ケアンズ

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ケアンズ
Cairns
Cairns-copperlode.JPG
位置
ケアンズの位置の位置図
ケアンズの位置
座標 : 南緯16度55分32秒 東経145度46分31秒 / 南緯16.92556度 東経145.77528度 / -16.92556; 145.77528
行政
オーストラリアの旗 オーストラリア
  クイーンズランド州の旗 クイーンズランド州
 市 ケアンズ
地理
面積  
  市域 488.1 km2
人口
人口 (2019年現在)
  市域 153,951人
    人口密度   315人/km2
  備考 オーストラリア連邦で14番目の人口
その他
等時帯 AEST (UTC+10)
夏時間 なし

ケアンズ英語: Cairns [ˈkænz][1][ˈkernz][2])はオーストラリア大陸北東岸、ヨーク岬半島の付け根付近に広がる珊瑚海に面する港湾都市。背後にグレートディヴァイディング山脈が控えている。ファー・ノース・クイーンズランド地方の中心都市である。人口は約15万人で、都市圏は急速に拡張している。

様々なマリンスポーツも盛んなグレート・バリア・リーフ、およびクイーンズランドの湿潤熱帯地域という海山両方の世界遺産があり、ファー・ノース・クイーンズランドの観光拠点となっている。ブリスベンから約1,707km、シドニーからは約2,420kmに位置する。

歴史[編集]

イギリス人が入植する前はアボリジニ(オーストラリア先住民)のWalubarra Yidinji族が居住していた。1770年ジェームズ・クックが初めてこの地を調査し、現在のケアンズのある湾をトリニティ湾と名付けた。100年後、詳細な調査で港として有効な地形であると分かると、1876年、トリニティ湾の入り江の背後の高原にあるホッジキンソンで発見された金を船積みする必要から、急ごしらえで造られたのが今日のケアンズの町である。土地は大部分がマングローブの生茂る沼地や砂丘であったが、宅地に変える作業が続き、サトウキビトウモロコシコメバナナパイナップル等の農業用地の開墾も進んだ。金の積み出しルートはポートダグラスに代わられたが、農業の成功により都市として自立が可能となり、1906年には港湾機能も整備された。ケアンズの名前の由来はクイーンズランド州の知事であったウィリアム・ケアンズに因んでいる。

第二次世界大戦中は、連合国の戦略拠点として空軍基地や飛行艇の基地が設けられ、珊瑚海海戦の出撃拠点の1つとなった。戦後は観光が主要な産業となり、特に1984年ケアンズ国際空港が開港するとオーストラリアのゲートウェイとして発展してきた。

気候[編集]

熱帯モンスーン気候(Am)に属する。モンスーンの雨季は11月から5月。6月から10月は乾季であるがにわか雨が多い。ケアンズはオーストラリアで最も湿度の高い都市である。雨季にはサイクロンに見舞われることが多い。最寒月でも「海から上がると少し肌寒い程度」でしかもこの時期が弱い乾季にあたり雨が少ないためマリンスポーツに適している。

ケアンズの気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C (°F) 40.4
(104.7)
38.9
(102)
37.7
(99.9)
36.8
(98.2)
31.3
(88.3)
30.8
(87.4)
30.1
(86.2)
31.4
(88.5)
33.9
(93)
36.0
(96.8)
37.2
(99)
40.5
(104.9)
40.5
(104.9)
平均最高気温 °C (°F) 31.4
(88.5)
31.2
(88.2)
30.6
(87.1)
29.2
(84.6)
27.6
(81.7)
26.0
(78.8)
25.7
(78.3)
26.6
(79.9)
28.1
(82.6)
29.5
(85.1)
30.6
(87.1)
31.4
(88.5)
29.0
(84.2)
平均最低気温 °C (°F) 23.7
(74.7)
23.8
(74.8)
23.0
(73.4)
21.6
(70.9)
19.9
(67.8)
17.9
(64.2)
17.1
(62.8)
17.4
(63.3)
18.7
(65.7)
20.6
(69.1)
22.3
(72.1)
23.4
(74.1)
20.8
(69.4)
最低気温記録 °C (°F) 18.2
(64.8)
17.9
(64.2)
17.7
(63.9)
13.0
(55.4)
10.1
(50.2)
6.2
(43.2)
7.3
(45.1)
7.8
(46)
11.1
(52)
12.4
(54.3)
14.6
(58.3)
17.1
(62.8)
6.2
(43.2)
降水量 mm (inch) 396.9
(15.626)
450.1
(17.72)
426.3
(16.783)
199.0
(7.835)
90.5
(3.563)
45.6
(1.795)
29.4
(1.157)
27.5
(1.083)
34.2
(1.346)
41.8
(1.646)
95.0
(3.74)
181.2
(7.134)
2,012.4
(79.228)
平均降水日数 18.3 19.1 19.2 17.8 13.6 9.7 8.9 8.0 7.7 8.3 10.3 13.8 154.7
湿度 70.5% 73.5% 72.5% 71.5% 70.0% 67.5% 65.0% 63.0% 60.5% 61.0% 64.0% 66.0% 67.0%
平均月間日照時間 192.1 172.3 183.6 189.3 189.3 203.4 206.2 223.2 243.0 248.6 237.3 217.5 2,701
出典: Bureau of Meteorology (Australia)

観光[編集]

ケアンズ市街
夜のケアンズ港(後ろはカジノ・ドーム)
ピア
夜のケアンズ・エスプラネード

港付近にある人工のラグーン「ケアンズ・エスプラネード」では2003年に当時の市長・ケヴィン・バーンがトップレスを許可したことから人気を集めている[3]

ワーキング・ホリデー[編集]

ワーキング・ホリデーに来る青年も多い。魅力として、

  1. ケアンズ近郊にあるグレート・バリア・リーフでは、サンゴ礁などの大自然に恵まれているため、ワーキング・ホリデー協定締結国の中で最もマリンスポーツが楽しめ、各種アクティビティやスポーツ施設が充実している。
  2. オーストラリアは、一定の条件を満たすことにより2回目のワーキング・ホリデー・ビザ取得が可能である。
  3. 日本から近い上、時差が少なく、治安が良い。親日的な者が多い。
  4. 物価(フラット(賃貸住宅)の家賃や食費など)が安い上、熱帯性気候のため、暖房もほとんど必要なく、洋服などにあまりお金がかからないので生活費を安く上げることができる。
  5. 仕事が多い。日本語が観光業やサービス業(ツアーガイド、各オプショナルツアーの日本人スタッフ、お土産屋や免税店のスタッフ、ブライダルカンパニーの日本人スタッフ、日本食レストラン、貴金属店)など求職上有利に働く。しかし、近年は日本人観光客の減少を受け、仕事も減少している。ケアンズ近郊の街ではダイビングなどのマリンスポーツ指導員や果樹収穫の仕事もある。
  6. 日本語情報が豊富である。多くの観光客や日本人在住者がいるため、日本語情報誌「リビング・イン・ケアンズ」(年4回発行:1月10日、4月10日、7月10日、10月10日)が街の主要箇所で無料配布されている。

といったことが挙げられる。

一方で、オーストラリアにおける反捕鯨運動の盛り上がりとともに反日感情の増大が一部で見られ、レンタカー会社がキャンピング・カーに反捕鯨のスローガンを掲げるということが起きた[4]

交通[編集]

教育[編集]

多数の公立、私立の小中学校がある。TAFEジェームズクック大学のケアンズキャンパスがスミスフィールドにある。マヌンダには航空学校の基地がある。

スポーツ[編集]

バスケットボール:男子 NBL ケアンズ・タイパンズ

姉妹都市[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ Macquarie Dictionary, Fourth Edition (2005). Melbourne, The Macquarie Library Pty Ltd. ISBN 1-876429-14-3
  2. ^ Merriam-Webster
  3. ^ Backpacker Boobs Cause Stir”. Sydney Morning Herald (2003年5月23日). 2008年1月29日閲覧。
  4. ^ レンタカーに反日スローガン「日本人に銛を打ち込め」、豪州 2008年07月18日AFP通信

関連項目[編集]

外部リンク[編集]