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Vol.75

08.05.07 更新

美麗なグラフィックで等身大の兵士を描く、新感覚の戦場ドラマ
『戦場のヴァルキュリア』

PS3 『戦場のヴァルキュリア』が、4月24日(木)についに発売。突如帝国軍に侵攻されたガリア公国。大学生のウェルキン・ギュンターはとある偶然から徴兵され、ガリア公国の義勇軍・第7小隊の小隊長に任命される。かつて父親が乗っていた戦車「エーデルワイス」に搭乗し、仲間の義勇兵たちと共に戦場へと駆り出されていく。今回は、『戦場のヴァルキュリア』の野中竜太郎プロデューサーに、ゲームのよりディープな部分について話をうかがった。

『戦場のヴァルキュリア』プロデューサー

野中 竜太郎(のなか りゅうたろう)

ドリームキャスト版『サクラ大戦』シリーズ、プレイステーション 2『Kunoichi -忍-』などに開発プロデューサーとして関わる。『戦場のヴァルキュリア』ではプロジェクトのプロデューサーとして、企画の立ち上げからスタッフィング、ゲームクオリティの管理まで幅広く統括。


戦場のヴァルキュリア

小隊長として、一兵士として戦場を駆ける!
自分なりの戦略、戦術、アクションで仲間と共に戦え!

Q

細かく描かれた世界観で再現される『戦場のヴァルキュリア』ですが、作品を通じて描きたかったメッセージはありますか?


 

[野中]
『戦場のヴァルキュリア』では、「歴史モノ」ではなく、「等身大の戦場ドラマ」を表現したいと考えていました。死が迫る戦場という極限の状態だからこその、心の絆や心の触れ合い、愛情、友情を描こうと思って作りました。

また、よりプレイしていただくユーザーが感情移入し、ストーリーにのめり込んでいただけるよう、兵士となって戦うひとりひとりの顔が見えてくるゲームにしたいと思いました。そこから現在のゲームシステムになったんです。

シミュレーションゲームならば各キャラクターのステータスなどを個別に設定することができます。例えばアクションゲームだと、プレイヤーとして操作するのはひとりだけだったりするので、どうしても個人で局面を打開するような形になります。しかし、シミュレーションゲームでは数々のキャラクター(ユニット)を交互に操作することができるので、長所と短所を併せ持つキャラクター同士がお互いを助け合って戦う姿を描くことができます。

さらに、採用した「BLiTZ」というシステムなら、シミュレーションゲームでありながら、それぞれのキャラクターを直接操作することになるので、一兵士であるキャラクターの立場に立ってプレイすることになります。これまでのシミュレーションゲームでは、プレイヤーは司令官や指揮官といった立場が多く、上から見下ろしながら駒を動かすイメージでした。

ですが『戦場のヴァルキュリア』では、アクションモードでは最前線で戦う兵士になって操作します。そのため、兵士が戦場で味わう臨場感や攻撃される恐怖、隠れている敵を探る緊張感など、プレイヤーが肌で感じることができると思います。

そうしてプレイしていくことで、「等身大の戦場ドラマ」に触れていただけると考えました。

▲大学生だったウェルキンは、アリシアとの出会いから戦いに向き合うこととなる。

▲第7小隊には、新兵から歴戦の勇士まで様々な義勇兵が集まってくる。



Q

兵士として魅力的なキャラクターが多数登場しますが、こちらのこだわりについて教えてください。


 

[野中]
志願兵はメインキャラを合わせて50人以上が登場します。志願してくる順番はランダムなので、プレイヤーによって最初に志願してくるキャラクターは変化します。ただ、兵科によっての枠は決まっていて、「志願兵のすべてが偵察兵だった」「対戦車兵の志願兵がひとりもいない」といったことはありません。

ただ、プレイヤーがどのキャラクターを入隊させるかは自由ですので、「突撃兵をたくさん入れる」「支援兵をほとんど入れない」といった兵科の偏った部隊や、キャラクターの性格やルックスだけで決めてお気に入りだけで編成することもできます。もちろん、「男性だけ」「女性だけ」といった部隊編成もできるようになっています。

また、ストーリーが進むことで志願兵が増えますし、中には特殊な条件によって入隊するキャラクターもいますので、いろいろとチャレンジしてみてください。

▲元々は歌い手だった、切り込み隊長のロージー(左)。ラルゴ(右)は、第一次ヨーロッパ大戦で戦った古参兵。

▲志願してくる兵士は50人以上。兵科毎にバランスよく選んでも良いし、気に入ったキャラクターだけを選ぶことも可能。



Q

新感覚のシステム「BLiTZ」を採用していますが、「BLiTZ」ならではの楽しみ方を教えてください。


 

[野中]
「BLiTZ」では、「CP(コマンドポイント)」と「AP(アクションポイント)」を消費して戦います。

「CP」は、「ユニットを動かす」「オーダーを発動する」といったことで消費されるほか、「拠点でユニットを入れ替える」といったことでも消費されます。 「AP」は、ユニットを動かしている時に表示され、移動するごとに減少していきます。 基本としては、「CP」を消費して動かすユニットを選び、「AP」の範囲内で移動して攻撃。これを繰り返して進めていきます。

『戦場のヴァルキュリア』では、「全ユニットを操作したらターン終了」という従来のシミュレーションゲームの方式ではなく、「CPの数だけ好きなユニットを操作して戦える」といった「BLiTZ」ならではの楽しみ方ができます。
例えば、序盤は偵察兵をメインに動かして敵の位置を把握。敵の配置がわかったら、今度は戦車や突撃兵で攻撃をしかける。そして敵の主力兵士や戦車が現れたら、狙撃兵で狙ったり、対戦車兵で一気に戦車を破壊する……といった戦略が立てられます。

さらに「BLiTZ」を応用した戦い方としては、まず序盤から「AP」の高い偵察兵で一気に「拠点」の占拠を目指します。ただし偵察兵は、戦車の攻撃や突撃兵には負けてしまいますから、「拠点」が占拠できたら、今度は「CP」を消費して「ユニットの入れ替え」をします。リザーブリストに入っている突撃兵や対戦車兵と交代することで、偵察兵の利点を活かしつつ、弱点は他の兵科で補うことができます。
特に、対戦車兵は「AP」が少なく、敵の戦車にたどり着く前に倒されてしまうこともあります。そこでこの戦法を使えば、戦車の付近まで偵察兵で移動した後に、拠点で対戦車兵にバトンタッチして、効率よく戦車の撃破ができるのです。

ほかにも無数の戦い方があり、「CP」の使い方があります。開発チームでも人によって「CP」の使い方が異なり、ひたすら戦車で攻め込む戦法や、「オーダー」を駆使する戦法、狙撃兵と支援兵にタッグを組ませて遠距離から敵の陣形を崩す戦法など、多岐にわたりました。それでいて、「どれが最強・完璧」といった戦法は確立されていません。

プレイヤーの数だけ戦い方があると思いますので、自分なりの戦法をみつけてみてはいかがでしょう。

▲コマンドモードで上部に表示されているのが「CP」。考えて使わないと、途中で足りなくなって敵陣に取り残されることも。

▲「AP」が低いため移動に「CP」数がかかる対戦車兵も、拠点を上手く使えば「CP」を節約して最前線に送れる。



Q

FPSが好きな人、戦略SLGが好きな人、キャラ育成が好きな人、ミリタリーが好きな人など、様々なユーザーが楽しめる作品となっていますが、なかでもこだわった部分を教えてください。


 

[野中]
グラフィックやゲームシステム、キャラクター、ストーリーなど細部に渡ってこだわりを詰め込みましたが、まずプレイヤーにお勧めしたいのは豊富な「やり込み要素」ですね。

各マップをクリアすると評価が表示されるのですが、「評価S」をとるのはかなりのテクニックと経験、戦略が必要になります。クリアまでにかかったターン数を元に、リーダーを倒した数、戦車を破壊した数などがボーナスとして評価に関係してきます。そこで、ただマップをクリアするだけではなく、自分なりに戦況を把握して、最適な戦い方を編み出していかなければ「評価S」は難しいでしょう。

またこのゲームでは、仲間が倒れた場合に評価が下がる……といったことはありません。そのため、場合によっては仲間を助けるか? 助ける分の「CP」を攻撃に使ってクリアを目指すか? といった、選択が迫られる場合もあります。

他にもいろいろな「やり込み」の要素がありますので、じっくりと何度も遊んでください。

▲敵の偵察兵や対戦車兵などは、突撃兵で攻撃すれば楽に倒すことができる。

▲戦車での攻撃も強力! ただし、「CP」を2消費するため、使い方には戦略が重要となる。



Q

倒れた兵士をそのままにしておくと戦死してしまいますが、それによってエンディングが変化するなどのデメリットは存在しますか?


 

[野中]
お気に入りのキャラクターが死んでしまうと、二度とでてこないので悲しくなりますよね。

そういった感情面でのマイナスはありますが、ゲームシステムでのマイナスはほとんどありません。
例えば、仮に志願兵が全員戦死してしまった場合にも、汎用キャラクターが志願兵として登場します。それに、レベルは兵科毎に上がっていきますので、戦死したユニットと新しく入隊したユニットのレベルは同じになります。

このように、「誰も死なないようにゲームを進めなければならない」といったことはありません。実は、こういったシステムは企画の早い段階から入れたいと思っていました。

現実においても戦いに犠牲はつきものです。ですが、ゲームをどう遊ぶのかはプレイヤー次第。戦略に失敗し、誤って大切な仲間を戦死させてしまった場合に、すぐリセットしてやり直すのもいいでしょう。ですが、それを受け止めて、犠牲があっても目的のために進まなくてはならないという、戦場だからこその判断をするのもひとつのプレイスタイル。

このシステムで、プレイヤーが何を思い、どう戦うのか。ぜひ皆さんにも体験していただきたいですね。

▲戦場で倒れた場合「瀕死」となり、3ターン経つか敵に接触されると「死亡」となる。死亡したキャラは、二度と登場しない。

▲「瀕死」になったら、いち早く味方のユニットで接触。そうすれば、衛生兵を呼んで一命を取り留めることができる。



Q

様々な兵科が登場しますが、個人的なおススメ兵を教えてください。


 

[野中]
『戦場のヴァルキュリア』には、3すくみが存在します。
戦車は突撃兵の攻撃にはビクともせず、逆に榴弾砲一発で突撃兵を倒すことができます。そんな戦車も、対戦車兵の攻撃にはひとたまりもなく、急所を突かれると一撃で破壊されることもあります。そして対戦車兵は、戦車の砲撃には強いですが突撃兵の掃射には弱く、歩兵には対戦車槍の攻撃がほとんど命中しません。そのため、どの兵科が最強という概念はないようにしてあります。

その中でおススメするとしたら、敵の配置をチェックできる偵察兵ですね。まずは偵察兵でじっくりと敵の配置とそれぞれの兵科、隠れている敵の発見などを行ないます。そうすれば、戦車で突撃してみたら実は建物の影に対戦車兵が隠れていて、背後から手痛い攻撃をされる〜なんてことは少なくなりますので。
バッチリ偵察ができたら、敵の配置に合わせて3すくみで勝てる兵科を向かわせれば、おのずと勝率は上がるでしょう。

それと、意外に支援兵が重要だったりもします。
そこそこ攻撃ができて、仲間の回復も他の兵科より優れ、「AP」も少なくはなく、戦車の修理も可能で、土嚢の再生もできます。さらに弾数制限のある兵科に弾薬補填できる唯一のユニットですので、ひとりは必須な兵科ですね。

▲偵察兵や突撃兵で戦車を攻撃しても、破壊するのはほぼ不可能。逆に反撃を受けて手痛いダメージを受けることに。

▲戦車には対戦車兵で攻撃。大ダメージを与えるだけでなく、後部の弱点を狙えば一発で撃破することもできる。



Q

それぞれの兵士たちに、サイドストーリーが存在したりするのでしょうか?


 

[野中]
各キャラクターの詳細については、「人物総覧」にてチェックすることができます。「人物総覧」は、戦闘で活躍することでプロフィールが追加されていくので、定期的に見ると楽しめると思います。なかにはそのキャラクターの性格や、他のキャラクターとの関係が書かれていますので、そこからサイドストーリーや、戦いが終わったらどのように過ごすだろうか……など、想像してみてはいかがでしょう。


Q

各キャラクターが、様々なポテンシャルを持っていますが、こちらの簡単な説明とおススメのポテンシャルを教えてください。


 

[野中]
ポテンシャルは、キャラクターの性格を表すものとして設定してあります。使い方によって、戦場で有利に(たまに不利に)戦うことができます。

具体的には、「しんがり」というポテンシャルは、「CP」の最後を使って動かすとパラメータが強化されます。「腰痛」だと、立っている時は普通なのですが、土嚢などに隠れようとしてしゃがむとパラメータがダウンしてしまいます。このように、そのキャラクター独特の性格や癖、長所、弱点などを表現しています。

ポテンシャルのなかでもぜひ体験していただきたいのが、「目立ちたがり」です。その名の通り目立つことが大好きな性格のため、敵陣に特攻して索敵ライン(視認している敵とユニットとの間に引かれるライン)が多く引かれるとパラメータがアップします。普通は少ない敵と対峙してリスクを減らすべきですが、このポテンシャルを持ったキャラクターは、違った戦い方ができるかも知れません。

あと、「体力が一定以上減るとパラメータがアップする」という珍しいポテンシャルもあります。敵から銃撃を受けて恍惚としている姿は必見ですね。

▲「田舎育ち」のポテンシャルが発動。土の上で戦うと、射撃能力が向上するポテンシャル。

▲しゃがむとパラメータがダウンする「腰痛持ち」のように、デメリットになるポテンシャルも。



Q

読者の皆さんへメッセージをお願いします。


 

[野中]
昨年の東京ゲームショウで、完全新作として発表させていただきました。シリーズの続編などではなく、これまでにないタイトルでしたので、いろいろ不安がありました。まったくの新作タイトルですから、みなさんに興味を持っていただけくまでに時間がかかるだろうな……と。

ですが予想とは裏腹に、発表直後から、応援メールやWebサイト、Blogなどで本当に多くの方に応援していただきました。開発に携わったメンバーが、その応援に何度も何度も励まされました。開発の終盤の一番辛い時期も、みなさんからいただいた応援メールをプリントして入り口に貼り、気持ちを奮い立たせて頑張りました。本当に、たくさんの応援ありがとうございました。

そして、『戦場のヴァルキュリア』を多くの方に遊んでいただき、「等身大の戦場ドラマ」を味わっていただければと思います。


『戦場のヴァルキュリア』

2008年 04月24日(木)発売¥7,600(税込¥7,980)