歴史秘話ヒストリア “裏切り”の声は甘く悲しく〜東京ローズ〜
『歴史秘話ヒストリア』（れきしひわヒストリア）とは、2009年よりNHK総合テレビジョンで放送されているNHK大阪放送局制作の歴史情報番組。
| 放送日 | 2015年1月21日(水) 22:00～22:45 |
|---|---|
| 放送局 | NHK総合 |
番組概要
episode1 謎のラジオアイドル 東京ローズ誕生！ （バラエティ/情報）
22:02～
謎のラジオアイドルの東京ローズの名前は米兵が勝手につけた名前で、放送では「みなしごのアン」という名前が使われていた。彼女が東京ローズと呼ばれるようになったのには意外な理由があった。
当時太平洋戦争は心理戦で日本軍が戦場にばら撒いたビラを紹介。海を越えメッセージを飛ばすことが出来るラジオは心理戦に最も適した方法だと考えられた。ラジオ・トウキョウ（当時のNHK）は当時プロパガンダ放送を開始、世界中に向けて16ヶ国語で放送を行なっていた。東京ローズが担当していたゼロ・アワーという番組を紹介。夕方アメリカ兵の憩いの時間を狙って放送され、選曲はジャズが中心だった。番組のウリは女性の陽気なDJが評判だった。兵士たちは「東京ローズ」と名付けアイドル視していくことになる。B29に描かれた東京ローズの写真紹介。
アメリカ・アリゾナ州サンシティ、70年前実際にゼロ・アワーを聞いていた元アメリカ兵にインタビュー。1944年3月20日付けのニューヨーク・タイムズの記事では、東京ローズが取り上げられた。その人気はハリウッド映画「TOKYO ROSE」が製作されるほど人気だった。東京ローズは無視できない影響をアメリカ軍に及ぼし始めていた。昭和20年8月15日に終戦、その半月後アメリカの新聞サンタクルズ・センチネルニュースに東京ローズはロサンゼルス出身のアイバトグリと判明されたと記載された。
episode 2 東京ローズ 謎のアイドルの素顔 （バラエティ/情報）
22:13～
アイバが生まれたのは日米開戦から25年前の7月4日で、両親は日本人ではなくアメリカ人として育てようとする。アイバは地元の名門大学に進学した。1941年の夏大学を卒業したばかりのアイバは両親の代理として日本へ行くことになった。日本に到着し叔母の家に行き、半年間下宿することになるが、日本での生活は困難の連続だった。日本に馴染めないままおよそ4ヵ月経ったある日のこと、日本軍が真珠湾を攻撃し、日米開戦となった。アイバはアメリカ政府に帰国申請書を提出したが、帰国は拒否されてしまった。アイバは叔母の家を出て1人暮らしを始めたが、まともな仕事は見つからず、お金もなくなり絶望にさいなまれた。
そんな中、思わぬ仕事が舞い降りてきた。勤め先はラジオ局で、ラジオ・トウキョウで、英文タイピストに採用された。そこでは、帰国子女や日本に帰化した日系人女性が多く働いていた。しかし、アメリカ国籍を持ち続けたアイバはここでも疎外感を味わう。ラジオ・トウキョウにはアメリカからの放送を自由に聞けるラジオがあり、アイバはこれを聞いて孤独に耐えていた。日本に来て2年の月日が経ったある日、スタジオに3人の外国人がいて、同胞と出会いアイバは感激した。3人の捕虜のリーダーのチャールズ・カズンズがアイバをラジオのDJにスカウトした。アイバは拒否しようとしたが、カズンズは放送を使ってひそかに日本軍に抵抗してきたことを打ち明けた。こうしてアイバはDJを引き受けた。
アイバは、自分の声が戦場の兵士に届くと信じて語り続けた。その後アイバは日系人の新聞記者のフィリップ・ダキノと結婚した。終戦となり、これでアメリカに帰れると喜びの中にいたアイバだが、予想もしない運命がアイバを襲う。
終戦後に、マッカーサーとともに多くの従軍記者の日本入りした。記者たちのねらいは3人の大物に独占インタビューをすることで、昭和天皇と東條英機と東京ローズである。如何に彼女がアメリカ人の注目を集めていたかがわかる。記者たちはラジオ・トウキョウで東京ローズに会わせろと要求したが、ラジオ・トウキョウは、「東京ローズと名乗った女性は一人もおりません」と話した。ゼロ・アワーを担当した女性は複数いたため、特定の誰かが東京ローズにあたるわけではない。
episode 3 東京ローズは反逆者！？ （バラエティ/情報）
22:27～
終戦から2週間、ゼロ・アワーが無くなったためアイバは無職になった。アイバを探し当てた記者たちは、独占インタビューに応じれば2千万ドルを支払うとい持ちかける。アイバは夫と共にホテルの一室で取材に応じ、そこで初めて自分がアメリカ兵のアイドルになっていたことを聞かされた。3日後、アイバはGHQから呼び出しを受けた。そこには大勢の記者や兵士たちが待ち構えており、 セットも用意され記録映画の撮影が始まった。しかし、アメリカ本国で取材の2日後に発表された新聞記事の見出しにはプロパガンダ放送に協力した反逆者東京ローズと悪意に満ちた内容だった。
アメリカではアイバへのバッシングが始まり、批判の中心になったのは戦争で息子を失った母親や日系人の排斥運動をしていた人々だった。アイバは逮捕され、巣鴨プリズンに収監された。数カ月間のFBIの取り調べを受けたあと、裁判の被告人としてアメリカに強制送還された。カリフォルニア州・サンフランシスコで裁判が開かれるが、全米最悪の反日感情の土地と言われており、陪審員は全員が白人であった。アイバを有罪にするため検察は100人の証人を集めた。裁判費用は50万ドルで史上最大の裁判となった。アメリカ社会は反逆者アイバを断罪しようとしていた。
1949年7月5日に裁判が始まり、罪名は反逆罪である。検察側はゼロ・アワーの録音を動かぬ証拠として提出した。しかし、録音の内容は陽気な音楽紹介にすぎないものだった。アイバは、ラジオ・トウキョウでの立場を懸命に訴えた。アイバは国家に反逆する意思など全くなかったことを主張した。裁判を取材していた司法記者の間では判決は無罪になるという見方が大半であった。しかし、検察側は、仮に反逆の意思が無くとも放送に参加したこと自体が問題であるということを主張した。検察側はアイバが自発的に番組へ出ていた点を執ようにアピールした。アイバはこれに反論することができなかった。
1949年9月29日の運命の日が来た。禁錮10年・罰金1万ドルの有罪判決を受けた。これにより、アメリカ市民権も剥奪された。カワシマ・ヤスヒデは、「これはアメリカ社会全体がアイバの処罰を求めていたということにほかなりません」と判決結果について話した。刑務所に収監されたアイバは6年2か月後、模範囚として釈放される。しかし、みずから東京ローズについて語ることはなかった。
日系人受難の時代からおよそ20年後、アメリカ社会では黒人などに正当な権利を保障することを求める公民権運動が勢いを増す。それと同時に、戦争中の日系人への差別や迫害を見直す動きが始まった。アメリカ政府は日系人の強制収容は間違えであったと公式に認めた。アイバの反逆罪裁判も再検証されることになり、アメリカ大統領はアイバの特赦を決定し、アメリカ市民権を回復した。そして、2006年1月にアイバは退役軍人会から表彰を受ける。自ら東京ローズになったのか、そのもう一つの理由について、「自分が生きていることを両親に伝えたかった」と述べていた。
エンディングテーマ曲「Kalafina／夢の大地」
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