JR西の電気式気動車 お披露目 16日から試験

伊藤宏樹
【動画】JR西日本の電気式気動車、報道向けに公開=伊藤宏樹撮影
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 JR西日本が試験用に1両導入した電車とディーゼルカーの仕組みを合わせもつ電気式気動車「DEC(デック)700」が11日、山口市車両基地で報道向けに公開された。16日から車両の装置の試験を始め、9月以降に山口県内の各線を中心に試運転を行う。

 車体は全長20メートルのステンレス製で、前後と側面に黄色の帯が入っている。側面には形式名が楽譜の上に記された音符のようにあしらわれ、乗客や沿線の日常を明るくしたいとの意味を込めたという。車内は2列と1列の座席が並び、進行方向によって向きを変えられる。車いすに対応した広さがあるトイレも備えた。

 従来のディーゼルカーは、エンジンの動力を回転軸を通して直接車輪に伝えていた。電気式気動車はエンジンで発電機を回し、その電力でモーターを回して車輪を動かす仕組み。電車と部品を共通化して維持費の縮減を図るという。JR各社では同様の車両が東日本や北海道、九州で導入されているが、西日本では初めてという。

 山口県内の非電化路線では国鉄時代に製造されたディーゼルカーがいまも走り続けているが、電気式気動車への置き換えや量産化は未定という。試験を重ねたうえで検討する方針だ。

 下関総合車両所新山口支所の末峯高臣支所長は「試験用車両でお客様にお乗りいただくことは難しいが、課題を検証し、次世代の車両開発につなげたい」と話した。(伊藤宏樹)