リスク予測など保険以外のビジネスも収益の柱に MS&ADの原社長

高橋諒子、江口英佑
[PR]

 損害保険大手MS&ADインシュアランスグループホールディングス(HD)の原典之社長が朝日新聞の取材に応じ、リスク予測や金融サービスなどの新規事業を収益の柱に育てる考えを示した。「お客様の困りごとを解決する、保険以外のビジネスも事業として成り立たせたい」と述べた。

 同社は近年、保険以外の事業分野を強化している。売り上げが天候に左右されやすいレジャー施設や小売業など向けに、損失軽減のためのデリバティブなど金融商品を展開。気温や降水量などをもとにした指標をつくり、実際の気象との差に応じて受け取れる金額をあらかじめ定めておくことで、異常気象などによる損失を補えるようにする。また、過去の事故データをもとに設備の仕様や点検期間を助言するコンサルティング業務も始めた。こうした保険以外の分野での純利益を、今の約50億円から2025年度に100億円超へ倍増させることをめざす方針だ。

 HD傘下に併存する三井住友海上保険とあいおいニッセイ同和損害保険について、原社長は「合併という選択肢はあるが、それぞれの強みを生かすために二つのフロント(会社)があるのは意味がある」と言及。両社は商品や事務系部門での連携を進めており、「さらに共通化を進めて生産性を上げていく」と話した。

 22年度から取り組む新たな中期経営計画では、新規事業に加え、国内損保事業の強化や、米国・東南アジアなど海外市場の拡大にも力を入れる方針。原社長は「(25年度に)純利益4千億円かもっと上までいけるかを議論している」と述べた。21年度の純利益予想は2300億円。23年度から会計基準変更を予定するために単純比較はできないが、「(利益目標は)かなりがんばっている数字だ」と述べた。(高橋諒子、江口英佑)