2005年03月13日

鉄道まめ知識(1) : 保安装置表記

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JRの電車や機関車の先頭車のあたりに、四角い枠の中にアルファベットが書いてあるのをご存知ですか。

これは、「保安装置表記」と言って、その車両が搭載する保安装置の種類を示すものです。JR各社では、色々な保安装置が存在します。(写真は、JR東海の373系の保安装置表記)
写真のJR東海373系の場合、STとPという表示があります。これは、ATS-ST形とATS-P形という2種類のATS(自動列車停止装置)を搭載していることを表しています。

ATS-ST形は、国鉄時代に開発されたATS-S形を改良して、速度照査(列車の速度を検査する)機能を追加した、JR東海独自の保安装置です。ATS-S型とは上位互換なので、JRグループのATS-S型ベースの独自改良保安装置に対応した路線をそのまま走行することが出来ます。

ATS-P型は、国鉄末期に開発された新型の保安装置です。常に列車のスピードを監視する機能や、列車の性能に応じた列車制御が出来るのが特徴で、ATS-S型とその互換保安装置を使うよりも、列車の運転間隔・速度を安全に向上させられるという特徴をもちます。主に、JR東日本の首都圏の各線(ATC[自動列車制御装置]を使う山手線・京浜東北線・埼京線の池袋-大宮間を除く)と、JR西日本の阪和線・大阪環状線で採用されています。

373系の場合、JR東海の在来線のみ走行するとすれば、ATS-ST型だけ保安装置を積んでいればいいのです。373系の初期型車は、事実登場当初はJR東海の在来線しか走行しなかったため、ATS-ST型しか搭載していませんでした。しかし、東海道線で唯一の昼間走行する急行として有名だった急行東海号が、特急化されるに当たり、373系を投入することになり、JR東日本の管轄する東海道線 東京-熱海間に乗り入れることになりました。決定当時、東海道線の東京-小田原間は既にATS-P型を利用していました(現在は東京-熱海間までATS-P型区間)。JR東日本は、同区間の列車運行上の安全確保のため、373系にATS-P型を搭載することを要求しました。そのため、特急東海号用の373系には製造当初から、自社線内では使わないATS-P型を搭載しました。後に、ATS-ST型しか付いていなかった初期型車もATS-P型追加設置工事を行いました。

要は、この保安装置表記を見れば、大まかに走れる線区が分かるのです(実際はそう単純ではないですが)。

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