東大留学中に中国が投獄 トフティー氏 11年ぶり釈放

東京新聞 2009年2月10日 夕刊

【ウルムチ=平岩勇司】東大大学院に留学中の一九九八年二月、一時帰国した中国で国家分裂扇動罪などの容疑で逮捕、実刑判決を受けたウイグル人男性、トフティー・トゥニヤズ氏(49)が十日、十一年の刑期を終えて釈放された。親族が明らかにした。

東大大学院で指導教官だった佐藤次高・現早大教授ら日本人支援者は早朝から、ウルムチ郊外の刑務所前で釈放を待ったが、当局は未明に同氏を車ですでに移送していた。

外国人と接触させない措置とみられ、佐藤教授は「久しぶりに再会できると思ったが残念だ」と肩を落とした。

中国側はトフティー氏を同自治区西部の実家へ連れて行き、国内にとどめる方針。同氏の無実を訴えてきた妻ラビアさん(45)と子ども二人はさいたま市在住。

中国に戻ると拘束される恐れがあり、家族が再会できない状態が続きそうだ。

少数民族政策の博士論文に取り組んでいたトフティー氏は、同自治区の公文書館で資料目録をコピーしたことが「国家機密の不法入手」に問われ、「新疆独立を扇動する本を執筆する目的だった」として九九年に実刑判決を受けた。

東大は同氏を支援して休学扱いにしている。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009021002000224.html