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108試合目以降は打率が下降線…中日・岡林「バットが“棒”になっていた」秋の強さ取り戻せばタイトル視野に

2023年12月4日 10時38分

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◇渋谷真『数字は語る~2023年竜戦士』その4
 2年連続ベストナインとゴールデングラブ賞を受賞し、2人しかいないフルイニング出場も達成した。そんな岡林勇希の打のクライマックスは、球団記録を塗り替える29試合連続安打。ただ、真夏の快進撃は、同時にフィナーレともなった。

打撃練習をする岡林


  29試合目の8月18日(ヤクルト戦)で、岡林の打率は3割9厘だった。ところが、そこから打率は下降線を描く。残り36試合の打率はまさかの1割9分2厘。トップを快走していた最多安打も、最終的に1本差で逃してしまった。
 記録が途絶え、緩んだ緊張感を戻せなかったのか。それともスタミナが切れたのか。少なくとも後者はない。レギュラー1年目だった昨季は、同じ108試合目から閉幕までを3割1分7厘と、尻上がりで終えているからだ。
 「タイトルの重圧は関係ありません。最後はなぜ打てていたのか、なぜ打てなかったのかがわからないまま終わってしまいました。今だともう少しわかります。バットが棒になっていた。棒を振っている感覚で、ムチのようにしならせることができていなかった」
 記録を伸ばすその裏で、自分の打撃を見失いかけていた。途切れてからは「ヒットを欲しがり、打てないとどうしよう、何とか打ちたい…。その繰り返しでした」。2年目のジンクスに飲み込まれなかった充実感と、尻すぼみで閉幕した悔しさ。既報のように、彼はすでに5年目に向けて打撃改造をスタートさせている。テーマは「シンプル・イズ・ベスト」。参考はカイル・シュワバー(フィリーズ)。何かを変える時、肝に銘じている言葉がある。
 「やりたいことの逆をやれ」。入団時の仁村2軍監督にこう教わった。体が開くクセを直したければ、開いて構える。肘が下がるのなら最初から下げてみる。それが「逆」であり「シンプル」の形。アジア王者に輝いた秋の侍ジャパンでは、井端監督からもらった言葉に勇気がわいた。
 「おまえは首位打者を取っていい打者なんだよ」。チームの内外で期待値は高い。優れた選手は夏場に強い。その証明は今季もできた。秋の強さを取り戻せば、きっとタイトルは見えてくる。

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