内容などを法院行政処に漏らしたとして起訴された。一方、司法行政権乱用をめぐる6カ月の捜査期間中、検察の捜査内容は外部に流出し続けた。40件を超える元大法院長の容疑のうち、事前に明らかにならなかったのはわずか1件だけと言われるほどだ。検察は被疑事実をこれだけ頻繁に公にしておきながら、判事の行為については機密漏えいだと主張しているわけで、これもまたご都合主義だ。

 成判事が流出させたという資料は、行政処にだけ報告され、捜査対象に流出したものではないという。それは一種の内部報告に当たるものであって、「故意の犯罪」とは言えないとの指摘がある。他の裁判所でも同様のケースがあったが、検察はそれについては起訴しなかった。成判事の問題は検察の捜査の本質とは無関係な事案であり、枝葉末節だ。それにもかかわらず、検察は「容疑が重大だ」として、成判事を起訴した。検察のものさしが公正なものと言えるのか、他に何か裏があるのではないかと疑われる。

 成判事は現政権には目の上のたんこぶのような存在だ。民主党は金知事の判決が出るや否や、「梁承泰(ヤン・スンテ)元大法院長積弊集団の組織的抵抗」と位置づけ、「成判事の弾劾を検討する」と言いだした。気に入らない判決を下したから、判事を追い出すというのだ。インターネット上での言葉の暴力のせいで、成判事は身辺保護まで求めた状況だ。そんな中で検察は実際に成判事を起訴した。判事全体に対する無言の脅しに等しい。

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