――さていよいよ『となりの芝生』単行本化ですが、そもそも西川さんの希望で始まった連載企画だそうですね。
「ぶっちゃけ最初『3か月の期間限定で』と言われたんですよ、編集部の方からは。僕からやりたいとは言ったんだけど、3か月は短いなーと躊躇したり。しかも最初の頃はゲストの方が男性ばっかりで、女性が全然出てこないし(苦笑)」
――いきなり愚痴モードですか。
「あははは。でもね、何の気なしに言った事がこうして形になっちゃってるから、面白いな、と思いますね」
――T.M.Revolution名義ではなく、西川貴教名義の企画だったのが、一つのポイントだなと私は思っているのですが。
「そうですね。2003年に連載がスタートしたわけですけど、自分的に去年はいろんな事がたくさん重なった年で。T.M.のファン以外の人からすると、『T.M.Revolutionって最近テレビに出ないけど、何やってんの?』みたいに映っていただろうけど、去年は本当にいろんな転機があって。レコード会社の移籍やら再始動やら…。
何か月かおきに、二者択一の選択を迫られる場面が次々と来るわけですよ(笑)。そういう1年を過ごしてきて、その中でこの連載がスタートした。そんな流れで作ってきたものだからこそ、見えてくるものもあると思うし、1年間続けてみて『こりゃ面白いなー』と自分でも思えた。だから…スタッフに嫌がられても読者に嫌がられても、とりあえずゲスト100人になるまでやる!」
――まだ18人ですよ。
「編集担当者が嫌な顔をしてますが、僕は100人までやる!(笑)」
――でも実際、1年を通して異業種の達人達と出会い続けてきた事自体が、激動の西川さんの心のいい休息になったのでは?
「なりましたねー。もちろん僕が興味を持っている方が大前提なんだけども、会う人会う人皆さんお忙しいし、僕自身も仕事が詰まってるから、『もうこの日以外にない!』っていう数少ない日にちゃんとゲストの方のスケジュールが空いたりして。そういう運命的な出来事が山ほどあって」
――必然の嵐が巻き起こった、と。
「『かくかくしかじかこういう連載でございます』と説明したところで、『へ、西川、誰?』だったら、多分どなたにもゲストを受けてもらえないわけですよ。だから『あー、あの西川なら会ってみようか』と、僕自身が興味を持ってもらえる立ち位置に常にい続けなきゃいけないんだ、という気合いも入ったし」
――なるほど。そういう覚悟も生まれますね。
「プラス、やっぱりね、会った時の愉しさやそこから生まれる出会い、実際連載を契機にゴハン食べに行ったり呑みに行ったり、一緒に仕事もするようになった、といった出会いもあったから。黒崎えり子さんのチームにネイルをお願いしたし、今回の単行本ではみうらじゅんさんとのイラストも載ってるし」
――非常に有意義な連載である、と。でも作業自体は大変だったように聞いてますが。なんか物凄く過密、かつハードな撮影のラッシュだったようですし。
「行ったさー。撮ったさー」
担当編集:特に今回の単行本用の撮影はハードで、朝8時集合が3日間。西川さんは昼以降じゃないと撮影の稼働はしないのに、今回はそのルールを打ち破りました。
「こんな体育会系のロケ、初めてですよ本当に!」
担当編集:成田空港の近くまで芝生を探しに行ったり、お台場でしらみつぶしに撮って回ったり、假屋崎省吾先生にお華を教わったり、北原照久さんのブリキのおもちゃ館を訪ねたり、たかの友梨先生のとこでエステを体験したり…。
――そういえばエステ体験の日に会った時、すごく疲れてたのに肌だけツヤツヤで、なんとなく不気味でしたよねぇ。(笑)
「いろいろやりましたが、ちょうどテレビにもラジオにも全然露出していなかった時期だから、毎週対談を続けていく中で、自然にすごくいいオーバーホールになっていった、自分自身の」
――緩衝材のような、ね。
「うん、そうそう」
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