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【高校ラグビー】四半世紀超え“幻の決勝”キックオフ 昭和天皇崩御で中止の大工大-茗渓学園 4月に花園で

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【高校ラグビー】
四半世紀超え“幻の決勝”キックオフ 昭和天皇崩御で中止の大工大-茗渓学園 4月に花園で

決勝戦中止の特別処置で茗渓学園と大工大高が両校優勝したことを報じる1989(平成元)年1月8日付のサンケイスポーツ 

 昭和64年1月7日の昭和天皇崩御で中止となり、両校優勝となった第68回全国高校ラグビー大会決勝、大阪工大(大阪、現・常翔学園)-茗渓(めいけい)学園(茨城)の当時のメンバーが4月26日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で交流試合を行うことが決まった。対照的なチームカラーを持ち、「どちらが強かったのか」と今もファンの間で話題に上る“幻の決勝戦”が26年の歳月を経てキックオフする。(月僧正弥)

 「勝つとか負けるとかではなく、久しぶりにあのときのメンバーで試合ができる。しかも花園で、と思うとワクワクしますね」

 当時の茗渓学園主将でナンバー8だった大友孝芳さん(44)は声を弾ませた。

 この大会の両校はまさに対照的だった。優勝候補筆頭で3度目の全国制覇を目指す大工大が、後に日本代表の中心選手として活躍する2年生のセンター(CTB)元木由記雄さん(43)らのパワフルな縦突進を武器に圧倒的な強さで勝ち進んだ。

 それに対し、下馬評ではさほどでもなかった茗渓学園は、スタンドオフ(SO)赤羽俊孝さんが準決勝の天理(奈良)戦で見せた伝説の「3人飛ばしのパス」など自由奔放にパスをつなぐハンドリングラグビーで初の決勝に進出。勝負の行方が注目されたが、昭和天皇が試合当日の朝に崩御し、中止となった。

 「『勝ちたい、優勝したい』というより、僕たちは中高一貫の学校で、6年間一緒にラグビーをしてきた仲間ともう1試合したかったという気持ちの方が強かった。『何とか勝てるかな』とは思っていましたが…」と大友さん。一方、元木さんは「(決勝を)やりたいという思いはありました。負けるとは思っていませんでしたよ」と振り返る。

 関係者によると、今回の試合は、花園ラグビー場で4月26日に開催される「関西ラグビーまつり」(関西協会主催)の一環として行われる。昨年の同まつりで、松任谷由実さんの「ノーサイド」のモチーフともなった名勝負、昭和59年の第63回大会決勝、天理-大分舞鶴の当時のメンバーたちによる試合が行われたことを機に、両校の選手たちの間で対戦の機運が盛り上がり、実現することになった。

 あのとき高校生だった選手たちはもう40代。茗渓学園側は1月下旬から練習を開始。大工大側は3月上旬から練習を始め、本番に備えるという。

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