経済プレミア・トピックス

「牛乳モー1本!」農水省がいま訴える切実な理由

川口雅浩・毎日新聞経済プレミア編集長
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外食産業の休業などで牛乳や乳製品の消費が減っても生乳の生産調整は難しい=北海道安平町で2018年9月9日、丹治重人撮影
外食産業の休業などで牛乳や乳製品の消費が減っても生乳の生産調整は難しい=北海道安平町で2018年9月9日、丹治重人撮影

 新型コロナウイルスの影響を受け、学校給食や外食産業で牛乳や乳製品の消費が減っている。農林水産省は酪農家を支えるため、「牛乳やヨーグルトを普段より、もう1本多く飲もう」と消費者に呼び掛ける「プラスワン」キャンペーンを4月21日から始めた。

 農水省は、これまで「牛乳・乳製品は毎日生産される生乳(せいにゅう)を原料としており、供給が途絶えることはない」と、消費者に買いだめを控えるよう呼び掛けてきた。それだけに、「もう1本購入を!」と呼び掛けるのは異例の展開だ。

 それには事情がある。安倍晋三首相の要請で3月から小中学校が休校し、学校給食がなくなったほか、4月7日の政府の緊急事態宣言に伴う休業要請で、外食産業など業務用の牛乳や、バター、生クリームといった乳製品の消費が激減しているというのだ。農水省によると、「生クリームの場合、消費減退で乳業メーカーの生産は通常の5割から7割くらい減っている」という…

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川口雅浩

毎日新聞経済プレミア編集長

1964年生まれ。上智大ドイツ文学科卒。毎日新聞経済部で財務、経済産業、国土交通など中央官庁や日銀、金融業界、財界などを幅広く取材。共著に「破綻 北海道が凍てついた日々」(毎日新聞社)、「日本の技術は世界一」(新潮文庫)など。財政・金融のほか、原発や再生可能エネルギーなど環境エネルギー政策がライフワーク。19年5月から経済プレミア編集部