徳島県鳴門市撫養町の市道で昨年3月、介護施設の送迎ワゴン車に乗用車を衝突させて高齢者2人を死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた同市鳴門町、無職の男(83)の判決公判が15日、徳島地裁であり、藤原美弥子裁判官は禁錮3年、執行猶予5年(求刑禁錮3年6月)を言い渡した。
被告は「事故当時、意識がなかった」などとして無罪を主張していたが、藤原裁判官はドライブレコーダーの映像の解析結果などから、「被告の車両の動きは、ハンドルやアクセルなどを意識的に操作しなければ説明がつかない」と退けた。事故原因についてはブレーキとアクセルの踏み間違いと認定した。
判決理由では「被告の一方的な過失。2人の尊い命が奪われるなど結果は悲惨で痛ましい」と非難。一方で「遺族らに謝罪し、被害弁償される見込みがある」などとして刑の執行を猶予した。
判決によると、昨年3月18日午前8時45分ごろ、乗用車を走行中、前方に停止した車に気付くのが遅れ、誤ってアクセルを踏んで追突。弾みで対向車線にはみ出し、送迎車と正面衝突した。この事故で、送迎車と乗用車に乗っていた80代の女性2人が死亡し、被告を含む4人が重軽傷を負った。