行定勲監督 故郷熊本描いた短編が復興に一役「映画の力信じて良かった」

[ 2016年6月26日 21:24 ]

熊本の地域創生映画「うつくしいひと」で観光映像大賞を受賞した(左から)行定勲監督とくまモン、出演の高良健吾

 行定勲監督(47)が、故郷・熊本県と地域創生のために製作した短編映画「うつくしいひと」が、短編映画祭「ショートショート・フイルム・フェスティバル&アジア2016」で、「観光映像大賞」を受賞し26日、都内で授与式が行われた。

 女優の橋本愛(20)、東大名誉教授の姜尚中氏(65)、俳優の高良健吾(28)ら出演者、スタッフはすべて熊本出身で固め、昨年10月に撮影。同映画祭で上映されることが決まっていたが、発表直前の4月に熊本地震が発生。各地からチャリティー上映会の呼びかけが舞い込み、その数はこれまでに全国140カ所以上に及んだ。

 できる限り現地に足を運んだ行定監督は、「各映画館の館主さんが、ふだんやっているプログラムをやめてチャリティーをしてくれることに何よりも感動した。そのほかにも自主上映をしたいという自治体の方々もいて、いろいろ回ってこんなにも熊本出身の人間が縁国各地にちらばって、それぞれに頑張っている姿に郷土愛を感じた。どこも満員で、たくさんの人が集まって心をひとつにするという、見失いかけていた映画の本質を観客に教えてもらった」と感慨深げ。地元・熊本でも上映し「映っているものの70%は姿を変えているが、熊本の人は強い。逆に励みにして、元に戻すだけでなく、新しい何か、歴史をつくっていこうという気持ちになっている。映画の力を信じて良かった」と語った。

 橋本も「この映画がなかったら、私は手も足もでなかった。作った時は自己満足だったけれど、各地を回って物理的なお手伝いの橋渡しができて良かった」と笑顔。震災後に何度も帰省している高良は、「震災前の熊本が映像で残せて良かった。震災をきっかけに皆が熊本を知って気にかけてくれたことに意味がある。震災後の熊本を描く映画も、僕たちでやれたらいい」と意欲を見せた。

 姜氏は、英国のEU脱退を引き合いに出し「これほど自然現象と社会現象がオーバーラップすることはなかった。明日、どうなるか分からない時代、こういう郷土愛は人々を和ませることができる。世界中の人に見ていただきたい」との構想を披露。そして、行定監督が「一瞬を永遠にすることができたかもしれない。この映画を見て熊本に行ってみたいと思う気持ちが何よりの励みになります」とさらなる支援を訴えていた。

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