アイラトビカズラ、誤って伐採 山鹿市の国特別天然記念物

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アイラトビカズラが半分伐採された繁茂棚=山鹿市
誤って伐採されたアイラトビカズラ

 熊本県の山鹿市教育委員会は15日、同市菊鹿町に自生する国の特別天然記念物「相良のアイラトビカズラ」が誤って伐採されたと発表した。除草作業を請け負った業者の不手際と市の監督不足が原因で、全体のほぼ半分が無くなった。

 自生地は公園化されており、三つの繁茂棚がある。市教委社会教育課によると、市内の業者が3月21日に3人で作業した際、作業員1人が北棚と中央棚の東側計28メートル、南棚の南側と西側計15・5メートルを伐採した。

 切断したカズラは直径5センチから1センチ未満で、太いカズラは無事だった。市教委職員は事前にアイラトビカズラを伐採しないよう業者に注意していたが、作業に立ち会ってはいなかった。

 業者は過去に複数回、除草作業を請け負っていた。3人の作業員のうち2人はアイラトビカズラ付近の除草の経験者だったが、伐採した作業員は今回が初めてだった。カズラが茂っていたため、日当たりが悪いと個人的に判断して伐採したという。

 市教委は県と文化庁に報告。切断面に防腐剤などを塗り、樹木医と相談しながら経過観察する。市教委社会教育課は「業者への指示、監督が不十分だった。新たに保存管理計画を策定し、再発防止に努める」としている。(河内正一郎)