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告白 (中公文庫) 文庫 – 2008/2/25
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第41回(2005年) 谷崎潤一郎賞受賞
- 本の長さ850ページ
- 言語日本語
- 出版社中央公論新社
- 発売日2008/2/25
- ISBN-104122049695
- ISBN-13978-4122049697
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
人はなぜ人を殺すのか―。河内音頭のスタンダードナンバーにうたいつがれる、実際に起きた大量殺人事件「河内十人斬り」をモチーフに、永遠のテーマに迫る著者渾身の長編小説。第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
町田/康
作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞を受賞。05年に本書で谷崎潤一郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り子」で川端康成文学賞を受賞。05年に本書で谷崎潤一郎賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
登録情報
- 出版社 : 中央公論新社 (2008/2/25)
- 発売日 : 2008/2/25
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 850ページ
- ISBN-10 : 4122049695
- ISBN-13 : 978-4122049697
- Amazon 売れ筋ランキング: - 64,298位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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作家、ミュージシャン。1962年大阪生まれ。高校時代より町田町蔵の名で音楽活動を始める。97年に処女小説『くっすん大黒』で野間文芸新人賞、 Bunkamuraドゥマゴ文学賞、2000年には「きれぎれ」で芥川賞を受賞する。01年詩集『土間の四十八滝』で萩原朔太郎賞、02年「権現の踊り 子」で川端康成文学賞を受賞、05年『告白』で谷崎潤一郎賞、08年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞した(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 あなたにあえてよかった―テースト・オブ・苦虫〈8〉 (ISBN-13: 978-4120041235 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.4
星5つ中の4.4
326 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
さすが又吉さんが「みんなに是非読んでもらいたい小説20冊」の中にこの「告白」を入れていることに納得。すごい小説。しかし、なぜか、あまりみんなに知られていないのも事実。やはり、題材が実際に起きた大量殺人事件をベースにしているからか??この小説、文庫本にして842ページあり、半端ない長さです。しかも、章立てがなく、最初から終わりまで電車道のように爆走します。私は5回読みました。とことんのめり込みました。あまりにも面白いので、youtubeで朗読しています。本当はじっくりこの作品を読んでほしいですが、本作品を読む時間がない方は、寝ながらでもお聞きください。www「 tomoxx2001 」というIDで検索してみてください。では。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年4月12日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公熊太郎の思弁を通し、ここまで人の心理のひだに分け入って掘り下げて、追いかけて捕まえて逃がすまいともがいてもがいて、周到に執拗に緻密に、言葉にならない心の深層を言葉で表現しようと悪戦苦闘する執念と情熱は、ドストエフスキーに通じるものがあるな~と思い当たりました。
これはまさしく心理小説の金字塔だと思います。言葉の力に圧倒されます!コテコテの河内弁で表現した作者の才能にも圧倒されます!ぶっ飛んでいても、端正でなくても、文学ってこういうことなんだなと、強烈なパンチを食らいました。
「人はなぜ人を殺すのか」
河内十人斬りを描いていますが、十人斬りよりも最後の殺人が問いかけてくるものに、本当の「人はなぜ人を殺すのか」の深層があるように感じました。斬った十人と違って、最後に殺した1人との間には、世の中の理不尽や熊太郎の劣等感、強烈な自意識が大きく介在していたとは思えません。それでも殺してしまうほどの孤独や絶望がなぜ生まれてしまったのか?本当の伝わらない辛さ、分かり合えない悲しみが、この最後の殺人で示されているのだとしたら辛すぎる。人の心とは、言葉とは、コミュニケーションとは何なのか?熊太郎の最後の告白の主語は何だったのか?ずっと気になって知りたくて何度も読み返すことになるんだと思います。そこを見込んで、重苦しい内容でも爆笑あり涙あり、義理人情の浪花節も炸裂するエンターテイメントに仕上げてくれたのかな。
登場人物では弥五郎が好き。胸をかきむしられるほど哀切で美しい妹との別れのシーンは、重いテーマの傍らで作者がプレゼントしてくれた大切な宝物。そして弥五郎の簡潔でダイレクトで全く思弁的でない言葉が、逆に言葉以上の情緒を伝え心を映す鏡となっているという言葉の可能性を描き、熊太郎にとっては理性や感性を忠実に伝えるには不正確で不十分だった言葉の限界・呪縛と対比させることで、深遠なテーマに対し双方向から迫る作者の知性を感じました。真理や本質を言語化するために、言葉を信じ疑いながら言葉にこだわり言葉と格闘することは、熊太郎にとっても作者にとっても、大げさに言えば言葉を獲得した人類にとっても永遠の宿命なのかもしれない、と考えさせられるほど深い読書でありました。
極道の人殺しの話でありながら、その心の在り方には彼らを極道と呼ぶ者達よりも汚れのない何かがあり、哀しい人間賛歌のようになっていることにも感情を揺さぶられます。分量の多さは中身の濃さ。読書好きを夢中にさせること間違いなし。
テーマ、文体、感性、世界観など、何を挙げても稀有な読書体験であり、文学への認識そのものを新鮮にしてくれた一冊であったことに最大級の賛辞を捧げたいです。そして翻訳しても絶対に伝わらないであろう日本語の面白さ、奥深さ、豊かさ、美しさ、音楽性、抒情性、独創性を、日本人であるがゆえに堪能できた自分は本当にラッキーだと思えた一冊でもありました。町田康、最高‼!! まぎれもない傑作だと思います。
これはまさしく心理小説の金字塔だと思います。言葉の力に圧倒されます!コテコテの河内弁で表現した作者の才能にも圧倒されます!ぶっ飛んでいても、端正でなくても、文学ってこういうことなんだなと、強烈なパンチを食らいました。
「人はなぜ人を殺すのか」
河内十人斬りを描いていますが、十人斬りよりも最後の殺人が問いかけてくるものに、本当の「人はなぜ人を殺すのか」の深層があるように感じました。斬った十人と違って、最後に殺した1人との間には、世の中の理不尽や熊太郎の劣等感、強烈な自意識が大きく介在していたとは思えません。それでも殺してしまうほどの孤独や絶望がなぜ生まれてしまったのか?本当の伝わらない辛さ、分かり合えない悲しみが、この最後の殺人で示されているのだとしたら辛すぎる。人の心とは、言葉とは、コミュニケーションとは何なのか?熊太郎の最後の告白の主語は何だったのか?ずっと気になって知りたくて何度も読み返すことになるんだと思います。そこを見込んで、重苦しい内容でも爆笑あり涙あり、義理人情の浪花節も炸裂するエンターテイメントに仕上げてくれたのかな。
登場人物では弥五郎が好き。胸をかきむしられるほど哀切で美しい妹との別れのシーンは、重いテーマの傍らで作者がプレゼントしてくれた大切な宝物。そして弥五郎の簡潔でダイレクトで全く思弁的でない言葉が、逆に言葉以上の情緒を伝え心を映す鏡となっているという言葉の可能性を描き、熊太郎にとっては理性や感性を忠実に伝えるには不正確で不十分だった言葉の限界・呪縛と対比させることで、深遠なテーマに対し双方向から迫る作者の知性を感じました。真理や本質を言語化するために、言葉を信じ疑いながら言葉にこだわり言葉と格闘することは、熊太郎にとっても作者にとっても、大げさに言えば言葉を獲得した人類にとっても永遠の宿命なのかもしれない、と考えさせられるほど深い読書でありました。
極道の人殺しの話でありながら、その心の在り方には彼らを極道と呼ぶ者達よりも汚れのない何かがあり、哀しい人間賛歌のようになっていることにも感情を揺さぶられます。分量の多さは中身の濃さ。読書好きを夢中にさせること間違いなし。
テーマ、文体、感性、世界観など、何を挙げても稀有な読書体験であり、文学への認識そのものを新鮮にしてくれた一冊であったことに最大級の賛辞を捧げたいです。そして翻訳しても絶対に伝わらないであろう日本語の面白さ、奥深さ、豊かさ、美しさ、音楽性、抒情性、独創性を、日本人であるがゆえに堪能できた自分は本当にラッキーだと思えた一冊でもありました。町田康、最高‼!! まぎれもない傑作だと思います。
2022年2月6日に日本でレビュー済み
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若い編集者が大絶賛するので初めて町田康の本を読みました。帯の宣伝の「平成を代表する一冊」とか、中央公論新社新入社員の「人生の一冊になることをお約束します」とか、(時代を経た或いは時代を経るであろう古典や傑作を読んだことがある身としては)ちゃんちゃら可笑しくて、文中の言葉を借りれば、銭、銭、銭の宣伝文句に感じました。
本をあまり読まない新入社員(若い人)が読書のとっかかりの一つとして読むのは有りかも知れませんが、私なら決して薦めません。可能性は秘めていたものの古典・傑作の系譜にその未熟さ故に連なり損ねた佳作以下の超長編小説ではないでしょうか。
本書から著者が意識的・無意識的に影響を受けていると感じた本物の傑作を以下に記します。
・「罪と罰」「悪霊」(ドストエフスキー)
・「居酒屋」「ナナ」(エミール・ゾラ)
・「ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹)
・「赤目四十八瀧心中未遂」(車谷長吉)
本をあまり読まない新入社員(若い人)が読書のとっかかりの一つとして読むのは有りかも知れませんが、私なら決して薦めません。可能性は秘めていたものの古典・傑作の系譜にその未熟さ故に連なり損ねた佳作以下の超長編小説ではないでしょうか。
本書から著者が意識的・無意識的に影響を受けていると感じた本物の傑作を以下に記します。
・「罪と罰」「悪霊」(ドストエフスキー)
・「居酒屋」「ナナ」(エミール・ゾラ)
・「ねじまき鳥クロニクル」(村上春樹)
・「赤目四十八瀧心中未遂」(車谷長吉)
2022年1月2日に日本でレビュー済み
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短編なら『くっすん大黒』『けものがれ、俺らの猿と』、長編なら本書の後に発表された『宿屋めぐり』『ギケイキ』といった傑作もあれど、町田康の最高傑作は何かと問われれば、2005年発表の本書をあげる方が多いのではないでしょうか。
1893年(明治26年)に大阪府の金剛山麓の村で実際に起こった殺人事件をベースに、そこに至らざるを得なかった犯人城戸熊太郎の思考の流れを少年時代から描き出す、渾身の作だと言えます。
単行本で676ページと読み応えある作品ですが、最初から最後までだれることなく力業で書ききった感があります(町田康の長編作品には「同じことの繰り返しじゃないか」と読むのが嫌になるもの、たとえば『ホサナ』のような作品がないでもないのですが、本書はラストに向けてくんくんに読ませる力を感じさせます)。
10歳の餓鬼の頃「俺はなぜこんなに思弁的なのだ」の気づくものの、田舎の百姓の子供ばかりの中でその思弁を共有する友達などいるはずもなく、このことが熊太郎の根本の不幸であった。
極度に思弁的であるものの、それを言葉で表すことができないがため、熊太郎が思っていることは村の人には絶対に伝わらず、よって、村人から見れば、あほでもできることができない大たわけものとみられてしまう。
村人の心無い言葉に熊太郎は絶望した。
熊太郎はふるふるし、「空からにゅうめんが」「空からにゅうめんが」とおめく。
現実に起こった殺人事件をモデルにしているので、当然後半は「人間停止っ」と怒鳴りながら熊太郎を追い込んだ村人を殺害することになるのですが、不謹慎ながら、ここに至って少なからずの村人が感じたカタルシスを読者も感じることでしょう。
1893年(明治26年)に大阪府の金剛山麓の村で実際に起こった殺人事件をベースに、そこに至らざるを得なかった犯人城戸熊太郎の思考の流れを少年時代から描き出す、渾身の作だと言えます。
単行本で676ページと読み応えある作品ですが、最初から最後までだれることなく力業で書ききった感があります(町田康の長編作品には「同じことの繰り返しじゃないか」と読むのが嫌になるもの、たとえば『ホサナ』のような作品がないでもないのですが、本書はラストに向けてくんくんに読ませる力を感じさせます)。
10歳の餓鬼の頃「俺はなぜこんなに思弁的なのだ」の気づくものの、田舎の百姓の子供ばかりの中でその思弁を共有する友達などいるはずもなく、このことが熊太郎の根本の不幸であった。
極度に思弁的であるものの、それを言葉で表すことができないがため、熊太郎が思っていることは村の人には絶対に伝わらず、よって、村人から見れば、あほでもできることができない大たわけものとみられてしまう。
村人の心無い言葉に熊太郎は絶望した。
熊太郎はふるふるし、「空からにゅうめんが」「空からにゅうめんが」とおめく。
現実に起こった殺人事件をモデルにしているので、当然後半は「人間停止っ」と怒鳴りながら熊太郎を追い込んだ村人を殺害することになるのですが、不謹慎ながら、ここに至って少なからずの村人が感じたカタルシスを読者も感じることでしょう。
2022年6月29日に日本でレビュー済み
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高レビューだったのと殺人犯の心理には興味があったので楽しみに読み始めましたが、本の中程まで読んでも話に(キャラに)全く引き込まれませんでした。細かい思考の描写も時にはしつこかったり、グロテスクだったりで次に進むまでに疲れてしまう。主人公がそんなに変わっている存在とも思えないままに大人になったあたりで、自分には珍しく途中で読むのをやめました。
主人公の誠意や忠実さが空回りして誤解され、社会から疎まれてしまう様を描いた作品はいくつかあり(サリンジャーのライ麦畑で捕まえて。やカミュの異邦人など)私にはこの作品はそこまでのインパクトも主人公に対する共感も生まれませんでした。感情やその結果の行動やなぜそうなったか読者に託し行間を読ませるのではなく、事細かに映像のように描写してしまう為、読者の想像力の域が限られるように感じました。私には合わなかった。
主人公の誠意や忠実さが空回りして誤解され、社会から疎まれてしまう様を描いた作品はいくつかあり(サリンジャーのライ麦畑で捕まえて。やカミュの異邦人など)私にはこの作品はそこまでのインパクトも主人公に対する共感も生まれませんでした。感情やその結果の行動やなぜそうなったか読者に託し行間を読ませるのではなく、事細かに映像のように描写してしまう為、読者の想像力の域が限られるように感じました。私には合わなかった。