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SIerに生息する「おじさんSE」の生態を知る

ここでいうおじさんSEとは、主にSIerに生息する、

・30歳以上で

・モダンな技術を知らない

・レガシーな技術しか知らない

・主に設計書などのドキュメント類を弄っており、コーディングをしない

・現状から変わる気がない(キャリアアップに対し具体的なアクションがない)

人たちを指す。

決して単に妙齢のエンジニアを一括りにしているわけではない。

「おじさんSE」より良い呼び方があれば、ぜひご提案いただきたい。


第1章 おじさんSEの仕事内容

おじさんSEは、コードを書くことはほぼ無い。

これは現場にもよるので、全く無いというわけではないが、

多くのおじさんSEはコーディングはしない。

ではおじさんSEは何をやっているのかというと、

・内部設計書、外部設計書、詳細設計書の記述

・結合試験以降の試験項目票の作成

・試験結果のレビュー

大抵はこの3つになる。

99.9%はウォーターフォール型である。

おじさんSEは設計書や試験項目票といったドキュメントを担当し、

コーディングやテストは下請けの会社や若いプロパ社員が担当する。

こういった役割分担が決まっていることが多い。


第2章 おじさんSEのスキル

おじさんSEが存在するプロジェクトというのは、BtoBの業務系が多い。

大手SIerが受注し、新しい技術よりは、確かに動く技術を用いる。

そのため、今までの知見でなんとなく仕事ができてしまう。

おじさんSEが現場で求められるスキルとは、たったこれだけしかない。

・要求仕様書から設計書を作ったことのある経験

・設計書から試験項目票を作ったことのある経験

・最低限のコミュニケーション能力

業務知識はプロジェクトに入ってから覚えるものだし、

1回一連の作業を経験してしまえば、あとはもう、特に勉強をしなくても、

それっぽい仕事をすることは容易である。

コーディングについては、大昔にコードを書いてからしばらくご無沙汰か、商流の高い大手SIerでキャリアを始めた人であれば、そもそもコードを書いたことがないという人までいる。


第3章 おじさんSEを取り巻くテクノロジー技術・知識

【端末】

・端末管理が雑で、参画すると大体の場合ホコリまみれのノート端末orディスプレイ・ハード・モニター、

 ケーブルを渡される。

・OSはWindowsがほとんどで、デュアルディスプレイは4〜5割くらいという印象。スペックは基本的に悪い。

 おじさんSEでもこれに関しては不満を持つ人が多い。

 なぜならスペックの悪いPCでExcelはよく固まるからだ。

【環境】

・大抵は客先のプロジェクトルームという名の長机orデスクが連なった場所で働く。

端末は自席にワイヤーロックで固定する場合が多い。

・インターネット接続を認めていない(プロパだけOKの場合もある)ケースが多く、その場合、調べ物はインターネット接続が許可された共有端末か、自分のスマホで調べることになる。おじさんSEはネットサーフィンできないと嘆くくらいの影響だが、PGにとってはこれはかなり痛い。セキュリティレベルが高い案件だと、スマホ持ち込みすらできない場合も…

【プログラム言語】

COBOL、Java、JavaScript、C#、C++、C、PHP、Perl、Objective-C、.NET

知っていてこの辺りまでとなる。

RubyやPythonは名前くらいは聞いたことあるという人が多く、

R、Scala、kotlin、swift、golangあたりは存在すら知らない人が多い。

なお、JavaScriptを知っていてもXXXX.jsといったフレームワークやライブラリの類は知らず、jQueryを使えたらスゲーと言われる世界である。

また、おじさんSEは直接触ることは少ないが、新しいバージョンにキャッチアップすることを良しとせず、Javaでいうならばラムダ式やStreamAPIを使おうとせず、せいぜいジェネリクスまでしか使わない。10年来のSIer自社謹製フレームワークを使い続けるプロジェクトも多く見られる。

【バージョン管理】

大正義SVNで、CVSやフォルダ管理、コード内埋め込みはさすがに廃れてきた。

Gitに関しては、

・知っているし使ったことがある人が2割

・知ってるけど使ったことない人が4割

・何それ?という人が4割

くらいだと思われる。

当然、MercurialやPerforce Helixなど、その他のシステムはほぼ誰も知らない。

また、Gitを知っていても、Git=GitHubと思っている人も多い。

集中型と分散型で良し悪しを決めるつもりはないが、

そもそもSVN以外わからない人が多いのが現状。

【データベース】

SIerはお金持ちなのでほとんどがOracleを使っている。

GUIツールとしては、SQLDeveloper、Osqledit、A5SQLの3強か。

おじさんSEは試験データ作成をタスクとして振られることもあるため、

SQLには割と明るい。といってもCRUDと簡単な結合、ソート操作くらいだが。

ちなみにこの試験データはExcelに計算式を入れまくり、CSVに加工されて作られる。

MySQLも稀に使われるが、さすがにMySQLを知らない人は少ない。

残念なことにPostgreSQLを含めてMySQLよりマイナーなものはほぼ誰も知らない。

もちろんNOSQLも。NOSQLについては概念すらあまり知られていない。

【APサーバー】

Oracleが人気な兼ね合いでWebLogic Serverが人気。

とはいってもこの辺りの選定はSIerでも詳しい人がやるので、

JBossやWebSphereあたりも普通に見かける。

おじさんSEは製品の名前くらいしか知らない。

【オンプレミス/クラウド】

おじさんSEは、そもそもオンプレミスという単語を知らないし

クラウドも意味はわかるけどクラウドで何をやってるのか知らない。

SaaSの恩恵に預かっているだけで、それ以外は全くわからず、

AWS、GCP、Azureなど名前すら聞いたことがない人も存在する。

そんなわけないだろと思われるかもしれないが本当にいる。

9割方はオンプレミスだが、最近は時代の流れでクラウドを取り入れる場合も出てきているので、

そういうプロジェクトに配属されたおじさんSEは必死にExcelで絵を書いて、なんとなく理解する。

なお関係ないがVMwareやDockerの概念についてもさっぱり分かっていない人が多く、

突っ込まれたらボロが出るので突っ込まないようにしてあげよう。

【ドキュメント作成】

Excelが圧倒している。おじさんSEの仕事はExcel抜きに語れない。

Excelの使われる用途は本当に幅広く、代表的なものを挙げると

・要求仕様書〜設計書までの全てのドキュメント

・試験項目票、試験結果エビデンス

・WBS、課題管理票

・手順書

・議事録

・勤務表、事務系ドキュメント

・引き継ぎ資料

・その他、中間成果物

などとなる。

後述するテキストエディタではサクラエディタが大人気なのだが、

テキストエディタとしてExcelを使う人もいる。

まさに「神Excel」状態。

しかし、これだけExcelが好きなのにVBAを書ける人は多くない。

VBAを使いこなすおじさんSEは生産性が高いと評価される。

VBAといえば、大手SIerのプロジェクトだと、テーブル仕様書やクラス仕様書から、daoやデータクラスを自動生成してくれるExcelマクロブックを見かけることがある。

大抵の場合は最初に作成した人はすでにプロジェクトを去っており、中途半端なメンテ状態で放置されている。

そのため自動生成しても結局手修正していることが多い。

先ほどバージョン管理にSVNが使われていると書いたが、

それはあくまでも完成した成果物のみであり、

おじさんSEのファイルサーバの個人フォルダには「XXXX設計書_YYYYMMDD.xlsx」のようなファイルが

大量に転がっている。

他でいえば、PowerPointは会議資料や夢を書くものとして需要があり、

Wordはインデントが崩れるなどの理由で不人気。

UMLソフトはastshが好まれるが、これもExcelでやっちゃう場合も。

GoogleスプレッドシートやOpenOfficeはあまり見かけない。

稀にOffice365でやることがあるくらいか。

【テキストエディタ】

サクラエディタが人気。

サクラエディタはExcelと相性がよくgrep機能も強力なので、

SIer三種の神器(Excel、サクラエディタ、Eclipse)に数えられる。

基本的におじさんSEの生息するSIerのプロジェクトではフリーソフトのダウンロードは禁止されていることがほとんどなのだが、サクラエディタはファイルサーバーにインストーラーが大抵置かれているので安心。

その他だと、Windowsメモ帳、秀丸、TeraPadなどが使われる。端末でMacが使われることがほぼないので、WebエンジニアにはおなじみのAtomやVimなどを知っている人は少ない。

【コミュニケーションツール】

もっとも多いのがメール。大抵はOutlookで、Thunderbirdその他は見たことない。

チャットツールとしてはIpmessangerというフリーソフトをよく見かけたが、最近ではTeamsなどに置き換わってきている。

残念ながら、Slackは存在をほぼ認知されていない。

なおチャットツールはチーム内での軽いやりとりに限る傾向があり、大事な話はメールでやれという空気感が強い。

【IDE】

Java案件が多いので、Eclipseが使われることが多い。

大抵Pleiadesという日本語化セットと共にファイルサーバに置いてある。

ついでVisualStudio。

html、css、JavaScript、シェルは、サクラエディタで書いている人も多い。

【その他】

おじさんSEが愛するその他のツール類

・FFFTP

・WinMerge

・schedule board

・snipping tool


第4章 おじさんSEと勉強

おじさんSEはあまりテクノロジーの勉強をしない。

stack overflowはもちろん、Qiitaやはてブも知らないし、IT系の記事も読まない。

(たまたまググって引っかかることはあるが、常時活用したりはしない)

ブロックチェーン=仮想通貨と思っているし、技術書も全く読まない。

それは前述の通り、おじさんSEの仕事に必要のないものだからだ。

ただし、おじさんSEの中にも、具体的な行動は起こしていないものの、PM→管理職とマネジメント系で出世できたらいいなと漠然と思っている人は存在する。

そういう人は、自己啓発本やマネジメント本を読んだりして、テクノロジー系でなくても、勉強する場合もある。

なんとなく今生活できてるからいいや、と思っている人は、

本当に一切勉強しない。


第5章 おじさんSEと給与・勤怠

おじさんSEは比較的良い給与をもらっていることが多い。

SIerにおいては格付けランクが「管理職>PM>PL>SE>PG」であり、実は設計書を書かせてもPGの若い子以下だったりする場合が往々にしてあるのだが、この格付けシステムと、それまでの年次もあるためそれなりの給与となる。

別に生きていくことに困っているわけではないため、十分だと考えて努力をしない。雇う側からしたら、手は動かせないし管理もできない、そのくせ金は食う生産性の悪い要員なので、本音は切りたいと思われている人も少なくないだろう。

(ただし、人月単価は基本的におじさんSE>若手イケイケPGである)

おじさんSEの勤怠は比較的まじめである。

前述したように、特筆すべきスキルがないので、勤怠くらいはちゃんとしないと立つ瀬がないからだ。

だがここでいう勤怠とはあくまで出社時間の話であり、昼休憩をしっかり取らない、ダラダラ残業するなど時間管理が上手い訳ではない。雪や台風の日などもきっちり出社してくるため、社畜精神には溢れていると言える。


第6章 若年性おじさんSE

冒頭でおじさんSEは30歳以上と書いたが、周りにおじさんSEしかいないなら、若手もおじさんSEに染め上げられてしまう可能性がある。

特に、情報系の大学・専門学校を出ず、文系卒の子は気をつけたほうがよい。

知らず知らずのうちに洗脳される可能性があるからだ。


第7章 SIerとおじさんSEの今後

ここまで長々と読んでくれた人で、SIerやおじさんSEを知らない、見たことないという人は、「なんでIT業界で働いてるのにこんなにテクノロジー音痴なの?」と思うかもしれない。

しかし、おじさんSEは最新のテクノロジーを知らなくても、今までの知見でなんとなく仕事ができてしまうし、お金もそれなりに貰えてしまうのだ。

だから新しいものを取り入れようとしない。

「SIer崩壊」というセミナーが開かれたのが3.11地震の前日で、

それから随分とSIerは叩かれ続けてきた。最近はGoogleでSIerと入力すると、「オワコン」「もうダメ」など不穏な予測変換が出てくる。

ただ、多くのおじさんSEは今でも生き残っている。

RPA、クラウド全盛の時期を迎え、AI・機械学習等の発展も見込まれる中、SIerの今までのビジネスモデルが成り立たなくなりつつあるのは確かだが、多くのおじさんSEは、やばいと思いつつも「なんとかなるんじゃないか」「定年までは逃げ切れるのでは」と希望的観測の元に仕事を続けている。

そんなおじさんSEに、あなたはなりたいだろうか。