かみなり坊やピッカリ・ビー

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アニメ:かみなり坊やピッカリ・ビー
原作 ムロタニツネ象
脚本 くにとしろう吉田喜昭鈴木良武 ほか
音楽 萩原哲晶
アニメーション制作 放送動画制作チルドレンズ・コーナー
製作 毎日放送、放送動画制作、チルドレンズ・コーナー
放送局 NET系列
放送期間 1967年4月1日 - 1968年3月30日
話数 全53話
テンプレート - ノート
プロジェクト アニメ
ポータル アニメ

かみなり坊やピッカリ・ビー』(かみなりぼうやピッカリ・ビー)は、NET(現・テレビ朝日)系列局ほかで放送されていたテレビアニメである。毎日放送放送動画制作チルドレンズ・コーナーの共同製作。雪印乳業(現・雪印メグミルク)の一社提供[1]。全53話。モノクロ作品。

概要[ソースを編集]

ムロタニツネ象小学館の漫画雑誌『週刊少年サンデー』に連載していた『ビリビリ・ビート』をアニメ化した作品。不思議な力を持つ子供ピッカリビーが巻き起こす騒動を描く。

製作局の毎日放送では1967年4月1日から1968年3月30日まで、毎週土曜 19:30 - 20:00 (日本標準時)に放送。2部構成の番組で、10月14日放送分までは前半Aパートと後半Bパートとで別のエピソードを放送していた。10月21日からは、新作エピソードの放送は基本的にAパートのみで行い、Bパートには前期1 - 2クールで放送したエピソードを流すという手法を採っていたが[2]、Bパートも使って新作を放送する回もあった。本作の放送に合わせ、ムロタニ自身による漫画作品『ピッカリ・ビー』が講談社の漫画雑誌『ぼくら』に連載されていた。

前番組の『おそ松くん』(アニメ第1作)は子供たちに人気を博していたが、原作のストックが底を突いた上に視聴者の親からワースト番組のレッテルを貼られ、番組スポンサーにも抗議が来た。その事を危惧した毎日放送の会議で後番組は健全な路線で行くことになり、ムロタニの『ビリビリ・ビート』が題材に選ばれた[3]。結果的に本作はターゲットを小学校低学年までの層に絞った作品となり、次作の『ファイトだ!!ピュー太』は本作とは対照的な、世相・流行ネタをも取り入れたスラップスティックギャグアニメになった。ムロタニの弁によれば、『ファイトだ!!ピュー太』より本作の方が自分の作品に近いとのことであるが、主人公のビーをもう少し悪い子にすれば良かったとも述べている[4]

本作はモノクロ作品だった為か、それほど再放送されなかった上に全話分のフィルムが長らく行方不明になっていたが、1990年に『おそ松くん』や『ファイトだ!!ピュー太』とともに毎日放送千里丘放送センターのフィルム保管倉庫から発見された。それまで本作を収録したビデオソフトは無く、1989年にハミングバードから発売された『マニア愛蔵版 懐かし〜いTVアニメテーマコレクション』 (規格 - VHSレーザーディスク) にオープニング映像が収録されているのみであったが、フィルム発見を機に本作および『ファイトだ!!ピュー太』[5]を収録したVHSビデオソフトが、毎日放送開局40周年記念ソフトとして発売された。2005年6月29日には、コロムビアミュージックエンタテインメント(現・日本コロムビア)から全53話収録のDVD-BOXが発売された。

エンディングと次回予告の収録は現存している回のみであり、次回予告のナレーションは収録されていない。またフィルムの保存状態が余り良くなく、画面中にはゴミの映り込みが多い。

第1話のAパートに当たる「空からきたヘンなやつ」もフィルムの保存状態が悪く、画面中には常に太い縦線が映り込んでしまっており、音声も終始ノイズが出ている状態である。

あらすじ[ソースを編集]

好奇心から地上に降り、ポン太郎の家に住みついたカミナリの子供ピッカリ・ビー。近所の仲良しグループ「ワンパク6」(ワンパクシックス)とともに未知の世界を冒険したり、さまざまな珍事件を起こしたり、悪事を働く005ヱ門やガポネコを自身の超能力で懲らしめたりする。

登場人物[ソースを編集]

ピッカリ・ビーと雲井家[ソースを編集]

ピッカリビー
- 千秋ちあき[6]
本作の主人公。カミナリの国からやってきた子供のカミナリで、「ピッカリ・ハット」というシルクハットを着用している。悪戯好きで、ポン太郎の家に住みついてさまざまな騒動を起こす。
雷雲を作って空を飛び、豪雨を降らせるなどの超能力を持つ。喧嘩や騒動で収拾がつかなくなった時には、手から発する「ピッカリ光線」で相手の臍に花を咲かせて相手を笑わせる。また動物の言葉を理解し、話すこともできる。第1話では人間の言葉を話すことができなかったが、ポン太郎やおばあちゃんたちのサポートで徐々に言葉や人間界のルールを覚え、成長していった。最終話では、祖父がカミナリ界の偉い人物であることを自らの口で語った。弱点は、砂漠のような乾燥地帯では雷雲を発生させられないこと、そしてピッカリ・ハットを取られると超能力を発揮できなくなることである。
ポン太郎
声 - 加藤みどり
ビーが世話になっている雲井家の息子。「ワンパク6」の一員。人が良くて気弱な性格。
お父さん
声 - 大宮悌二
玩具会社に勤務するサラリーマン。家ではお母さんやおばあちゃんに頭が上がらない。名前はかん太郎。
お母さん
声 - 佐山智子
現代風の美人だが、学校での成績が悪いポン太郎には手厳しい。
おばあちゃん
声 - 北川千枝子
雲井家のご意見番的な存在。素直なビーを快く受け入れた。
チーコ
声 - 栗葉子
しっかり者のポン太郎の妹。
ハギシリ
声 - 大竹宏
雲井家の飼い犬。ポン太郎と同様に気が小さいのでガポネコの言いなりで、餌を取り上げられたりしている。さらには005ヱ門に堂々と家に泥棒に入られたりと、番犬の役目を果たせていない。

ワンパク6[ソースを編集]

ゴン太
声 - 高橋和枝
ワンパク6のリーダー的存在。見た目はガキ大将だが面倒見が良く、暴力はしない話せるタイプ。
ガミ子
声 - 伊藤牧子
紅一点のサブリーダー格。口うるさく、グループの取り仕切りや交渉事を最終的にまとめる。
ゲンショク
声 - 小宮山清
太りすぎのため、医師から減食を指導されている。それがそのままニックネームになっている。
カルダン
声 - 貴家堂子
オシャレな洋服を着ているおぼっちゃん。それゆえに遊びで服が汚れるのを気にしている。
レジ
声 - 白石冬美
常に算盤を持ち歩く計算名人で、ゴン太への報告係。帽子で目が隠れている。

その他の主な登場人物[ソースを編集]

005ヱ門
声 - 近石真介
泥棒、押し売りなどなんでもござれの本作の敵役の一人。「科学忍者」と称し、語尾に「ござるよ」を付けて話す37歳の男性。一人称は「拙者」。様々な珍発明で悪さをするのだが、お人好しでどこか抜けており、いつもピッカリビーに懲らしめられる。鼻の穴に煙草を入れて行動している。
ジロキチ
声 - 東美江
005ヱ門の子分のネズミ。突っ込み役。マイペースで間抜けな行動が多い親分に呆れかえっている。
ガポネコ
声 - 雨森雅司
眼帯を掛けた近所の野良猫たちのボス。言葉巧みにビーを騙したり、恫喝でハギシリの食事を横取りする敵役。ビーたちワンパク6と005ヱ門とは犬猿の仲であるが漢気があり、喧嘩などの非常事態には助太刀することもある。
その他
声 - 鈴木泰明村松為久水鳥鉄夫高田竜二緑川稔増田弘一立壁和也雁坂明富山敬兼本新吾峰恵研仲野研野沢雅子西尾徳内海賢二米地政英大川豊筈見純三浦利子関つよし渡辺典子恵比寿まさ子薄井身知子中山輝夫坂井すみえ三上由紀増岡弘

スタッフ[ソースを編集]

各話スタッフ[ソースを編集]

主題歌[ソースを編集]

オープニングテーマ「ピッカリ・ビーのうた」
 作詞 - ピッカリ・ビー・グループ / 作曲・編曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 天地総子ボン・くーる
挿入歌
 ピッカリ・ビーはいいな」
 作詞 - ピッカリ・ビー・グループ / 作曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 真理ヨシコ
「雲のドライブ」
 作詞・作曲・編曲 - 萩原哲晶 / 歌 - 美保くるり

各話リスト[ソースを編集]

放送日 話数 サブタイトル
1967年
4月1日
1 空からきたヘンなやつ
ビーもきょうからうちの子
4月8日 2 わんぱく入団テスト
人間の言葉はむづかしい
4月15日 3 大スター ピッカリ・ビー
ぼく学校にいきたい
4月22日 4 ぼくだってチャンピオン
ただほど高いピクニック
4月29日 5 ロボット先生はきびしい
つぼからでたご先祖さま
5月6日 6 わんぱくカラス王子
ビー人形新発売
5月13日 7 カメのおんがえし
ぼくがもらった忍術トラの巻
5月20日 8 おなかがすいた雪男
ダンプは通さない
5月27日 9 ぼく注しゃは大きらい
ガポネカはかわいそう
6月3日 10 強力大じしゃく
お遊びおじさんは誘カイ魔
6月10日 11 ハギシリのおにいちゃん
サーカスやめてでござるョ
6月17日 12 五ェ門の大まじゅつ
ハギシリのプレゼント
6月24日 13 ひとに親切らくじゃない
ゲンショクのパイナップル
7月1日 14 進めわんぱくハイキング
名探偵ハギシリの秘密
7月8日 15 原始人になりたい
しゃっくりとまらない
7月15日 16 忍法ロボット野球
ピッカリ犬猫病院
7月22日 17 転校してきた強いやつ
真夏の雪合戦
7月29日 18 ツノがはえた王子さま
走れポンコツ自動車
8月5日 19 怪獣ゴエモ対ビーゴン
盗まれたピッカリ★ハット
8月12日 20 ぼくらの0点かえせ
夜の遊園地で遊ぼう
8月19日 21 海辺の暴力やめる
夏休みは山寺で
8月26日 22 おばけ屋敷おもしろい
ほねおりぞん宝さがし
9月2日 23 ウミネコさんありがとう
ふしぎな花
9月9日 24 おかしな火星人
おりから出た動物たち
9月16日 25 大さわぎピッカリ・モード
銀座のネズミは強かった
9月23日 26 わんぱくドロンコ戦争
ぼく宇宙人じゃないよ
9月30日 27 ビーちゃんの特ダネ
山火事キャンプ
10月7日 28 列車強盗を追え
密林の王者ジーサン
10月14日 29 五対5紀の対決
なぞの鉄仮面
10月21日 30 インディアン大募集
ぼくだってチャンピオン(再放送)
10月28日 31 さばくのつぼどろぼう
わんぱくカラス王子(再放送)
11月4日 32 働け魔法のランプ
進めわんぱくハイキング(再放送)
11月11日 33 ぼくたちスパイじゃない
ツノがはえた王子さま(再放送)
11月18日 34 王女さまになったガミコ
走れポンコツ自動車(再放送)
11月25日 35 ジャングルの平和を守れ その1
ジャングルの平和を守れ その2
12月2日 36 高すぎたごちそう
ロボット先生はきびしい(再放送)
12月9日 37 ピッカリ海底戦争 その1
ピッカリ海底戦争 その2
12月16日 38 ガミコのクリスマス
カメのおんがえし(再放送)
12月23日 39 五ェ門のサンタークロース その1
五ェ門のサンタークロース その2
12月30日 40 王さまはまんががきらい
原始人になりたい(再放送)
1968年
1月6日
41 氷の城のお姫さま その1
氷の城のお姫さま その2
1月13日 42 ことしもきびしいでござる
おなかがすいた雪男 (再放送)
1月20日 43 わんぱくアフリカ探検隊 その1
わんぱくアフリカ探検隊 その2
1月27日 44 スキー場のいたずらトリオ
つぼからでたご先祖さま(再放送)
2月3日 45 南極へいったビーちゃん
ぼくらの0点かえせ(再放送)
2月10日 46 五ェ門の観光ガイド
ひとに親切らくじゃない(再放送)
2月17日 47 いそがしい無人島
忍法ロボット野球(再放送)
2月24日 48 なかまわれしたシックス
大さわぎピッカリ・モード(再放送)
3月2日 49 えんの下の宝もの
わんぱくドロンコ戦争(再放送)
3月9日 50 おかしの国へ行こう
ビーちゃんの特ダネ(再放送)
3月16日 51 怪盗くいしん棒
山火事キャンプ(再放送)
3月23日 52 愛される駅にしましょう
密林の王者ジーサン(再放送)
3月30日 53 さようならピッカリ・ビー その1
さようならピッカリ・ビー その2

放送局[ソースを編集]

系列は本放送当時のもの。

放送対象地域 放送局 系列 放送日時 備考
近畿広域圏 毎日放送 NET系列 土曜 19:30 - 20:00 製作局
関東広域圏 NETテレビ 現・テレビ朝日
福岡県 九州朝日放送
北海道 札幌テレビ[7] 日本テレビ系列 土曜 18:00 - 18:30
宮城県 東北放送 TBS系列 金曜 18:00 - 18:30[8]
中京広域圏 名古屋放送 NET系列
日本テレビ系列
土曜 18:00 - 18:30 現・名古屋テレビ(メ〜テレ)
本放送の終了後、1969年4月から15分枠での再放送を実施
岡山県 山陽放送 TBS系列 金曜 18:00 - 18:30 現・RSK山陽放送
当時の放送対象地域は岡山県のみ

脚注[ソースを編集]

  1. ^ 週刊少年マガジン』1967年22号、講談社、 97頁。週刊少年マガジン 1967/05/28 表示号数22”. 文化庁. 2017年11月17日閲覧。
  2. ^ 原口正宏 (2006年4月5日). “リスト制作委員会通信 第10回 2005年後半回想 その3”. WEBアニメスタイル. 2007年8月28日閲覧。
  3. ^ かみなり坊やピッカリ・ビーアニメデータ集 毎日放送・多仁治インタビュー
  4. ^ かみなり坊やピッカリ・ビーアニメデータ集 ムロタニ・ツネ象インタビュー
  5. ^ 本作は第22回Aパート「おばけ屋敷おもしろい」と第46回Aパート「五ェ門の観光ガイド」を収録。
  6. ^ スタッフの推薦でキャスティングされた本職の子役
  7. ^ 北海道新聞』(マイクロフィルム版) 1968年(昭和43年)3月 テレビ欄
  8. ^ 『河北新報』1967年9月1日 - 9月29日付朝刊、テレビ欄。
NET系列 土曜19:30 - 20:00枠
前番組 番組名 次番組
おそ松くん(アニメ第1作)
(1966年2月5日 - 1967年3月25日)
かみなり坊やピッカリ・ビー
【本番組から雪印乳業一社提供枠】
(1967年4月1日 - 1968年3月30日)
ファイトだ!!ピュー太
(1968年4月6日 - 1968年9月28日)