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美国神社例大祭 天狗の火渡り

美国神社例大祭 天狗の火渡り

祭り紹介

祭り写真館 今年の様子をご覧いただけます。

8/28公開!

歴史神社の創建は江戸時代。
天狗の火渡りは約100年の伝統

シシゾウ:美国神社例大祭 天狗の火渡りは、いつごろ始まりましたか?

菊谷さん:天狗の火渡りについては資料がないのではっきりしたことは分かりませんが、現在100歳の方が覚えていらっしゃるので100年近い歴史があることは間違いないと思います。
天狗の火渡りが行われる美国神社は美国町の氏神様です。江戸時代に京都の伏見稲荷大社の神様を御分霊したもので、当時は稲荷神社といっていました。美国神社と改称したのは明治時代で、そのころに天狗の火渡りも始まったのではないかと思います。なお、天狗の正式名は猿田彦ですが、地元では「天狗さん」「天狗さん」と呼び親しまれています。

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みどころ港町ならではの海上渡御に海中神輿

シシゾウ:祭り期間は何日間ですか?

菊谷さん:宵宮、本祭、後祭の3日間で、本祭と後祭の夜に天狗の火渡りが行われます。
宵宮は、本祭に先立って夕方に神事が行われます。本祭と後祭は両日、神社の神輿が町内を練り歩きます。神輿を先導するのは、朱色の衣に一本歯の高下駄、鉾を手にした天狗です。その後に太鼓や子ども神楽、神社神輿、お供の神輿2基などが続きます。
獅子頭を扱って舞う子ども神楽の歴史は比較的浅く、始まったのは約15年前です。使用する獅子頭は美国神社に奉納されていたもので、長い間、日の目を見ることがなかったため、なんとか外に出してさしあげたいということで子ども神楽のアイデアが生まれ、仁木町(にきちょう)の仁木神社の宮司さんに松前神楽をアレンジした所作を考えてもらいました。演じるのは小学3年生から中学3年生までの男子です。
神社の神輿を担ぐのは、神輿会という地元漁協の青年部を中心に組織された会のメンバーです。お供の神輿は竹の輪会と桜組という氏子有志が結成した会が担ぎます。桜組は女神輿で、町内の女性から神輿を担いで祭りに参加したいという声を受けて始まったものです。住民の皆も「元気が良くていいね」と応援しています。
本祭と後祭には子どもと大人が曳く山車(やまぐるま)2台も運行します。山車も100年近い歴史があり、一番多いときには七台の山車が出されました。今は商工会青年部など氏子有志が中心になって運行し、祭りを盛り立てています。

シシゾウ:本祭と後祭のみどころを教えてください。

菊谷さん:本祭の午前11時から海上渡御が行われます。神社神輿一行が大漁旗を掲げた八台の漁船に分乗して出港し、美国漁港の近海を約30分かけてひと回りし、漁の安全と大漁を祈願します。
午後には、お供の神輿2基が海に入り、「ワッショイワッショイ」の掛け声とともに威勢よく練ります。
子ども神楽は町内の数ヵ所で舞を披露します。最大の見せ場は後祭の夕方、美国町の中心部の十字路で行う天狗とのかけあいです。獅子が天狗を挑発し、怒った天狗に退治されるというストーリーで、舞い手は1人で獅子頭を扱います。

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注目ポイント燃え盛る炎をものともせず幾度も火の中を往来

シシゾウ:天狗の火渡りについて教えてください。

菊谷さん:天狗の火渡りは、先導の天狗、神社神輿、お供の神輿が火の中を歩き、町内をお清めして回ったときについた穢れを祓い清める神事です。本祭も後祭も午後8時が開始時間ですが、実際はそれより遅くなることが多いです。
境内の2ヵ所に置かれたかんなくずに宮司さんが祈祷をし、お清めをしてから点火します。かんなくずは火の回りが早く、あっという間に炎が高く上がります。かんなくずは2日間で大袋に24袋分必要です。最近は、木造住宅の建設が少なくなりかんなくずが手に入りにくくなったため、小樽市の建具屋さんにお願いして1年分のかんなくずをとっておいてもらっています。
最初に火渡りをする天狗は2ヵ所の火を1往復半、計6回火を通り抜けます。

シシゾウ:火傷はしないのですか?

菊谷さん:火渡りに軽い火傷はつきものです。安全面を考慮して、天狗を務める人には、火の勢いが落ち着いたときを見計らって火に入るようにアドバイスをしますが、火勢が強いときに入る人が多いです(笑)。万一、装束に火が燃え移っても、天狗のお付きの人間がすぐに火を消すので大事に至ることはありません。装束を濡らすなどの対策はとりません。濡らすとかんなくずがくっつき、かえって危険だからです。

シシゾウ:天狗を務める人の条件はありますか?

菊谷さん:氏子男性の希望者を神社の役員会で審査し、「この人なら」という方にお願いしています。火渡りをするだけでなく、2日間町内を練り歩くので体力が必要ですが、若すぎても天狗らしさが出ないということで30代から40代の人が務めます。私はあいにく経験したことがないのですが、滅多にできない経験ということで天狗を務めた人は皆、やって良かったとおっしゃいます。

シシゾウ:神輿の火渡りについて教えてください。

菊谷さん:神輿は、天狗より火渡りの回数が多く、2ヵ所の火を3往復、計12回火渡りをします。火渡りの前には、神社から担ぎ手たちに御神酒が振る舞われるので、御神酒をいただいて気分が高揚した勢いで火渡りに臨みます。たまに、飲み過ぎてしまって火渡りに参加できない人もいます(笑)。
私は若いころに神輿での火渡りを数回経験しました。火に入るときは熱いし、火傷をすることもありましたが、やり終えたあとの達成感はなんともいえません。最近は用心深い人が多く、火傷防止に覆面をする人が多いのですが、私たちの時代には覆面をする人はほとんどいませんでした。神社神輿が終わるとお供の神輿が火渡りをします。回数は神社神輿と同じで、女神輿も果敢に火を通り抜けます。

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ふるさと自慢夏のウニは積丹町を代表する味覚

シシゾウ:積丹町の食の名産品を教えてください。

菊谷さん:おいしい魚が自慢です。有名なのは夏のウニで、漁期は6月から8月の3ヵ月です。町内には寿司店などウニが食べられる店が数軒あり、ウニ目当てに多くの観光客が訪れます。秋に獲れるマイカも美味です。

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メッセージ美国の住民が誇りにしている祭りです

菊谷さん:美国町の住民は、この伝統ある祭りを誇りにしています。住民数が減ったため、祭りの賑わいは昔ほどではなくなりましたが、お供の神輿や山車など住民が積極的に参加することで伝統をつないでいます。

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※祭り紹介者 美国神社 責任役員 菊谷 政美(きくや まさみ)さんにお応えいただいたインタビューをもとに、記事をまとめています。

TV番組情報

放送局

ダイドードリンコスペシャル

炎を裂く天狗の火渡り
~積丹・美国神社例大祭~

8/5(日)14:00~14:54
HBC 北海道放送にて放送!

暗闇の中、灯された火は幻想的であり、かつ挑戦的です。天狗(猿田彦)や神輿が燃えたぎる炎の中を勇壮に渡り切り、穢れをはらう“火渡り”は、北海道積丹町の「美国神社例大祭」で100年以上続くとされる神事。猿田彦に扮するのは子供のころから、その姿、振る舞いに憧れていたという青年です。積丹町はニシンの沖揚げ音頭「ソーラン節」の発祥地と言われます。その海は“積丹ブルー”と称えられる海の幸が豊富なところ。祭りでは海の安全と大漁を願い、漁船が隊列を組みながら巡行する海上渡御や、女神輿を先頭に身を清める海中神輿も盛大に行われます。火渡りは、少しでも油断すると、大やけどを負いかねない鬼気迫るものです。しかし、そこにはこの祭りに思いをはせるマチの人の活き活きとした姿がありました。

番組の放送局サイトへ

制作担当者からのメッセージ

幼き頃の“憧れ”…その存在は、何年経っても、人それぞれの心の中に輝いているのではないでしょうか。神を奉ずる神輿が2日間に渡って町内を巡行し、炎の中を渡る「美国神社例大祭」を取材してみると、この祭りは、長年に渡る“憧れ”によって、支えられていることが分かりました。20代の頃、神輿を担ぐ男たちの姿に“憧れ”、女神輿を始めた、うら若き乙女。“憧れ”から漁師となって、消えかけた祭りの営みを復活させた、海に生きる男たち。幼い頃、「祭りの2日間は町内で最も偉くなる」とされる猿田彦に憧れて、ついに、その務めを果たすことになった男性は、今や、息子たちに“憧れ”の眼差しで見つめられる父に。北国の短い夏、そんな人たちの姿を撮影しながら、ふと気が付くと、決して幼くない私も、 この祭りを、“憧れ”の目を持って追いかけてしまいました。

HBCフレックス 制作2部 神山 功

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TV番組情報

ダイドードリンコスペシャル炎を裂く天狗の火渡り
~積丹・美国神社例大祭~

8/5(日)14:00~14:54
HBC 北海道放送にて放送!

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