【将棋】奨励会三段リーグで高野、近藤が新四段に「夢みたいです」

2015年9月5日20時21分  スポーツ報知
  • 四段昇段を果たし、笑顔を見せる(左から)近藤誠也三段、高野悟史三段

 将棋の棋士養成機関「奨励会」第57回三段リーグ最終日(17、18回戦)が5日、東京都渋谷区の将棋会館で行われ、高野悟史三段(21)と近藤誠也三段(19)が通算成績を13勝5敗として四段(棋士)昇段を決めた。昇段日は10月1日付。

 30数人が半年間にわたって各18局を指し、上位2人のみ(原則)が四段となる三段リーグ。今回は5日開始時点で7人に昇段の可能性がある大混戦だった。両者はともに第1局を落としたが、土壇場の最終局を制して大願を成就させた。

 高野三段は昇段後の第一声で「夢みたいですね…」と言ったきり、約15秒間沈黙。その後、言葉を探すようにして「今朝、電車に乗りながら緊張していて朝、電車に乗りながら、あんなに緊張した日は奨励会に入ってからなかったです。父に電話したら『おめでとう、おめでとう…』と二度言ってくれました」と喜びを口にした。

 中大法学部法律学科4年を休学中だが、今月中に復学して卒業を目指す。居飛車党で得意戦法は矢倉。「キレ味はないのですが、ネチネチとした重厚な棋風だと思っています。将来はタイトルを獲りたいです」。趣味はお笑い番組鑑賞で「『笑点』が好きです。円楽さんのブラックなところとか面白いです」。木村一基八段門下では初の四段となり、メールで連絡を受けた木村八段はさっそく祝勝会に駆け付けていた。

 大棋士の条件と言われている十代での四段昇段を果たした近藤三段は「上がれてホッとしています。母から電話で『おめでとう』と言われて実感しました。三段リーグは最初勝てなくて、思っていた以上に苦しい場所でしたが、今期は絶対に上がろうと思いました。将来はタイトルを獲れる棋士になりたい」と表情を崩した。

 渡辺明棋王らを輩出した所司和晴七段門下。「居飛車党の攻め将棋なので、谷川先生(谷川浩司九段)の光速の寄せに憧れます」。趣味はプロ野球観戦で西武ファン。「エースとして存在感のある涌井(現ロッテ)がいた頃から、好きです」

 両三段はともに5歳で将棋を始め、2007年に奨励会入会。8年目での夢の実現となった。

 棋士となるための最終関門であり最難関の三段リーグ。10月から始まる第58回では、女性として初めての棋士を目指す里見香奈三段(23)=女流名人、女流王位=が初参加する。

(北野 新太)

四段昇段を果たし、笑顔を見せる(左から)近藤誠也三段、高野悟史三段

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