山や街の木々が紅(あか)く染まりはじめ、目に映る風景がガラリと変わる。9月の重陽の節句からお彼岸、時代祭、ハロウィンと古くからある文化と新しく根付いた文化とで、秋は私たちをいろいろ楽しませてくれます。
今回の華包は「紅葉(こうよう)包」、合わせる花材にはナナカマドの紅葉を選びました。
左右対称になる紅葉包は他の華包とは少し違い、花を引き立てる凛(りん)とした姿に惹(ひ)かれます。中心にはリンドウ、そして全体にワレモコウを。ナナカマドの躍動感が出るようにシンプルに生けています。掛け軸は祖父でもある先代家元の書です。
アレンジ作品の方は松ぼっくりと華包を合わせ、秋の庭の賑(にぎ)やかさを演出しました。水引は栗(くり)をイメージし、先を揃(そろ)えずに毬(いが)を表現、遊び心を添えています。
家の中でも目で楽しめる秋。日本には花やいけばなを通し、季節を感じることができる文化があります。その喜びを感じていただければと思います。
1979年京都市生まれ。都未生流副家元。京都華包研究会同人。