京アニ放火殺人の青葉真司被告に死刑判決、責任能力を認定…裁判長「計画的で残虐な犯行」

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 36人が犠牲になった2019年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の判決公判が25日、京都地裁であり、増田啓祐裁判長は、求刑通り死刑を言い渡した。被告に刑事責任能力があったと認定し、「強固な殺意に基づく計画的で残虐な犯行で、極刑をもって臨むほかない」と述べた。

1審死刑判決の京アニ放火殺人、青葉真司被告の弁護側が控訴
判決を前に京都地裁へ入る青葉被告を乗せたとみられる車列(25日午前9時42分、京都市中京区で)=川崎公太撮影
判決を前に京都地裁へ入る青葉被告を乗せたとみられる車列(25日午前9時42分、京都市中京区で)=川崎公太撮影

 増田裁判長は冒頭、「有罪判決ですが、(主文は)最後に言います」と述べ、主文を後回しにし、判決理由の朗読から始めた。起訴されている殺人や殺人未遂、現住建造物等放火など五つの罪について、いずれも起訴事実通りに認定した。

 その上で、最大の争点だった被告の刑事責任能力について、「被告は心神喪失でも心神耗弱でもなかった」と述べた。

 公判で青葉被告は、京アニに応募した小説が落選後、「京アニに応募作品を盗用された」と思い、犯行を決意したと説明。盗用や落選は「闇の人物」が京アニに指示したと述べてきた。

 検察、弁護側双方は被告の刑事責任能力の有無や程度を巡って対立した。盗用されたなどとする妄想が犯行に与えた影響について、起訴の前後に被告を精神鑑定した医師2人も証人尋問で意見を述べた。

 検察側は起訴前に精神鑑定した医師の証言や事件直前の行動、被告の法廷での発言などから、妄想が犯行に与えた影響は限定的だったとし、「善悪を判断し、行動を制御できたことは明らかで、完全責任能力があった」と強調。その上で、「類例を見ない 凄惨せいさん な大量放火殺人。被害者は日本の刑事裁判史上突出して多く、極刑を回避すべき事情はない」として、死刑を求刑した。

 一方、弁護側は起訴後の鑑定医の証言を基に、被告は10年以上にわたって妄想の世界に 翻弄ほんろう されており、妄想の圧力を受けて犯行を思いとどまる力を失っていたと反論。事件当時は心神喪失か心神耗弱の状態だったとし、無罪か死刑の回避を求めていた。

 公判は昨年9月5日に始まり、同12月7日の第22回公判で結審した。被告人質問は計10回にわたって行われ、意見陳述するなどした遺族らは約80人に上った。犠牲者36人中19人と負傷者ら34人は匿名で審理された。

 この日は午前10時半に判決の言い渡しが予定されていたが、一部の証拠調べが残っていたとして、いったん審理を再開し、再び結審した。休廷を挟んだ後、午前11時に判決の言い渡しが始まった。

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4965756 0 社会 2024/01/25 11:51:00 2024/01/25 15:14:41 2024/01/25 15:14:41 https://www.yomiuri.co.jp/media/2024/01/20240125-OYT1I50071-T.jpg?type=thumbnail

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